ばあさまの独り言

ばあさまから見た世の中のこと・日常生活のこと・短歌など

祭日や行事とこの国のこと

2012年03月02日 | 随筆・短歌
 やっと厳しかった冬が終わり、三月は三日はひな祭り、五日は啓蟄、二十日はお彼岸です。そして忘れられない3.11の一周年があります。
 二月十一日は建国記念の日でありました。ですが私の見た日経新聞と地方紙には、どちらもこの建国記念日にまつわる行事の記録がなく、これでは単なる国民の休日でしかなかったようです。建国記念の日というのは日本国民が、「建国をしのび国を愛する心を養う」日として祝うことになっている筈です。「日本書紀」に書かれている紀元1年をしのび国の歴史に思いを馳せ、建国を祝うと共に国を愛し、国の将来をしっかり考える日であって欲しいと思うのは、もう古い考えでしょうか。
 卒業式が近づくと、決まって日の丸君が代の問題が表沙汰になります。何処の国でも国旗を大切にしない国はありません。オリンピックやサッカーなどスポーツの世界的大会には、勝てば国旗が掲げられて、君が代が流れます。国民は胸を熱くして国旗を見あげ君が代に涙しています。
 不幸な戦争があったとしても、それは国旗や国歌のせいではなく、不幸な歴史の教訓として今後に生かすことが大切なのであって、自国の国旗を卑下したり、君が代を否定するのは間違っていると思います。天皇は国家の象徴であり、その御世が末永く続くようにという願いは、同時に国民の末代までの繁栄を願うことでもあります。現在の両陛下もお体の不調を顧みず国民の為に諸行事にお出ましになり、外交にお力を注ぎ、被災者をお見舞いになり、宮中に伝わる伝統的な祭祀を行っておられます。
 今年は紀元2672年に当たると、我が家の菩提寺から頂いた暦にありました。兎に角これほど長い年月、日本の皇室は続いて来ており、その歴史は世界一であります。そう考えると、国旗や国歌や皇室は、心の支えではあっても、おろそかにするようなものではないと思っています。
 祖国への愛や誇りを否定し、国旗や国歌に敬意を払わない一握りの教育者は、生徒に良い影響を与えているとは思えません。戦後民主主義となって平等の意識が定着してきましたが、その反動もありました。その結果目上の人を敬いいたわり、家族を大切にし友だちと仲良くしたり、人間同士お互いに譲り合い思いやる心がやや置き去りになりかかっていたことを、あの3.11でどれほどか思い知らされました。しかし今や世界中からの支援に感謝し、日本中が被災者の為に力を合わせています。自分は我慢しても被災者の為に、という日本人の価値観が甦って来たように感じています。そんな国に誇りを持ちたいものだと思います。
 建国の日から少し話がそれました。
 ひな祭りは少子化時代ですが、古いおひな様を飾る各地のひな祭りの行事もあり、ひな人形を飾ったり祝う家庭もあると思います。別名「桃の節句」とも言い、春らしい心の温まる行事です。
 五月五日の端午の節句は、子供の日として国の祭日にもなっています。かつては男の子がいる家では鯉のぼりを立てて祝いました。今も昔も子供を思う親の心に変わりはないし、保育園・幼稚園・学校などを通して、子供は国の宝であることを自覚し、健やかな成長を願って来ました。その一方で、セントバレンタインデーとか、いつのまにかハロウィンまで始まって、クリスマスに恋人が居ない女性が、にわか恋人とデートしたりすると聞いたりします。行事を通して人間関係を深めて行くことは、大いに良いことだと思うのですが、それが単なるアメリカの習慣の真似ごとであったり、商才に巧みにのせられているだけだとしたら、いかがなものかと思います。
 日本には二十四節気という素晴らしい季節の折節があります。清らかな水と空気と緑に囲まれた日本にふさわしいものです。もとは中国から伝わったものですから、季節が少しずれたりしますが、今や日本の風土になじんで、無くてはならないもののように思うのですが、どうでしょうか。立春を基準にして、15日ずつ区切ってあります。八十八夜も二百十日も、みなこの立春が基準になっています。
 間もなく啓蟄です。「蟄虫(すごもりむし)戸を啓く(ひらく)」と云われ、冬眠中の虫が出て来るころという日です。今年は寒かったので、まだ少し早いようですが、春の到来を知らせる心弾む日でもあります。
 私は殊に2月19日の雨水、4月4日の清明、4月20日の穀雨、6月5日の芒種、9月7日の白露などが好きです。(日にちは今年の暦に依ります)勿論良く知られている春分・立夏・夏至・立秋・冬至なども生活に密着しています。「もうこんな季節になったのだなあ」と、季節の移ろいを趣深く感じます。
 大好きな日本に誇りを持ち、四季の移ろいに心を寄せ、こんなに美しい日本に生まれた奇跡に感謝して過ごしたいと思っています。川端康成がノーベル文学賞を受賞した時に「美しい日本の私」と題して記念講演されたのですが(講談社現代新書2002年)、その説くところが心にしみ込んで来ます。
 やっと春が実感されるようになりました。未来に希望を持ち、人々を信じて明るく過ごすことにいたしましょう。

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