ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

親学のすすめ

2015年07月11日 | 随筆
 我が家で読んでいる新聞の七夕の日に、子供新聞が折り込まれて来ました。それに「怖いと思うものは?」という特集が載っていました。私は現代を生きている子供たちが、何に関心を持っているか?、何が楽しく、何を目指しているのか?等と、とても興味がありますから、毎週一回折り込まれてくる、こども新聞にも目を通しています。
 地震・雷・火事・親父(おやじ)と言うのが、私達が子供の頃に「怖いもの」の代表でその順だと思って来ました。この調査の子供の対象は小学生ですが、男女とも一番怖いのは、「おばけ・幽霊」でした。世の中が変わったとは言え、子供らしさがあって微笑ましくも思えました。ところが第2位が、予想だにしなかったものでした。男女共に「お母さん」だったのです。男女総合で見ると、三位「お父さん」・四位「夜(暗い所)」五位「虫」・六位「鬼」・七位「地震・天災」となっていました。
 全体でお母さんの方がお父さんよりも怖いという所が、いかにも現代らしく思えました。しかしそれにしても、果たしてこれで良いのか。これで健全な家庭教育が出来るのか、専門家に意見を聞いて見たいものだと思いました。
 私個人の感想としては、父は何も言わなくても怖い存在でした。大きな声で叱られたことも無く、叩かれた事も一度として無いのですが、黙って座っているだけで、身近で一番怖い人でした。母は何時も家にいて、優しい存在でした。母を怖いと思ったことは全くありませんでした。恐らく私達の年代の人が子供の頃は、皆そうだったかと思うのですが、何時の間に母親が父親よりも怖い存在になっていたのか、全く知らなくて考え込んでしまいました。
 年齢の低い未成年の犯罪が増えて、家庭内に父親の影が薄くなってはいないか、と言う記事を読んだり、耳にすることもありましたが、こう並べられると、母子家庭が多くなって来ていることが、「怖いものお母さん」の数を押し上げている原因の一つかも知れないと思い、少し調べて見ました。
 「平成22年国民生活基礎調査」によると、児童のいる世帯数は、1232万4千世帯で、全世帯の25.3%でした。年次推移を見ると、全世帯による児童のいる世帯の割合は、低下傾向にあります。このうち一人親と未婚の子のみの世帯は、81万3千世帯で、児童のいる世帯全体の6.6%です。これは増加傾向にあります。悲しいことです。
 2005年の国勢調査によると、更に「子と同居で配偶者のいない女性」(15~49歳)(シングルマザー)は118万人で、同男性(シングルファーザー)は、20万4千人です。又、シングルマザーの核家族は約70%です。祖父母などと同居の世帯は残りの約30%となっています。男性の場合、他の親族と同居する傾向が高く、56.6%となっています。
 どちらも離別(離婚)が最も多く、次が非婚と死別です。非婚は男女とも年々微増ですが、多くなっているとあり、又母子父子家庭の多くは親が35~40歳くらいがピークなのに、非婚は低年齢で10代から20代が多くなっています。でき婚が増えているともありました。世の中の風潮に一概にとやかく言えませんが、その傾向について真剣に考えないと後悔するのではないかと心配です。
 お化けや幽霊が怖いのは、今も昔も同じようですが、アニメ画像で空想も現実のように見られる時代ですから、より身近にそれが挙げられても当たり前かも知れません。
 それに比べて大人のアンケートの纏めでは、全体で見ると、1)地震・天災 2)病気 3)人(人間関係)4)おばけ・幽霊 5)死 6)お金 7)事故 とありました。お金が怖い理由は、幸せにも不幸せにもなる、と40代の女性が答えていました。
 年齢が上がるので、死や事故も突然やって来ますから、当然だと思います。男女別では、1・2・3は同じですが、男性の4・5は「お金」、「妻」の順、女性は「おばけ・幽霊」と「お金」です。お金が怖いとは、思いもしなかったので意外ではありましたが、お金持ちであったが為に不幸になった例も沢山見聞きして来ていますから、それは良いとして、「お化け・幽霊」とは、一人前の大人の考えることでしょうか。
 また、大人でも矢張り女性が強いようです。育メンが増えて、働く女性が多くなりましたから、当然なのかも知れませんが、日本はいつの間にか女性が男性よりも断然強くなって来たのですね。怖いおやじは何処へ消えたのでしょうか。それに「先生」というのが出て来ません。それほど教師は、怖くなく、又ある意味で相談も出来ないし尊敬の的にもならないのでしょうか。
 一人親だと、今回岩手で起きた、中2のいじめによる自殺の場合のように、親の立場や気持ちが分かりすぎて、悩みも我慢して飲み込んでしまわないか、気になります。又父母共に怖い存在になれば、誰にも悩みを打ち明けたり出来ず、逃げ場がなくなって、家庭の中に居場所が見つからないという事にならないか、気にもなります。スマホなどで絆の弱い友達を沢山持っていても、いざという時に強い味方になるでしょうか。つい心配を先取りして、考えてしまいます。
 5月にに行われたこの新聞社のアンケートによると、「尊敬する人は?」の答えが、1位「母」2位「父」だったことと合わせて考えると、怖くもあり、尊敬もする人でもありそうです。それは正しいのでしょうか。
 子供は真っ先に祖父母を乗り越え、やがて母を、そして父を乗り越えて大人になっていくのだと思っていましたが、核家族化によって、子供の世界が狭くなっている気がしないでもありません。
 しかし、親も子も、お互い選べず、変えられず、ですから一層親や教師がしっかりしなくてはならないと思います。一人親の人達は、それだけの努力をしておられると思いますが、一方不安も多いでしょう。子供が「良い子」である程に、死を選ぶしかない状態に陥りかねないと聞いたりすると、いたたまれない気がします。
 統計調査にも、親学の必要性が書かれていた所がありましたが、私も同感です。子育ては、やり直しが出来ません。将来の家族の形も国の形も、社会として、一番小さな単位である、家庭の親子関係が決めるといっても過言ではないでしょう。心して親として在るべき姿を模索しつつ、子育てしないと、不幸な人が増えて、犯罪も増加して来るのではと思います。 何故離婚がこんなに増えるのか、離婚によって置いて行かれるのは、子供たちです。親は自ら「親学」に精を出し、行政も「親学」に手を伸ばし、速くから親子の悩みを救い取って、社会の最小単位の家庭教育に力を注いで欲しいと、切に望みます。 
   

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