ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

君死に給うことなかれ (2)

2017年07月01日 | 随筆
 先日も中学生が自殺したと報道されていました。前途ある10代で死を選ばなければならないということは、実に痛々しいことです。
 総務省の統計によると、成人の自殺者は平成26年は合計25.427人、平成27年24.025人と減って来ているのに対して、19歳までの年齢の合計は、26年538人、27年は554人と、かえって増えています。
 ここ数年は、日本全体としては自殺率が下がって来ているのですが、中学生の自殺率は増えているのです。
 交通事故で死亡した人は、平成28年は4.117人でしたから、自殺者の方が交通事故死の約6倍も多いのです。
 世界保健機構(WHO)2012年によると、日本の自殺率は世界第6位とあります。悲しむべきことです。
 男女の差は、中学生は2/3が男子。高校生も約6割が男子。社会人も当然男子が多いです。ストレス社会ですから、こうなるのでしょうか。それとも産む性として、DNAに組み込まれているのでしょうか。
 私は、2013年5月12日に一度「君死に給うことなかれ」という題でブログを上げました。この時は、就職活動中の自殺者が増えたことが気になっていました。現在は前述した通り、その後約4年間で自殺者は可成り減少したのですが、中・高校生の自殺率に絞ると一層悲しい結果になっています。
 どうしても学校へ行かなければならないでしょうか。行こうと思っていても、どうしても行けない人には、「行かない選択」もあるのではないでしょうか。
 ご両親やご家族にも、この苦しみを良く理解して貰いましょう。ご両親もご家族も「学校に行くことがたった一つの選択肢だ」と、背中を押すことで、結局死を選ばなければならないように追い込んでいませんか。
 家の中に居場所がない、ということが起きさえしなければ、時間が経ち成長する内に、やがてやりたい事、生き甲斐、更に生きる喜びが見つかります。
 私はいじめに遭っている本人が、家族に相談するのは、恐らく死の直前まで追い詰められた時ではないか・・・、と先頃の中学生の自殺に思うのです。そんな時はきっと事態が切迫していますから、素早く立ち上がって、ただちに行動を起こす必要があると思っています。子供たちの悩みは真剣に受け止めましょう。
 家族に理解して貰えて、力になって貰えれば、自殺することには至らなくて済む確率は高いと思っています。
 次の人達の若い頃をご存じでしょうか。

<トーマス・エジソン>(1847~1931年)発明王の異名を持つ発明家
 彼は小学校の教師に「学習する知能がなさすぎる」と言われ、仕事は2度「生産性がなさすぎる」と解雇され、電球の発明に1000度の失敗があった。後にインタビューで記者に「1000回失敗したという気持ちはどういうものですか」と尋ねられ、「1000度の失敗をしたわけではない、1000のステップを経て電球が発明されたのだ」と答えたそうです。失敗は全て成功の元なのです。
 
<ハリソンフォード>(1942~現在も) スターウォーズやインディ・ジョーンズなどでの人気俳優 現在も活躍中  

 高校のときに「最も成功しそうにない少年」というタイトルで選ばれ、いじめられっ子で女の子にももてなかった。初めての役柄はベルボーイ役で、当時の副社長に「君は才能がない」と言われた。今では大変な人気俳優です。

<アルベルト・アインシュタイン>(1879~1955年)相対性理論を築きあげた物理学者 20世紀最大の天才と言われる。
 彼は4歳になるまで話すことができず、7歳まで文字が読めなかった。両親は彼の知能が低いと思い、先生の一人は彼のことをこう表現した。「精神的に遅れており、社会性はなく、いつまでもとりとめのない空想にふけっている」学校を退学になった後チューリッヒの学校から入学を拒否されている。後になんとか読み書きができるようになった。

<ルートヴイヒ・ヴァン・ベートーベン>(1770年~1827年)ドイツの古典派音楽の偉大な作曲家

バイオリンを自己流に扱い、自己流に作曲した曲を弾いた。そのことで先生に作曲家としての才能はないと言われる。後に偉大な5つの交響曲を聴覚を失ったまま作曲する。

☆日本人で登校拒否であった有名人
 宮本亜門(演出家)千原ジュニア(お笑いタレント)

☆ADHD(注意欠如多動性障害)の日本人 長嶋茂雄(プロ野球選手)黒柳徹子(TV司会者・タレント)
 このような人が・・・と驚くのですが、自らそう発表していて、なおさら偉いと思える人達です。
 
 こうして見ると、何だか引きこもりも登校拒否も、学業成績不振も、そう大した問題では無いのだと思われても来ます。幼い頃から何か目的を持って、ひたすら努力する人も居るけれど、自然に「自分の好きな事」をしている内に、「自ら道は開けてくる」のだと考えましょう。
 私自身も「絶対この道に進む」とは、親も私も思っていませんでした。どこでどのように人生という列車を乗り継いで来たたのか、明確には分かりませんが、それなりに良い選択だったと、振り返って思っています。

 現在は、フリースクールと云う所が出来てきて、学校になじめない人も、気楽に通える施設も増えたようです。通信教育もあります。堅苦しく考えないで、もっと親も子もユッタリと構えて欲しいのです。人と同じ道を歩かせないと不安だと思う親ごさんの気持ちも分かりますが、何が一番大事かを考えましょう。新聞が読めて、加減乗除の計算が出来、ある程度健康体であれば、あまり困ることはありません。
 先ずは家庭の中に「居場所」を作りましょう。子供の悩みを受け止めて、切羽詰まっている人には、何も学校や職場に、どうしても行かなくても良いのだということが分かるように話しましょう。そして何よりもその悩みを真剣に受け止めてやりましょう。
 こんな統計もあります。18歳未満の子供のいる世帯で,一週間のうちで家族そろって一緒に朝食を食べる日数は,「ほとんどない」が32.0%で最も多い。家族そろって夕食を食べる日数は,「2~3日」が36.2%と最も多いものの,「ほとんどない」も7.0%となっている。※家族そろって食事をとる日数(18歳未満の子供のいる世帯 平成21年厚生労働省)
 だんだん生活が苦しくなって、共働きをしないと教育費も大変だ、という世の中になって来ました。工夫して出来るだけ子供を孤独にしないようにしたいものです。
 内閣府が昨年夏に発表したデータによると、「18歳以下の自殺者において、過去約40年間の日別自殺者数をみると、夏休み明けの9月1日が最も多くなっているほか、春休みやゴールデンウィーク等の連休等、学校の長期休業明け直後に自殺者が増える傾向がある」(内閣府『平成27年版自殺対策白書』)といいます。
 休みの後の登校が辛いと思うことを共感出来る人も多いかと思います。ですからその時期に「学校に行きたがらない」様子が見えたら、細やかな配慮をしてやりましょう。
 決して脅かしたりするつもりではありません。一つしかない命を大切にして、先に上げた人達のように、与えられた命を、ゆったりと心豊かに生きて欲しいのです。
「君死に給うことなかれ」どうか死に急がないで欲しいのです。
 これはお年寄りであっても、これから先にどのような良い日々があるか、明日に希望を繋いで元気に生きてゆきましょう。