見事すぎる開幕カードの三連勝も楽天が勝手にこけただけの感もあったためにこの地元開幕カードが試金石だとはそのときに書きましたが、試合巧者の日本ハムを相手に試合下手を発揮しての三連敗にスコア以上の両チームの力の差を見せつけられてしまいました。
ヒルマン元監督が培ったチームを梨田前監督が徐々に壊していき、そして栗山監督が叩き潰して終わりではないかとの甘い観測はどうやら当たりそうにもなく、このあたりは監督がどうのという以前にチームの成り立ちがロッテとは根本的に違うのだろうと思わざるをえません。
ベテランに対するシビアな対応や費用対効果への徹底など瀬戸山&石川体制が目指していたのはこの日本ハムのやりくりだと見ていましたが、もちろんそこはそこで習うべきは習うところなのでしょうが真に目指すべきはチームをどうしたいかという明確な意図ではないかと、日本ハムを見ているとそう思えてきます。
地元デビュー戦となったドラフト1巡目の藤岡は7回途中まで7安打3失点とQSを満たしたまずまずのピッチングでしたが、痛い二発に沈みました。
立ち上がりは変化球が抜けがちで苦しんだものの中盤からはしっかりと立て直してきただけに、不用意というわけでもないでしょうが今後の反省材料です。
カウントを悪くしてもあっさりと歩かせることはないコントロールはやはり魅力的ですし、その実力の一端が見て取れます。
打線の援護さえあれば自分のペースで淡々と投げるだけの球威、制球力を兼ね備えている藤岡ですが、ロッテというチームにいる以上は耐えることを覚えなければなりません。
簡単に追い込みながらも仕留めることができずに粘られたのは日本ハムの各打者の力量によるところも大きいでしょうが、リードをする里崎ともどもにウィングショットを何にするか、見せ球をどうするかを試行錯誤、模索をしている時期なのではないかとも思います。
残念ながらオープン戦の最終戦と同じく投げ合った吉川に球速やメリハリという点では今回も劣った藤岡ですが、その途中降板に悔しさをにじませたコメントは成瀬のそれに比べれば清々しささえ感じますので、その悔しさをバネに次のソフトバンク戦で思いっきりに弾けてもらいましょう。
藤岡を継いだ同じく地元デビュー戦となったドラフト4巡目の益田は貫禄のピッチングで、これで5試合連続の無失点リリーフです。
今日はスライダーやチェンジアップが多めでしたがストレートはしっかりと140キロ台半ばを出しており、そういう点では投球内容が安定をしています。
中田を相手にノースリーとなりながらもあっさりと三振に切って取るなどマウンド上では余裕さえ感じさせますし、表現は微妙ですが相当な拾いものと言ってよいでしょう。
地道にスカウト活動をしてくれている編成部の努力の結果でもありますので、益田には是非ともこのままの勢いを失わずに頑張ってもらいたいです。
打者に考える暇を与えないテンポの良さを続けていけば適当に荒れているところと合わせて快進撃は続いていくでしょうから、新人王の意外なダークホースかもしれません。
そして最後を締めくくったのはドラフト3巡目の中後で、これでルーキーリレーの完成です。
全員がルーキーだった1950年を除けば、もしかするとオリオンズ&マリーンズとしての球団史上初の快挙かもしれません。
その中後はこれまでよりもやや腕がサイド気味に出ているように思えたのは写真を撮ることで意識がそこに行ったからなのかもしれませんが、ストライク先行で攻めていけるときの中後は無双状態に近く、あとはいかに安定感を増していくかでしょう。
ただやはり藤岡と同様にストレートのスピードに安定感がないのが気がかりで、それでも前日の死球を全く気にしていないように思える表情やピッチングスタイルに一安心です。
それにしても益田は中3日で明日も移動日ですから場面を考えれば分からないでもない起用でしたが、ここでの中後はファンサービス以外に理由が思いつきません。
この展開で使わずして木村や中郷、松本をどこで使うのか、西村監督と西本コーチには原稿用紙5枚を上限にレポート提出をしてもらいたい気分です。
この流れからすれば勝っていても負けていても益田、中後は鉄板でしょうし、それもこれも他の投手を試すべきところで試さないためにいざというときに怖くて使えない、だから結果を出している投手が酷使をされてしまうという悪循環がいつまで経っても解消ができません。
いい加減に小さな輪で野球をやるのはやめて欲しいですし、どうしても続けるのであればスローガンを「小さな輪のもと、こぢんまりと闘おう!」に変えるべきでしょう。
こんな敗戦を喫しても見事な9人野球ですので、ベンチで試合を見ている地蔵さんたちの気持ちを考えると胸が締め付けられる思いです。
これも中継ぎ陣と同様に僅差なのでレギュラーで戦い抜くとの西村野球全開なのでしょうが、これでは次の選手は待てど暮らせど出てこないでしょう。
またオープン戦と同じようにやられた吉川に対して狙い球をしっかりと決めて打席に立っているのか、打ち損じているボールを見ればとてもそうは思えません。
その吉川には3回で73球、5回で110球と斎藤佑や武田勝に対しての反省からかボールを見極める場面も見られましたが、実際のところは荒れ気味の吉川が勝手に球数を増やしただけのようにも思えますし、崩れそうで崩れずに要所でビシッと投げ込むところなどは大嶺に見習って欲しいぐらいのピッチングスタイルです。
あまりに情けない大松の凡退にはブーイングに近いどよめきがスタンドに広がり、そのスタンドも連勝で戻ってきたチームを迎える日曜日にしては寂しすぎました。
昨日に続いて今日は三回にして前進守備をするなどベンチには全試合全勝モードの雰囲気が蔓延をしているようにも思えますので、いろいろな意味でリセットが必要そうです。
それでも今日の西村監督は「打順?考えていかないと」と自分のこととしてコメントをしていたようですので、打順だけではなく打者もではないのかしらとの突っ込みは置いておくとして、とりあえずは牛歩のような遅々としたものでも後ろではなく前に進んでいるのだと思うことにします。
最後は完全に余談ですが、目をつぶる藤岡です。
そっぽを向いている服部とは違って顔はしっかりとホームベースに向いているからこそコントロールがまとまっているのでしょうが、ちょっと気にはなります。
益田や中後はリリースの瞬間にしっかりと目を見開いていますので、おそらくはそれが普通なのでしょう。
意識をして撮ったのではなく写真を整理していて気がついたのでどの段階で目を開いたのかは未確認ですが、フィールディングに影響が出ないのかと心配にもなります。
今日はライナーをグラブに当てながらも逸らしたのはたまたまでしょうし、根元と井口の機敏な動きが見られましたのでラッキーではありましたが、今後の注目ポイントです。
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1 |
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6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
安 |
失 |
日本ハム
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0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
3 |
8 |
1 |
千葉ロッテ
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0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
3 |
0
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◆4月8日(日) 千葉ロッテ-日本ハム3回戦(日本ハム3勝、13時、QVCマリン、21,490人) ▽勝 吉川 2試合1勝 ▽S 武田久 3試合2S ▽敗 藤岡 2試合1勝1敗 ▽本塁打 小谷野1号(藤岡)、里崎2号(吉川)、スレッジ2号(藤岡)
▽バッテリー 千葉ロッテ 藤岡、益田、中後―里崎 日本ハム 吉川、谷元、増井、武田久―鶴岡
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