電脳筆写『 心超臨界 』

神は二つの棲み家をもつ;
ひとつは天国に、もうひとつは素直で感謝に満ちた心に
( アイザック・ウォルトン )

歴史を裁く愚かさ 《 竹島と尖閣とアメリカの態度——西尾幹二 》

2024-07-09 | 04-歴史・文化・社会
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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
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結局、何がアメリカを動かすかといえば、日本の確固たる決意の表明ということに他ならない。尖閣諸島でクリントン政府は明確な意思表示をしなかった。むしろ日本の意志をうかがっている。日本の出方でアメリカが動く。少しはまだそういう可能性もある。かくて日本国民は強い国家意思を持つことを今は願っているのであり、そのことの現われが今回の選挙の結果であるとしたら、何よりも自民党は従来のしがらみをあえて断ち切って、事に臨んで国家意思を示す勇気を持つべきだと私は思う。


『歴史を裁く愚かさ』
( 西尾幹二、PHP研究所 (2000/01)、p240 )
第4章 日本人よ、知的に翻弄されるな
3 ワイマール時代のドイツと日本の政治情況

◆竹島と尖閣とアメリカの態度

日本は、いままた大陸の野蛮に対して再び文明を示さなければならないのだ。文明を示す唯一の尺度が経済力では、いかにも頼りない話だが、昔のように武力が万能でもない。欧米の武力が退く状態のなかで、いかにして日本は野蛮の前で自存自衛を守り切るかという問題が、今、ひたひたと迫りつつある。このことはすでにしていろいろな形で現われており、国民は尖閣諸島問題にも竹島問題にも非常に敏感に反応している。謝罪外交は、向こうが日本国内を揺さぶるのに非常に都合のいい手段であるということについても、国民は知っている。それに乗せられて揺さぶられているマスコミと、堂々とものがいえない政府に対して、ひそかに憤りと苛立ちをさえ持っている。

そこで一番問題になるのは、東アジアにおいてアメリカの果たす役割ということだが、アメリカはおそらく次の四つぐらいの未来の可能性は想定しているだろう。

第一は、アメリカは軍事的にも最終的責任を果たす。

第二は、アメリカは核兵器を含む北朝鮮並びに中国のあらゆる軍事的脅威を黙認して、見て見ぬふりをし、微笑外交を続ける。

第三は、いち早く防衛線をハワイまで下げて、在日韓の米軍を引き揚げてしまう。あるいは在韓米軍は引き揚げるが日本だけ残す。

第四は、何か起こったときに制裁には動くが、軍事紛争になりかけたら途中で責任を回避して逃げ出す。

アメリカほどのしたたかな国であれば、それぐらいのシミュレーションは想定しているはずである。これに対して日本政府は、どこまでも一を前提として、二、三、四は考えないことにしている。二より先を考えないのは、結局は憲法の制約であるが、アメリカが日米安保条約を誠実に履行するという意思を信じ切って、あるいは信じたふりをして、アメリカの軍事外交にみずからの運命を委ねているのが日本の現実である。

しかし、ここでその例証をいちいち挙げることはしないが、すでにして現実は一から二に移っているということは、邪推ではなく、相当程度の確実度をもっていえる話ではないだろうか。周知のとおり8月、アメリカはテロ支援国としてリビアとイランに新たな制裁措置を行ったが、北朝鮮にはなぜか手ぬるい。軽水炉や重油供給や食糧援助などをいい、東アジア最大のテロ国家の人権侵害には目をつぶる。人権問題といえばいつしか中国のそれに対するアメリカの非難も12億のマーケットの可能性を考えて、トーンダウンしていく一方である。それでいてミャンマーのような小国の人権問題には居丈高になる。アメリカが北朝鮮と中国にだけはなにか説明のできない自己抑制状況にあることは否めない。つまり、アメリカの政策は今や二の段階に移り、中国と北朝鮮の脅威には事実上見て見ぬふりをし始めている。

それでもアメリカは日米安保の建前上、まだ日本のために動く用意を持っているであろう。となると、結局、何がアメリカを動かすかといえば、日本の確固たる決意の表明ということに他ならない。尖閣諸島でクリントン政府は明確な意思表示をしなかった。むしろ日本の意志をうかがっている。日本の出方でアメリカが動く。少しはまだそういう可能性もある。かくて日本国民は強い国家意思を持つことを今は願っているのであり、そのことの現われが今回の選挙の結果であるとしたら、何よりも自民党は従来のしがらみをあえて断ち切って、事に臨んで国家意思を示す勇気を持つべきだと私は思う。それは国民に対しての責任でもあるし、対米姿勢の確立という意味でも避けがたいことだと思う。

日本がワイマール・ドイツと同じ混迷に見舞われながら、権力中枢不在のこの混迷を乗り切るには、ひとえに政治家の勇気と国民の冷静なる智恵が、求められる所以である。
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