司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

変更登記?更正登記? その2

2011年11月11日 | 商業登記

おはようございます。
ここしばらく、この問題が頭を離れませんで、モヤモヤモヤモヤ。。。。しています。

実際問題として起きにくいケースではあるんです。
だって、重任したのに登記するまでに住所が変わってしまう。。。ってことは、重任して2週間以内に登記申請するんだったら、そのちょっとの期間中に引越しをし、しかも、引越しすることが事前に伝わっていないってことです。

ですから、任期中に住所移転したのだけど、それを見逃して旧住所で重任登記してしまった、というのが普通のケースだろうと思います。

住所移転に関して、変更登記・更正登記いずれの登記になるかの基準点は登記日(=登記申請日)である、という知識は昔っからのもので、そういえば「何かの本に書いてあった」という記憶はありません(←何しろ、それはそれは遠い昔なもので^^;)。ですから、受験生のときに勉強したのかも知れないし、実務に入って習ったことなのかも知れません。

それで、何故、こんなギモンに悩まされているかというと。。。

一つは、「これに関して詳細に解説された文献が見当たらないこと」 であり、一つは、「他のヒトに意見を聞いたところ、変更登記と答えたヒトが複数人いたこと」なのですが、自分の中で上手く整理がつかなくなってしまったんです。

「変更登記」と答えた方の意見では、登記申請日ではなく、「原因日付」で判断するというモノです。
この考え方ですと、住所変更の登記が申請されていないだけの状態であって、それを遅れて申請するんだから「変更登記だ」というわけです。

一方、「更正登記説」のワタクシとしては、これに反論しなくてはなりません。
ま、「不動産登記と商業登記で考え方は異ならない」というのも一つの理由なのでしょうが、それだけではちょっと根拠としてはあいまい。

ですので、こんな風に考えてみました。
「商業登記は強制登記なのだから、登記申請時点における最新の内容を登記しなければならない。したがって、登記申請前の変更事項が看過されてしまった場合、その後にその事項を登記するには更正登記をすることになる。」

どうですかねぇ?
何となくシックリこなくって。。。実は、もう一つ整理がつかないことがあるからなんですが、それというのは、登記事項の遺漏というヤツです。

良く説明に使われるのがこういうケース。

取締役ABCが就任した。。。けど、取締役ABと登記し、Cを登記しなかった。
後日Cを登記する場合、「遺漏による更正か?」というもの。

わりと有名はハナシだとは思うんですが、これは更正ではないとされています。
つまり、Cの取締役の就任登記は、他の取締役とは別の独立した登記事項なので、これからする登記は「遺漏更正」でなく、「単なる変更」なのです。
ですから、一つの登記事項を構成する一内容が漏れた場合にのみ「遺漏による更正登記」ということになるのだそうです。

例えば、代表取締役の住所を登記し忘れた場合なんかは遺漏に該当しますね。

それから、「社外取締役である旨の登記」です。
本当は「取締役(社外取締役)」と登記すべきであったのに、「(社外取締役)」の部分の登記が漏れてしまったとき。
これも後日申請する際には、「遺漏更正」でなく、単なる「変更」登記となる、と説明されています。理由は同じ。
こっちは、ちょっと分かりにくいですけど。。。

こういうのを組み合わせて考えていくと、ますますワケが分からなくなってくるのですが、何が分からないかも整理しつつ。。。
また来週~~~^^;

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3 コメント

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就任登記の抹消 (みうら)
2011-11-12 18:00:23
就任登記の抹消
産業組合や民法法人の設立登記前に死亡していた理事・監事は抹消登記することになるという。
しかし、就任による変更登記前に死亡した場合はその人の就任と死亡の登記をしますよね。
返信する
そのモヤモヤ、分かります (神奈川の司法書士)
2014-07-23 10:25:39
かなり昔の記事に今頃コメントをしてすみません。

そのモヤモヤ、よく分かります。
が、その登記は、やはり変更登記だと思いますよ。
登記申請日ではなく、原因の発生した日付の時点で登記された事項が「正しいのか、誤っているのか?」を判断するべきだと思います。

今回のケースは住所変更なので更正登記ができそうな気もしてしまいますが、就任後、登記申請日までの間に「死亡してしまった」ような場合を考えるとわかり易いのではないでしょうか?

この場合、登記申請日には役員の方は死亡してしまっていますが、就任日を原因日付として役員の就任登記をし、その後、死亡した日付で死亡による退任、つまり役員の「変更登記」をすることになるでしょう。
最初から死亡していたとして、登記しない、または錯誤で抹消登記という結論にならないことは明らかでしょう。

要は、登記された原因日付の日において、登記された事項が正しいのか?誤りなのか?で判断するのだと思います。

登記された事項が登記された時点で「正しい(又は正しかった)か?」で判断する、と言ってもよいかもしれません。

頭を悩ませている事例は、登記された時点で実態と登記簿とが相違してはいますが、登記された内容自体は誤りではありません。
ですから、就任登記の登記日付よりも前の日付が住所変更の原因日付になってしまいますが、就任登記の役員の住所を更正するのではなく、住所「変更」登記をすべきだと考えます。

私の結論としては、更正登記は、登記された事項の内容が、登記された当初から誤りである場合にのみ、錯誤や遺漏を原因として申請できるのだと思います。
返信する
Unknown (charaneko)
2014-07-23 11:41:10
神奈川の司法書士さん、コメントありがとうございました。
記事を書いてからも、色んなご意見を頂戴しまして。。。結局、ワタシ自身、今は、「どっちでも良いんだろうな。」と思っております。
(もちろん、神奈川の司法書士さんのご意見も、ごもっともです。)

で、レアケースではありますが、その後も同様のケースは数件ありましてね。。。実際は、変更登記の方が登録免許税が安い会社サンが多いし、次回の(改選期ではない)役員変更登記と一緒に申請すれば、別途登録免許税がかからない。。。というコトもあり、変更登記の方が良いのです。。。ケド、法務局は「更正登記でやって!」と仰る(変更登記で良かったケースはありません)。

コレに関しては、根拠があいまいなので、ご指示のとおりにやるしかなくって、聞かなければ変更登記でも受理されたかも知れませんし、ワタシがもっと粘れば良かったのかも知れませんが、法務局では「更正登記説」が多いような気がしています。

通常は、「これが正解!」と確信が持てれば、議論をするんですケドも、このケースに関しては、ワタシ自身「どっちの考え方も成り立つ」と思っているので、反論する気にもなれず。。。^_^;

。。。とはいえ、貴重なご意見をありがとうございましたm(__)m
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
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