電脳筆写『 心超臨界 』

リーダーシップとは
ビジョンを現実に転換する能力である
( ウォレン・ベニス )

イスラムと中国が21世紀の世界を揺るがす二つの巨大なうねりとなろう――五百旗頭真さん

2008-04-28 | 04-歴史・文化・社会
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1979年――防衛大学校長・五百旗頭真
【「あすへの話題」08.04.25日経新聞(夕刊)】

1979年は、今から振り返れば見過ごすことのできない年である。

1979年、イランにホメイニ革命が起こった。親米・西洋派のパーレビ王制を、イスラム・パワーを動力として打倒した。米大使館員が人質となった。カーター政権はなすすべがなかった。アメリカなんか怖くない。ここで始まったうねりは、誰の予想も超える津波となった。21世紀はじめの9・11テロ、今に続く果てしない自爆攻撃、イスラム原理主義と結びついた過激な戦いはやまない。この激烈な挑戦を、21世紀の世界はどうこなすだろうか。

1979年、東アジアにあっては、小平が中国の文化大革命をついに収拾し、「改革開放」を掲げて経済再建に着手した。一党独裁はそのままに、世界の市場経済に参入し、経済活力と豊かさを求める中国の新戦略であった。今日まで30年に及ぶ高度成長を続け、世界の工場にして世界の巨大市場となる中国を、当時誰が予想したであろうか。超大国・中国は、21世紀の人類史にとって何を意味するだろうか。

全く正反対の仕方ながら、両者が21世紀の世界文明に対する二大挑戦者なのではないか。冷戦終結の十年前、1979年に始まった動きが、21世紀の世界を揺るがす二つの巨大なうねりとなろう。

一見して衝撃的なイスラムの挑戦よりも、世界システムの中でも経済づくりに成功した中国の挑戦の方が、実は手ごわいであろう。日本は中国文明を前線で受けとめる位置にあり、中東イスラム世界については、遠いが故にある種の期待を抱かれる立場にある。国際的視野をもっての21世紀日本の健闘を期待したい。

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