電脳筆写『 心超臨界 』

手本は人を教える学校であり
他からは何一つ学べない
( エドマンド・バーク )

◆事後法でつくられた架空の犯罪《 「平和に対する罪」 》

2024-10-14 | 05-真相・背景・経緯

§4 東京裁判――日本に犯罪国家の烙印を押すために演じられた政治ショー
◆事後法でつくられた架空の犯罪《 「平和に対する罪」 》


このままでは、日本の指導者を裁く大義名分がない――。そんな中、終戦直前の1945年8月8日、アメリカ主導で、ロンドン協定が締結されました。協定には、戦争犯罪人を裁くための「国際軍事裁判所憲章」が附属され、捕虜虐待(ほりょぎゃくたい)など通例の戦争犯罪以外に、戦争を計画・実行したものを裁ける「平和に対する罪」という、新たな戦争犯罪類型が確立されました。


第13章 東京裁判で重光葵がA級戦犯にされた理由/中西輝政
『太平洋戦争の新常識』
( 歴史街道編集部編、PHP研究所 (2019/7/12)、p168 )

ニュルンベルク裁判には、ホロコーストという、人間が人間である限り、裁かなければならない「人類悪」と言うべきテーマがありました。その点において、あの裁判には幾(いく)ばくかの正義があったのは事実です。

しかし東京裁判においては、日独共通とされるようなメルクマール、すなわち「人道に対する罪」にあたる残虐行為は、いくら探してもありませんでした。

昨今、叫ばれている「南京(ナンキン)事件」も、確かに何らかの軍規に違反する行為があったということは事実でしょう。しかし、大虐殺があったなどとは、少なくとも裁判の開始時までは、日本側では誰も指摘(してき)されていませんでした。

このままでは、日本の指導者を裁く大義名分がない――。そんな中、終戦直前の1945年8月8日、アメリカ主導で、ロンドン協定が締結されました。

協定には、戦争犯罪人を裁くための「国際軍事裁判所憲章」が附属され、捕虜虐待(ほりょぎゃくたい)など通例の戦争犯罪以外に、戦争を計画・実行したものを裁ける「平和に対する罪」という、新たな戦争犯罪類型が確立されました。

こうして、ナチスのホロコーストのような「人類悪」は一切犯(おか)していない日本の指導者も裁ける法律ができあがったわけですが、法は不遡及(ふそきゅう)、つまり、その法の制定以前に行なわれた行為に遡(さかのぼ)って適用されないというのは、大原則です。ところが、「平和に対する罪」は、開戦後に定められた、いわゆる事後法の典型でした。これが今も指摘され続けている、東京裁判の最大の問題点です。

さらに私が強調したいのが、国際軍事裁判所憲章が、1928年のパリ不戦条約を根拠法にしている、という点です。

パリ不戦条約は、「国際紛争の解決の手段即ち自衛以外に国家の政策として戦争はしない」「一切の紛争解決は平和的手段に依(よ)るべき」としていますが、法解釈上、何の罰則も設(もう)けられておらず、しかもアメリカやイギリスには「植民地などで武力行使しても問題にしない」などの留保(りゅうほ)が付けられています。しかし、どういうわけか、日本には同じような留保は付けられていません。

パリ不戦条約とはそもそも、一般的な原則や精神を謳(うた)ったもので、国家指導者個人を処罰する法的根拠には、到底、なり得ません。しかしアメリカは不戦条約の“精神”を悪用し、東京裁判を開いて、事後法である「平和に対する罪」、つまり日本は「侵略戦争」を行なったとして日本の指導部を裁くという、法的には破天荒(はてんこう)な試みに走ったのです。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◆「裁判」と「復讐」を混同し... | トップ | ◆東京裁判はインチキであった »
最新の画像もっと見る

05-真相・背景・経緯」カテゴリの最新記事