ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

統計から見える日本と世界

2016年03月22日 | 随筆
 卒業・入学・進学の春です。私の気ままな好奇心は、何時何処で何に出合って捉えられるのか、本人にも解らない浮浪者です。先頃世界や日本の人口比や男女の割合が気になって、総務省統計局のホームページを開いて見ました。ついでに様々な統計を見て、いささか考えさせられました。
 平成28年2月の日本の総人口は概算で1億2517万6千人であることが解りました。日本の総人口は1950年には、世界で5位ですが、その63年後の2013年には10位になっています。そして2050年には20位になると推計されています。
 国別に見ると1950年も2013年も第1位は中国で、2013年の人口は13億8千6百万人です。日本の約11倍です。
 2030年には1位はインドにかわり14億7千6百万人、中国は2位で14億5千3百万人、3位はアメリカ合衆国で3億6千3百万人(2位との差が大きいですね)、日本は13位1億1千7百万人になります。
 2050年になりますと、一位インド16億2千万人、2位中国13億8千5百万人、3位ナイジェリア4億4千3百万人です。日本は20位になって、9千7百万人です。
 此処で注目したいのが、中国とインドの桁外れの人口の多さばかりでなく、20位迄の人口総数の和が世界の人口のおよそ70%前後であることです。
世界の国数196(2015.5.15外務省)を思うと、少数人口の国が、如何に世界に多いか驚かされます。
 ちなみに、2050年の4位以下は、アメリカ合衆国・インドネシア・パキスタン・ブラジル・バングラデシュ・エチオピア・フィリピン・メキシコ・コンゴ民主共和国・タンザニア・エジプト・ロシア・ウガンダ・ベトナム・イラン・ケニアそして20位の日本です。国土の広さや人口密度・社会的背景などは全て度外視して、単に人口という切り口からのみ比較した数字に過ぎません。
 2013年の世界の人口総数は、20位までの和で、約71億6千2百万人です。その比率70.5%の内、男女別の内訳が男70.9%女70.0%で、男が多いです。しかし2050年の推計だと、20位までの和で、95億5千百万人となり(約24億人増えます)男・女の人口は1~3位迄のインド・中国・ナイジェリアは男の割合が多いですが、4位のアメリカ合衆国から20位の日本迄の17カ国で、男の多い国は、パキスタン・イランの2カ国のみになってしまいます。(以上総務省統計局より抜粋)一般には、普通の状態で男性105に対して女性100程度の出生率だとも、いわれているようです。男の出生率が多いことについては、「それは、もともと男性の方が新生児期などの死亡率が高いため、種の存続の観点から男女の比率が同じになるように、長期にわたり自然界の作用が働いた結果とされます。ただし、医学が進んだ現代では、新生児期の死亡率は男女同等になっています。
 また、一人っ子政策や高額な持参金など、各国の事情に基づいた積極的な産み分けが行われた結果、各国間の出生男女比の差として現れている可能性もあります。日本の女性出生1人に対する男性出生数は、1.056人で、世界ランキングの順位は60位です。
 ランキングの1位は中国の1.160人、2位はアゼルバイジャンの1.150人、3位はアルメニアの1.138人です。ランキングの最下位はルワンダの1.017人です。」(「」は国際統計格付けセンターの世界の女性1人に対する男性出生数ランキングによる)
 こうして色々な角度から見ると、数字の裏に潜む事情も透けてくるように思えて、興味深いものがあります。
 さて、次は教育にどれ程のお金をかけているか、ということに目を向けて見ました。国が栄えて行くためには、次代を担う子供たちの教育に如何程の関心を持ち、投資をしているか、がとても気になります。日本の識字率は世界一だと言われていましたが、現在はリヒテンシュタインが第一位、ついで北朝鮮・ノルウェーで共に100%日本は99%となり28位、最下位は南スーダンの27.0%だとありました。(国際格付けセンターによる)
 これには驚くばかりで、素直に信じられない気がしましたが、もしかしたら、外国人の移住者が増えて来たからたでしょうか。
 経済協力開発機構(OECD)は加盟国の教育状況の調査結果「図表で見る教育2013年版」を発表しています。それによると2010年の日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は、前年と同じ3.6%で、加盟国で比較可能な30カ国中最下位だったとありす。最下位は4年連続だったそうです。
 発表によると、教育機関に対する公的支出のGDP比は、OECD加盟国の平均が5.4%、最も高かったのはデンマークの7.6%。以下ノルウェー7.5%。アイスランド7.0%、ベルギー・フインランドが共に6.4%と続きます。イギリス5.9%、アメリカ5.1%です。
 これは最新資料に依ると、また変わっていると思います。日本は教育に公的資金を投入することには、積極的でないと言え、家庭の負担が大きいことを示しています。別に日本の4歳児の就学前教育(幼児教育)の在学率は97%とトップクラスです。「生徒の学習到達度調査(PISA)」の分析でも、1年間以上の就学前の教育を受けた生徒は、受けない生徒よりも、平均点で50点以上も高く、この差は最終学歴まで影響します。国内の調査でも幼児教育を受けた子供の方が、学習到達度が高くなることが解っています。
 在学率では世界に誇れる日本の教育ですが、政治の教育に対する意識の低さは、恥ずべき実態だと言わざるを得ません。作今の「保育園落ちた」の波紋の広がりにも、大いに理解し、応援すべき行動だと思います。
 私がこの総務省の統計を見ようと思った時は、このような統計があることを事前に考えていた訳ではありせん。識字率はNO1と出るかと思って引いてみましたのに、思い掛けない結果から、OECDの統計に迄広がりました。様々な統計を見る内に、これは一層大変だと思いました。これでは「日本の大学は最低で、馬鹿ばかり作っている」と言う一部の識者の警告も、格差脱出研究所の「日本の大学は、堕落した機関でありながら、“学歴”という買い物をするためだけに、行かざるを得ない最低の教育機関なのです」とあるのも、間違いだとは言えない気がしてきます。
 私はかねてから「入学はたやすく、卒業は難しく、学生時代はしっかり勉学に励まないと卒業出来ない」という大学にならないと、今のままでは存在する意味は無いようだと思っていました。 
 もう退任されましたが、高名な大学教授が、私の家族に当てた私信で「学生の論文のコピペが増えて、困ったものだ」と言われたのは、例のスタップ細胞の騒ぎの少し前です。驚いていましたら、その事実が明らかになって、そういう時代になっていたのか、と改めて呆れ果ててしまいました。
 現在の日本の大学生は、入学まではせっせと勉強するけれど、入学してしまえばトコロテン式に卒業できるので、折角の大学時代を遊びや楽しむ為のアルバイトに費やしている実態を知って、一体何のために大学に入るのか、理解出来ない気持ちです。「大卒」の箔などとうの昔にナンセンスになって来ているのですから、この際三分の一位は廃止しても良いのではないか、と思ってしまいます。文科省も縮小に動いているようです。本来は卒業を難しくすれば良いのでしょうが、それでは各大学が自校の将来を考えて、補習してでも卒業させてしまうでしょう。勿論全ての学生が駄目だと言っている訳ではありません。教育は何の為にするのか、今のままで良いのか、関係各位に基本からしっかり考えて頂きたいと思います。そして家庭は勿論の事、社会ももっと子供たちに関心を持って国の宝を大切にしたいものです。
 最近の国会議員の勉強不足、協議中の居眠り行為、スマホいじりなどを見て、つくづく情けなく思う人は多いと思います。教育を受けるということは、学力を身に付けるばかりではなく、人間として豊な心を身に付け、それを実行出来る能力を修得することだと思うのです。
 先日保育園の2歳児の子供達が、保母さん達と散歩に出て来たのに会いました。子供たちの目は透き通っていて水晶のように美しく輝いていました。思わず「綺麗な目ね」と感嘆の声を上げました。この美しい目と心が濁りませんように、と願ったことでした。


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