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経済学は難しい9

2005年08月26日 20時21分07秒 | 経済関連
このシリーズもこんなに進んでしまいました。最初の頃のバカっぽさも今なら笑えますが(現在も同じかな?笑)、徐々に前進してきました。初めの頃の「全く解決策が見つからない」という時点から見れば(経済学に詳しい方々には、端から結論が分っていたのかもしれないですが)、将来の解決方法の糸口が見えてきたように思います。前には、思いつきで下らないことも書いてたけれど。

参考記事:
経済学は難しい3
医療費の罠
経済学は難しい5
経済学は難しい7


まず将来像を探る時に、多くの経済学者達がよく口にする「マクロ経済計量モデル」ですけれども、これが議論の根底にあるべき、ということらしいです。これは内閣府の経済社会総合研究所や経済産業省の経済産業研究所や財務省の財務総合政策研究所など(因みに、これ程あちこちに研究所があって、経済財政・金融について色々研究していて、どうしてよい政策や解決方法を出さないのかな・・・皆何をしていたの?専門にやって給料や報酬貰っているなら、もっと頑張って欲しいな。問題は大きいし、色々検討課題は多いでしょ?)でも、時々出てきますね。研究所が多すぎて、逆に答えを一つに出来ない根本的要因ってことはないよね?ならば、役割をきちんと果たして、それぞれが研究成果を意味のある政策に反映させて欲しい。


今回はこれらからの出典ではなく、別な所から。またも研究所なんですけれども(笑)。
財団法人電力中央研究所の社会経済研究所という所です。この中に、ある記事がありまして、研究参事 服部恒明氏の報告です。

社会経済研究所[SERC] - 日本経済の進路:財政破綻か持続的成長か

社会経済研究所[SERC] - 国家破綻回避のシナリオ -需要創出型の財政・税制改革を-

上の記事での結果を基に、さらに検討をしたのが下の方の記事のようです。

これによれば、3つのケースについて検討されており、持続的成長シナリオがこれから目指すべき状態と考えることができると思う。これを達成するには、社会保障改革―特にケースでも述べられているように年金の約10%弱のカット(これは多分、年金受給者の負担増でも似たような効果となるだろう)―と、消費税率の年1%づつ15%までの引き上げ、そして重要なのは新規需要を約70兆円規模で創出することである。これが条件となる。


経済財政諮問会議が否定的であった医療関連分野が成長分野であるということについて、医療費の上限キャップ制とすることはおそらく将来時点での財政削減効果となって成長にはマイナスに作用すると考えられるが。むしろ、この分野には人的資源も金額的にも市場規模はかなり見込まれるのですから、これで70兆円創出の一部を担わせることが可能となると思います。少なくとも大学院生を4倍くらいに増やそうという作戦よりは、はるかに現実的だと思います(介護、医療補助人員等の拡大ということで、それにはその為の教育が必要となるのでそれも需要創出の一分野だと思うのですけれど)。大学院生の雇用拡大を促すような成長分野を創出することが先決と思います。


また高齢化に伴うヘルス分野、アンチエイジング分野(広義にはエステとか美容分野、ハゲもとい育毛分野とか(笑、将来きっと私もお世話になるかも)、スポーツ・トレーニング分野とか・・・)などといった市場は拡大するかもしれない。他にも、独居老人増加などで、資産管理分野・セキュリティ分野の成長も見込めるかもしれない(そういうルール作りは官僚諸氏が考えてくれればいいと思います)。今でもリフォームで騙されたり、振り込め詐欺にあったり、ということが多いのに、今後増加する独居老人は格好のターゲットにされると思うし。ロボット市場もうまくいけば拡大できるかも(話の「お相手ロボ」、「お散歩ロボ」、「見張りロボ」、とか・・・)。


あとは、育児・教育分野でも、新たな市場を創出するべき。変な例だけれど「お助けおばあちゃん」みたいな、仕事をしている女性の代わりに、子供の急病に対応したり、お迎えに行ってくれたり、お稽古や塾に連れて行ってくれたり、そういうことの手助けをしてくれる仕事とか(女性にしか分らない部分もあるので、現実的にどのくらい需要があるか分らないですけど)、企業の福利厚生の一環で保育分野への投資促進ルールを作るとか(従業員に保育園利用希望者がいる場合、その一部を補助しなければならない、とか)、教育格差を出来るだけ小さくできる公教育制度を地域ごとに作るとか、かな。


他にも、環境分野(例えば燃料電池車の普及拡大のためバス・業務用トラックの早期移行を目指す、燃料スタンドの整備・普及とか)や、医療制度改革の一環として医療情報ネットワーク構築(これだけで何十兆円かの規模になると思うけどな)ということも大きな国家的事業の柱になると思いますが。全額公的資金でやる必要なんてなくて、医療機関側にも優遇税制などで対応して個々に努力してもらえばいいんですよ。タイムリミットを決めて、ネットワークに参加しなければ報酬請求が出来なくなるという制度にしておけば、必ず猶予期間内に整備すると思うけれどね。特に地方と都市部の医療水準の格差を無くすには、ネットワークが必須。医療費の効率化達成の為にもそう。何でこれが理解できないかなー?


とりあえず、皆で知恵を絞って年間4兆円拡大を目指していけば、きっと将来には国債残高の対GDP比低下を達成できるはずです。



国債償還と借り換え(2)

2005年08月26日 13時27分13秒 | 経済関連
前の記事について、次のようなコメントを頂きました。

おかしな論理だと思います。
利息の支払いをこなすのがやっとの、これから収入の上がる見込みのない個人が、
ずっと自転車操業可能だと思いますか?
思わないでしょう。個人なら即「無理」と分かるものを、
国家となるとこうも楽天的にかまえるのはどうしたことでしょう?

国内問題(家庭問題)だとしても、父親が国債を発行するのに
限界はないかもしれませんが、母子の購入には限界がありますよ。
個人資産1400兆円をすべて国債購入にあてられるわけではないです。
そもそも1400兆円のうち、既にどのくらい国債に
費やされているか計算したことありますか?
郵貯・簡保は既に資産の約半分が国債ですし、
生保も資産のおおむね1/5~1/3が国債です。
銀行は貸付が運用のメインですから保有率が低いですが、
これからどれだけ国債を引き受けられるかははなはだ疑問です。
これは日銀に関してもそうですが。

そもそも、景気がよくなれば真っ先に売りに出されるのが
運用効率の悪い国債だと思うのですが、その辺りはどうお考えですか?





お気持ちは、よく分ります。私も同じように危機感を持っております。そして、ブログを始める動機の一つにこのような借金地獄を何とかするべきだ、ということがありましたから。そのための社会保障改革プランを、私のような素人が勝手に考えてみたのです(カテゴリー:社会保障問題のところの最初の方に書いてます。主に、昨年です)。


「限界なんじゃないか、破綻するんじゃないか」という危惧は多少なりともあります。ですが、はるか遠いかもしれませんが、今は将来を見て、希望を捨てずにこの難局を乗り切るしかない、と思っています。それ以外に解決策は見出せないからです。

つい先日書いた(選挙と政治3)ように、利払いは現状の財政政策だけでは無理ですし、仮に20兆円規模の大増税というような非現実的手段を考えたとしても、その後の低成長によって逆に新たな借金の増加を招くかもしれません。つまりは、普通に返済することは不可能という水準に達している、ということです。


そこで、コメントにお答えしたいと思います。質問事項を大まかに次のように整理してみます。

①利払いも不可能状態なのに、どうやって返済するか
②個人資産のうち、どれくらいが国債買入に回っているか
③今後更なる買入が可能か
④景気動向が良いときに売り切られるか

概ねこのような質問として、まとめてみました。


①について:

これは先日も書きましたが、増税プランや削減プラン(又はその組み合わせ)だけでは、資金手当てはかなり難しいでしょう。ましてや元本削減をまともに実行するなら、重税地獄を見ることとなるでしょう。ですが、元本が減少しない限り、利払い負担は楽になることはありません。また別な記事で書いてみたいと思いますが、単なる歳出削減とか増税だけではなく、それにプラスしてGDP成長率を増大させるような政策が必須ということになります。今後20年くらいの間に、80~100兆円規模の成長があれば、借金総額は増加しますが対GDP比では減少していき、発散は食い止められます。つまり、個人で言えば、借金も少し増えるが(例えば住宅ローンの他に、車や教育ローンが増える)給料が順調に上がっていくので、給与収入に占めるローン返済額の割合が減少して、返済負担が減らせるというものです。

(税や保険料は考えないものとして)今年収300万円の人が借金返済に180万円当てているが、20年後に年収500万円に増えていれば返済額が240万円に増えていても、使えるお金で見れば120万円だったものが260万円に増やせるという具合です。返済額が25%増加したけれども、使えるお金は約2倍に増えています。このような政策を実施しない限り、普通の返済プランでは元本減少は不可能、ということを申し上げたいのです。収入が少ないのに無理なローン設定をして窮している、というのが今の状況であるとすれば、給与が増える方法をとりながら、無駄は小さくして効率的にしながらも給与に占める借金を減少させていく、という考え方です。

上の例で見れば、60%返済に充てていたものが、48%に減少してやり繰りは楽になります(笑)。


②と③について:

これは正確な資料を探せなかったのですが、おおよその数字を調べてみました。政府系機関が国債をかなり買っていたり、色々数値が掴みにくいのですが、概略を書いてみます。国債保有者別に見ていきますと、だいたい次のようになります。直近では変わっているかもしれないですけれども、ほぼ近い水準と思って下さい。

日銀が90兆円、郵貯100兆円、簡保50兆円、保険・年金基金75兆円、銀行・金融仲介機関等200兆円、家計・非金融法人等30兆円(弱かな・・・)、一般政府50兆円、という具合です。合計595兆円となります。

ここ1、2年で財政投融資資金が年金運用や郵政から引き上げられて、その代わりに国債に置き換わったりしている(新たな運用先を求めるならばどうしても国債を買ってしまう)ので、一般政府と郵政部門・年金基金などの保有比率が結構変わってきているかもしれません。けれども、大体上の水準だと思います。それと生保の保有額は正確な数字は不明ですが、02年あたりでは全体の5%程度ですので恐らく30兆円程度となって、家計・法人等と似たような規模と思います。


個人金融資産1400兆円のうち、預貯金は約734兆円、同様に法人が178兆円ですから、合計912兆円のうち郵貯・銀行等併せて300兆円の国債に置き換わっていると考えてよいと思います。民間部門の預貯金資金の約3分の1が国債投資に回っているということです。因みに、郵貯以外の預金約770兆円のうち貸出に回っているのは約440兆円で、57%程度です。

保険部門は個人資産が375兆円で、このうち国債投資額は簡保50+年金基金等45+生保30という具合と思います。従って、こちらも個人資産の約3分の1が国債投資に回されていると思われます。ですので、個人資産のうち、預貯金と保険年金の合計額約1100兆円のうち、預貯金から240兆円(個人と法人の預貯金比率が大体8:2なので)、保険・年金基金から125兆円、個人向け国債30兆円となって、395兆円が国債投資に回っていると考えられます。日銀の資金循環統計を見ると、個人資産1416兆円のうち明らかに分類されているのが1307兆円で、残り109兆円は何処にあるか不明です。現金として残っているのか、埋蔵金となっているか(笑)、自分の財布の中なのか、タンス預金なのか・・・?結局、個人資産の約28%が国債投資に回っていると思われ、残りの資産から今後の不足分(大体15~20兆円規模?)を補うとしても、大きな問題はないと思います。それは個人証券資産約200兆円からでも、死蔵資金から振り向けても、どちらでもよいと思われます。少なくとも、個人向け国債が郵貯や銀行に預けるよりも、何倍かの利回りが期待出来る時、個人の投資行動として有利な方に資金移動をすることは当然かもしれません。銀行や郵貯に入れておいたとしても、大してメリットはないのですし。家計部門の国債直接保有比率が3%くらいから10%程度になったとしても、銀行がそれ程困るとも思えません。民間部門の余力はまだ残されていると言えると思います。


④について:

景気循環で、好景気となれば国債が売られるというのは、確かにそうですね。通常の債券市場で売買されますが、一般的に言えば金利は上昇局面となり(=債券価格下落)ますけれども、個人向け国債は保有していれば年2回のクーポン利率が改定されるはずで、上昇局面では利息が増えると思います。勿論売却しよう、ということになれば下落した価格で、ということになってしまい、損失を出すことも有り得ますが、全体の中で見れば少ない割合と思います。保有している限りは、金利上昇局面では、若干のタイムラグなどがありますけれども、クーポンレートが上昇するので3年定期とか5年定期預金よりも有利ではあります。そういったことを考慮して、自己責任で購入することが望ましいですね。


機関投資家なども当然売ってくる可能性がありますが、金利上昇は青天井ではないので、一定レベルまで上昇すれば低リスクで利息収入が魅力的という水準があるのですから、誰かが買ってくるでしょう。つまりは、既発債は保有者が変わるだけで、発行側には大した違いがなく、誰が持っていても利息は支払わなければならないことは同じです。従来よりも利率が高くなるので国の金利負担は重くなりますが、好景気ということでGDP成長率や経済拡大による税収の伸びも期待できるようになりますから、あながち悪い事ばかりではないと思います。少なくとも、新規国債の引き受け手が存在しなくなり消化出来ないとか、売却が続いて買い手がつかない、といった心配は少ない(というか、もしも買い手が存在しない場合、日本国債の信用が完全崩壊しているか、長期金利暴騰という経済パニックを意味する)と思いますけれども。