ISOな日々の合間に

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フィトンチッドとは

2007年01月08日 | 健康と食
すがすがしい気分で明日からの仕事にとりかかるため、郊外の林でも散策し、少しでも木々の発散するフィトンチッドをかぎたいと思い、フィトンチッドについて調べて見ました。

1930年ごろロシアのボリス・トーキンが、植物を傷つけるとその周囲にいる細菌などが死ぬ現象を発見しました。 ボリス・トーキンはこれを植物が周囲に何らかの揮発性物質を放出したためと考えて、この物質をフィトンチッドと命名しました。フィトンチッドは「植物」を意味する「Phyto」と「殺す」を意味する「cide」から作られた造語です。

フィトンチッドはテルペン類等の揮発性物質であり、植物はその生命を維持するため、また自らの成長を促すために、フィトンチッドを幹や葉から大気中に放出しています。森林浴がすがすがしく感じるのは、フィトンチッド(Phytoncide)の効果によるものであると言われています。

このフィトンチッドには、作りだした樹木自身を護るさまざまな働きがあります。昆虫や動物に葉や幹を食べられないための摂食阻害作用、昆虫や微生物を忌避、誘因したり、病害菌に感染しないように殺虫殺菌を行ったりと実に多彩です。

でも、フィトンチッドは自己防衛のためだけに放出されている訳ではなさそうです。他の生物に攻撃的に作用することもあるようです。

例えば、セイタカアワダチソウが空き地に群落をなしている様子をよく見かけます。これはフィトンチッドが他の植物に対して強力な成長阻害作用を持ち、それによって自らの勢力を拡大した結果だといわれます。しかし、空き地一面を制覇したセイタカアワダチソウも数年も経つと、自らが分泌した物質で自家中毒を起こし、ススキなどにとって替わられます。

又、木どうしの警告物質でもあるようです。木は毛虫などに襲われると、毛虫が嫌がる成分を葉に蓄えて食べられないようにするのですが、そればかりではなく、フィトンチッドを発散して隣の木にこのことを教えるのです。すると隣の木もちゃんと葉を毛虫の嫌がる成分に変質させるといわれています。謂わばフィトンチッドが木同士のコミュニケーション物質となっているのですから不思議です。 

このように他の生物に対して攻撃的に作用するわけですが、人体に対しては有益で、森林浴に見られる「リフレッシュ効果」、空気を浄化したり、悪臭を消す「消臭・脱臭効果」、食品への防腐、殺菌を始めとする「抗菌・防虫」があり、盛んに活用されています。

なお、フィトンチッドは葉に多く含まれ、抽出するには一般に水蒸気蒸留法、有機溶媒抽出法などがあります。水蒸気蒸留によって得られる液状の香り物質を一般に精油(Essential Oil)と呼んでいます。この製油の主な構成成分は揮発性の高いテルペン類でありますが、このほかにフェノール類等も含まれています。