電脳筆写『 心超臨界 』

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( アナトール・フランセ )

不都合な真実 《 日米安保同盟の鍵は犠牲の共有――村井友秀 》

2024-06-30 | 05-真相・背景・経緯
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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日米安保条約は感情的に見れば日本の土地を米国の兵士が血を流して守り、日本の兵士は米国の土地を守らない条約だ。米軍が日本の土地を守る代わり、日本の土地(在日米軍基地)を米軍が使用できる(血と土地の交換)という説明は国際関係の専門家は理解できても、トランプ大統領を支持する米国の大衆は納得しないだろう。中国も日米同盟の信頼性を疑うかもしれない。中朝友好協力相互援助条約は、締約国が戦争状態になったとき他の締約国は直ちに全力で軍事援助することになっている。


◆日米安保同盟の鍵は犠牲の共有――村井友秀・東京国際大学特命教授
(「正論」産経新聞 R02(2020).12.30 )

日本と中国は永遠の隣国である。二国間の関係は距離が近いほど、経済が大きいほど接触が多くなり摩擦が大きくなる。

  日本に対する脅威

現在の世界で隣国を超えて大規模な軍事作戦を展開できるのは米国だけである。従って日本を攻撃できる軍事能力のある国は、米国と隣国ということになる。世界の軍事力ランキング(GFP)を見ると、関係国で日本(5位)よりもランキング上位の国は米国(1位)、ロシア(2位)、中国(3位)である。米国は日本の同盟国で脅威ではない。日本の脅威になる国はロシアと中国、そして日本を核攻撃できる北朝鮮(25位)ということになる。

また脅威は軍事能力と侵略意志の掛け算である。侵略意志とは相手の同意なしに現状を力で変更しようとする意志である。ロシアのプーチン大統領は力で東欧の現状を変更して失った旧ソ連の勢力圏を復活しようとしており欧州にとって脅威である。他方、極東ロシアの国境線は旧ソ連時代と同じでありロシアが失ったものはない。ロシアのアジア戦略は現状維持である。中国は軍事力を使って東南アジア諸国の抵抗を排除し南シナ海の現状を変更した(修正主義)現状変更勢力である。

北朝鮮は朝鮮半島の現状を変更し南北統一すると宣言しているが、北朝鮮が主張した「高麗民主連邦共和国」は「一民族一国家二制度二政府」すなわち「一国二制度」であり、実際は現状維持が目標である。従って、能力と意志を掛けると日本の脅威になる国の一番手は中国である。

  平和を守る日米同盟

国際関係には、二国間の力関係が逆転する時に戦争の可能性が高まるという理論がある(パワーシフト理論)。過去の多くの戦争は追い付こうとする弱者に危機感を抱いた強者が追い越される前に弱者を叩(たた)く「予防戦争」か、追い越して強者になった弱者が追い越されて弱者になった強者を叩く「機会主義的戦争」であった。

21世紀に入ると中国はGDPで日本を追い越し軍事費も日本を上回った。現在、中国の軍艦や軍用機は日本の2倍以上ある。他方、21世紀に日米間や日露間でパワーシフトは見られず、パワーシフトが起こったのは日中間である。また米中間にはパワーシフトはない。

従って戦争が発生する可能性が高いのはパワーシフトが起こった日中間ということになる。但(ただ)し日米は同盟国であり、日米同盟と中国の間にパワーシフトはない。すなわち、日米同盟と中国の間で戦争が発生する可能性は低いということになる。日米同盟が機能している限り、日中間に戦争が起こる可能性は低い。

  信頼と共感の日米同盟

同盟が機能するためには価値観を共有し、共通の敵が存在し、共に戦う覚悟がなければならない。

日本と米国は自由と民主主義という共通の価値観を持っている(敗戦国日本では戦勝国米国の価値観が徹底的に教育された)。また、現状を力で変更しようとする中国の台頭を脅威だと認識する人が日米で増えている。日米には共通の敵が存在する。

しかし日米同盟を「血で結ばれた同盟」だと思っている人は日本にも米国にも中国にもいない。日米安保条約では「日本の施政下」にある領域で日米に対する武力攻撃が発生した場合に米国が「憲法の手続き」に従って対応することになっている。米国の施政下にある領域が攻撃された場合の日本の行動は日米安保条約にはない。

米韓相互防衛条約では「各締約国の行政的管理下」にある領域が攻撃された場合に両国が適切な措置をとることになる。北大西洋条約機構(NATO)では、締約国の領域、軍隊、船舶、航空機が攻撃された場合、各締約国は集団的自衛権を行使して直ちに兵力の使用を含む行動をとる。米国がテロリストに攻撃された状況に対応しNATOが集団的自衛権に基づいて戦ったアフガン戦争では、今年1月までに英国450人、カナダ158人、フランス87人、ドイツ54人、イタリア48人が戦死した。

日米安保条約は感情的に見れば日本の土地を米国の兵士が血を流して守り、日本の兵士は米国の土地を守らない条約だ。米軍が日本の土地を守る代わり、日本の土地(在日米軍基地)を米軍が使用できる(血と土地の交換)という説明は国際関係の専門家は理解できても、トランプ大統領を支持する米国の大衆は納得しないだろう。中国も日米同盟の信頼性を疑うかもしれない。中朝友好協力相互援助条約は、締約国が戦争状態になったとき他の締約国は直ちに全力で軍事援助することになっている。

米国は感情的な世論によって動く国であることをトランプ大統領は証明した。危機になれば理性よりも感情の影響力が大きくなる。米国の大衆が感情的に共感しない同盟は、平時には存続できても有事に耐えられないだろう。日本の対米政策は大衆の感情を動かすものでなければならない。血と土地の交換は納得できなくても、血と血の交換は理解できるだろう。
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