電脳筆写『 心超臨界 』

嫉妬のナイフは詳細を極めて研ぎ澄まされる
( ルース・レンデル )

かけがえのない家族 《 母の足音——佐藤和心 》

2024-08-16 | 06-愛・家族・幸福
電脳筆写『心超臨界』へようこそ!
日本の歴史、伝統、文化を正しく学び次世代へつなぎたいと願っています。
20年間で約9千の記事を収めたブログは私の「人生ノート」になりました。
そのノートから少しずつ反芻学習することを日課にしています。
生涯学習にお付き合いいただき、ありがとうございます。

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東京裁判史観の虚妄を打ち砕き誇りある日本を取り戻そう!
そう願う心が臨界質量を超えるとき、思いは実現する
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  世の中でいちばん大切なものは家族と愛
  ( ジョン・ウッドン )
  The most important thing in the world is family and love.
  ( John Wooden )


◆母の足音――佐藤和心(かずみ)(54) 大阪市住吉区
(「朝晴れエッセー」R02(2020).04.16産経新聞 )

「トン、トン、トン」「ダッ、ダッ、ダッ」「ゴロ、ゴロ、ゴロ」

2階で母の足音や戸を開け閉めする音が聞こえる。

「ああ、生きてる、生きてる」と思う。

3年前の秋、父が亡くなった。2人暮らしだった家に、母は一人ぼっちになった。

80歳を過ぎた母と同居することにした。15年ほど前に父の好みのまま建て替えた家。畳の部屋ばかりだった古い2階建ては、3階建てに生まれ変わった。私は、父が使っていた1階の部屋を頂戴した。

住み始めてみると、驚くほど2階の音が響く。同居する前は、丈夫なマンションに住んでいた。上階の音などあまり聞こえなかった。母の足音の大きさにイライラして、もっと静かに歩くよう苦情を言った。しかし、長年の習慣をそうそう変えることなど到底無理。

仕事が休みのある日、2階でまったく音がしないことに気づいた。「あれ? どうしたんだろう? もしかして倒れてる?」。あわてて2階に駆け上がった。

こたつの上に置かれたラジオの声が聞こえている。その前にぽつんと座った母は、うっつらうつらと居眠りをしていた。目が見にくくなった母は、テレビではなく一日中ラジオの前に座っている。「な~んだ、よかった」と、思うと同時に騒音だった母の足音が、命の音に変わった。

「ドシッ、ドシッ、ドシッ」

今日も力強い足音が聞こえてくる。
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