孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

台湾  中国本土方向へミサイルを誤射

2016-07-02 23:12:57 | 東アジア

【7月1日 読売】

【「両岸の当局間の連絡、交流メカニズムはすでに停止した」】
中国側は、中台双方が「一つの中国に属する」と確認したとされる「92年コンセンサス」を政治対話の大前提としていますが、台湾・蔡英文政権は現状維持を掲げ、「一つの中国」「92年コンセサス」を明確に認めていません。

そうした蔡英文政権に対して中国側は、中国国務院台湾事務弁公室が、中台間で公的なやりとりを続けてきた連絡体制が停止していると公表するなど、圧力を強めています。

****台湾・蔡英文政権誕生から1カ月余 “中国無視”にいらだつ習近平政権、「輸入制限」「観光ツアー減らせ」と経済圧力*****
台湾で蔡英文政権が発足して1カ月以上がたち、中国の習近平政権は、中国に歩み寄る姿勢を全く見せようとしない蔡政権へのいらだちを募らせている。中国の台湾問題研究者は、「両岸(中台)関係はこれからますます悪化する」と語った。
 
27日付の中国共産党の機関紙、人民日報傘下の環球時報は、台湾に関する記事2本を掲載した。内容は、「蔡総統のパナマ訪問」と「中華航空のストライキ」に関するもので、いずれも「民主進歩党政権は台湾の民意を無視している」との批判的な視点で書かれていた。
 
5月20日に総統に就任した蔡氏は就任演説で、中国が求める「一つの中国」の原則に触れなかった。中国政府はすぐに「これでは未完成な答案だ」との内容の談話を発表し、台湾側に原則の確認を迫ったが、中国の官製メディアは当時、蔡氏をほとんど批判せず、静観の態度を見せていた。
 
しかし、蔡政権は中国の要求を無視し、2014年の中台経済協定への反対デモ「ひまわり学生運動」で台湾の行政院(政府)の敷地に侵入した大学生ら126人の刑事告訴を撤回。また、親中的とされる中国国民党の馬英九前総統の香港渡航を認めないなど、中国と距離を置く姿勢を鮮明にした。
 
これを受け、中国は6月以降、蔡政権への批判を徐々に強め、25日には「両岸の当局間の連絡、交流メカニズムはすでに停止した」と発表。ほぼ同時に、台湾への経済圧力も強まり、関係者によると、台湾商品の中国への輸入はさまざまな制限が加えられるようになった。
 
北京の旅行会社社長によると、当局から「台湾への観光ツアーを減らせ」との指示を受け、特に蔡氏が率いる台湾独立志向の民進党が地盤とする高雄市、台南市などの台湾の南部地域に渡航しないように徹底指導されたという。中国人観光客を減らすことで、経済面で蔡政権を圧迫しようとしているとみられる。
 
同様の圧力は、台湾の陳水扁政権(00〜08年)の時代にも実施されたことがあり、蔡政権への打撃は限定的との見方も多い。

北京で企業を経営する台湾人男性は、「景気が悪化すれば蔡政権への一定の影響はあるが、逆に中国の強引な手法に反発する台湾人も多い。これを機に中国への経済的依存を減らして東南アジアに進出しようと考える台湾人が増えている」と話している。【6月27日 産経】
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台湾が中国への経済依存をそう簡単に減らせるかは疑問ですが、いずれにしても中台関係は緩やかにではありますが緊張を強めています。

誤発射について中国に直接連絡があったかどうかは明らかでない
そうしたなかにあって、信じがたい“事故”が。

****台湾軍艦がミサイル誤射、1人死亡 中国「影響は厳重****
台湾の国防部は1日、南部・高雄で演習の準備をしていた軍艦が雄風3型対艦ミサイル1発を誤射したと発表した。ミサイルは北西に約75キロ飛び、台湾の離島、澎湖島の手前に着弾。この際、航行していた台湾漁船を直撃して貫通したと見られ、船長が死亡、船員2人がけがをした。
 
ミサイルが飛んだのは中国の方向だったが、中台の実効支配の区分け線とされる台湾海峡の中間線は越えなかった。国防部は誤射後に中国軍に異常な動きはなかったとしている。

誤射は装備点検の際に誤って「作戦モード」を選んだために起きたという。台湾メディアによると、雄風3型は改良型の射程が400キロ以上とされ、「空母キラー」とも呼ばれている。
 
一方、台湾中央通信によると、中国国務院台湾事務弁公室の張志軍主任は同日、取材に対して「影響は非常に厳重だ」とし、「台湾当局は両岸(中台)関係の平和発展をどう守るのか、厳粛に向き合う必要がある」と述べた。【7月1日 朝日】
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間違い、人為ミスはどんなシステムでも必ず起こりえます。
私もしょっちゅう間違いってばかりですから、ひとのことはとやかくは言えませんが、やはり軍事とか原子力関係とかにあっては「あってはならない」ことです。

しかし「あってはならない」ことがときどき起こるのが現実でもあります。

“中国では同日、中国共産党の創立95周年の記念式典が開かれている。誤発射について中国に直接連絡があったかどうかは明らかでない。”【7月1日 ロイター】

今回は“台湾海峡の中間線は越えなかった”ということで、被害も台湾側だけですが、もし中間線を越えていたら・・・・、中国側に被害が発生していたら・・・・、中国側の迎撃・反撃システムが作動したら・・・・考えると怖い話です。

軍事的なことは全くわかりませんが、今回のように本土方向にミサイルが発射された場合、中国側は迎撃・反撃態勢に入らないのでしょうか?

当然ながら、台湾から中国への速やかな連絡・説明が必要です。そうした仕組みはあるのでしょうか?「両岸の当局間の連絡、交流メカニズムはすでに停止した」状態にあっても、緊急連絡ルートは必要です。

中国側がどのように反応しようとしたのか、中台間の情報伝達がどうなっているのか気になるところです。

また、漁船に命中したということは、自国漁船を標的にした演習を行っていたのでは・・・とも思われます。

****台湾のミサイル誤射、国民党議員「漁船は台湾を救ってくれた****
2016年7月1日、中国メディアの観察者網は、台湾によるミサイル誤射問題について、蔡正元(ツアイ・ジョンユエン)国民党政策会執行長が、漁船は台湾を救ってくれたと自身のフェイスブックに投稿したことを伝えた。

1日午前、高雄市左営港でミサイル艇「金江」から対艦ミサイル「雄風3型」1発が誤って発射され、台湾海峡にある澎湖島沖沖合で漁船を直撃、船長が死亡し、船員3人が負傷した。

これについて台湾の蔡正元国民党政策会執行長は、自身のフェイスブック上で、ミサイルが(中国の)アモイ市まで飛んでいたかもしれないと指摘したうえで、「もしも(中国)大陸の反撃システムが自動的に起動していたら、高雄市は戦火で滅び、陳菊(チェン・ジュー)(高雄市長)はこの世にいなかったかもしれない。正確に言えば、漁船は陳菊を救い、高雄を救い、台湾を救ってくれたのだ」とつづったという。

記事によると、この投稿について台湾のネット上から大きな反響があり、わずか2時間で2000以上の「いいね」がつき、シェア数は数百回となったという。

記事は、台湾のネットユーザーから「何か内情があるに違いない。このミサイルは空母キラーのはずなのに、なんでこんなにも威力が小さいんだ?漁船すら沈められないじゃないか」、「俺たちは蔡英文(ツァイ・インウェン)が挑発して台湾海峡での戦争を引き起こすのではないかと強く疑う」などのコメントが寄せられたと伝えた。【7月2日 Record china】
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蔡氏が中国側を挑発するような愚かなことをするはずもありませんが、こうした信じがたいミスが起きてしまうのが現実です。

ミサイル発射を繰り返す北朝鮮のミサイルが何らかの手違いで日本へ・・・ということもあり得ます。緊急連絡ルートが必要なことは中台間と同じです。
コメント
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