電脳筆写『 心超臨界 』

手本は人を教える学校であり
他からは何一つ学べない
( エドマンド・バーク )

義を先にし利を後にする者は栄える――奥田務

2024-04-30 | 08-経済・企業・リーダーシップ
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生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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渋沢栄一は、生涯に約5百社の設立にかかわりながらも、渋沢財閥をつくることをしなかった。彼は公への関与の念を幼少の時から論語を通じて身につけていた。明治初期、民間の経済活動の振興のために、大蔵省を辞した渋沢にとっては、「利は義の和」でなければならず、「利をもって利とせず、義をもって利とす」が基本であった。

日本の産業近代化をめざす渋沢の心にはいつも義利合一という北極星があり、衆星の経営者たちは、渋沢北極星を中心にして回転した、といわれる。

現代の経営においても、荀子の「先義後利(義を先にし利は後)」を社是とし、みごとに業績を回復させた経営者がいる。大丸会長・奥田務さんのことだ。

荀子は「利を先にして義を後にする者は辱められる」とも書いている。「先義後利」で奥田さんが成功をおさめる裏で、ライブドアや村上ファンドの事件は、荀子のことばをそのまま現代によみがえらせた感がある。


◆義を先にし利を後にする者は栄える――奥田 務

[人間発見]――ひと スクランブル
義と利のはざまで①
大丸会長・奥田 務さん
( 2006.07.10 日経新聞(夕刊) )

■老舗の体質打破、人員削減に苦悩
 冷めた頭が長期的経営に必要
 嫌なこと先延ばしは「義」にならず

低迷していた大丸の業績を、5期連続で過去最高の経常利益を
あげるまでに回復させた奥田務会長(66)。老舗の古い体質
を打破し人員整理を含む改革を進めた成果だ。「先義後利(義
を先にし利は後)」という社是を座右の銘としつつ、「利益な
くして経営なし」という信条を持つ。

当社は2006年2月期に連結経常利益が3百2億円と初めて3百億円を超えました。私が大丸の社長になって1年目の1998年2月期は60億円。実は今日の厳密な連結会計制度で計算すれば、実質最赤字だったと思います。

私は取締役に就任して2年足らずで、創業家出身の下村正太郎社長(当時)からっ社長就任を言いつかりました。突然のことで1年間は前体制を踏襲しつつ様々な部門の業務内容と収益状況を調べました。

相当に業績が悪化している。これは抜本的に改革しないとえらいことになると思って、改革に乗り出したわけです。40ほどあった関係会社を半減させるなど不採算事業を大幅に整理し、東京・町田店など不振の国内店を3店閉めた。タイ、フランス、シンガポールなど11あった海外店も全部撤退。外商の安易な安売りもやめさせました。

いちばん悩んだのは人員削減です。役員会でも相当議論が白熱し、険悪になったこともあります。私も荒療治はしたくない。人を切らずに全員の賃金を下げるワークシェアリングも考えました。一見平等です。

でも、これだと士気は下がるし優秀な人材は流出する。そこで希望退職募集に踏み切りました。退職金を割り増しし転職者の支援制度も設けた。当時はまだ保有していた株式や不動産の含み益がかなりあり、それを原資にしました。余力のあるうちに思い切ったリストラ策をとったことが業績回復のてこになりました。

「ウオームハート、クールヘッド(温かい心と冷めた頭)を唱
える。だが、明治維新の元勲では西郷隆盛よりも大久保利通を
尊敬するという。

西郷はウオームハート、大久保はクールヘッドを代表しています。どちらも大事ですが、クールヘッドでなければ長期的な経営はできない。そこに大久保の魅力がありますね。

社是の「先義後利」は中国の儒学の祖の一人、荀子の「義を先にし利を後にする者は栄える」に由来しています。義は今風に言えば顧客満足や社会的責任の追及。雇用維持もその一つです。でも利益を出し、会社を存続させなければ経営責任は果たせない。やはり経営は結果責任です。

「何とかなるだろう」とはっきりした見通しもないのにダラダラと判断を先送りしていたのがそれまでの大丸でした。人員削減や店舗閉鎖など社員や取引先がいやがることをやらないのは表面的には義を重んじているようで、結局は義にならんのです。

でも荀子は「利を先にして義を後にする者は辱められる」とも書いている。もうかればいいといういものではない。基本は先義後利。ライブドアや村上ファンドの事件を見ると、その思いを深くしますね。

(聞き手は 編集委員・井本省吾)
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