電脳筆写『 心超臨界 』

ひらめきを与えるのは解答ではなく質問である
( ウジェーヌ・イヨネスコ )

日米摩擦のために消えたゲノム解読技術――繰り返し作業のロボット化

2024-05-26 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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80年代、米国は自動車や半導体などの競争で守勢にたっていた。「生命科学でも日本に優位を許すのか」。そんな剣呑(けんのん)な雰囲気が生まれた。日本政府では「米国への配慮」(和田)が働いた。日米摩擦の火ダネになりかねない研究に喜んで予算を投じる官僚はいなかった。ましてそのプロジェクトは生命科学の専門家たちから評判が悪いのである。政治も独創の芽をつぶした。


◆日米摩擦のために消えたゲノム解読技術

独創を拓く―知の群像(14)「日米摩擦がつぶした芽」
( 日経新聞 2004.12.19 )

「生命の設計図」であるゲノム(全遺伝子情報)をすべて読むという構想が1980年代に浮上した時、多くの科学者は懐疑的だった。

30億文字の読み取りは膨大な時間と費用がかかる。1文字当たり10ドルで総費用300億ドル、数十年かかると見積もられた。読みとり作業は単調な繰り返しで「一人前の科学者のする仕事ではない」との意見もあった。

さらにゲノムのうち9割以上は、進化の過程で獲得されたものの、現在は働きを失った「ジャンク(くず)遺伝子」と考えられていた。解読は「労多くして功少なし」とみられた。

物理学者である和田昭允の発想はロボット化によって時間と費用を圧縮。繰り返し作業から研究者を解放するものだ。

多数の自動機械を使って短期間で読む。巨大な実験装置を多くの科学者が協力して作って利用することが多い物理学の世界ならともかく、生命科学の世界では当時、アイデアが突出していた。「DNAを機械に読ませるくらいなら、おれに予算をよこせといった声もあった」と和田はいう。

少数だが、着想の潜在力を見抜いた人々がいた。その一人がアメリカエネルギー省の研究者、チャールズ・デリシ。同省でゲノム自動解読器の開発をスタートさせた。86年に和田に会いに来日、日米協力で進めることを互いに約束した。

米国では少し遅れて生命科学研究の総本山、国立衛星研究所(NIH)も乗り出してきた。エネルギー省とNIHの二頭立て態勢の上に乗ったのがDNA(デオキシリボ核酸)の構造解明でノーベル賞を受賞した大御所科学者、ジェームズ・ワトソンだ。米政府はワトソンをプロジェクトのトップに据えゲノム解読で主導権を取りに出た。

ワトソンは予算権限を握る議会を説得するため日本脅威論を利用したとされる。80年代、米国は自動車や半導体などの競争で守勢にたっていた。「生命科学でも日本に優位を許すのか」。そんな剣呑(けんのん)な雰囲気が生まれた。

日本政府では「米国への配慮」(和田)が働いた。日米摩擦の火ダネになりかねない研究に喜んで予算を投じる官僚はいなかった。ましてそのプロジェクトは生命科学の専門家たちから評判が悪いのである。政治も独創の芽をつぶした。 =敬称略
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