孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

韓国  災害・危機管理における社会的責任  地震情報メールミス アシアナ航空の事故対応 日本は?

2016-07-06 21:18:26 | 東アジア

(これまで韓国で起きた大きな地震 右下が今回の蔚山沖の地震 日本でも地震活動が活発化しているのでは・・・と思われますが、これまであまり地震が多くなかった韓国でも、最近は増加傾向にあるようです。図は【7月6日 朝鮮日報】 なお、今回地震で対馬が震度2、北九州や山口で震度1を観測しています)

【「日本のように、耐震設計が完璧な建物を建てよう」】
日本は有り難くないことに世界有数の地震大国ですが、お隣韓国はあまり地震はないようです。
5日に蔚山沖で起きたM5.0の地震は、日本的な感覚では大騒ぎするほど大きな地震とも思いませんが、現地では大きな混乱を引き起こしたようです。

****韓国で地震発生、市民らが避難し大混乱に=ネットからも不安の声****
2016年7月5日、韓国・聯合ニュースによると、韓国・蔚山沖で起きたM5.0の地震により韓国全土で揺れが感知され、市民らが大混乱に陥った。

韓国気象庁によると、5日午後8時33分ごろ、蔚山沖を震源とするM5.0の地震が発生した。M5.0の地震は、韓国で気象観測が始まって以来、5番目の規模となる。国民安全処は、「同日午後9時までに、地震関連の問い合わせが6679件あった」と明らかにした。

震源地から近い蔚山市では、教室で夜間自習をしていた女子高生ら約1000人が外に避難。映画館でも停電が発生し、観客らが緊急避難した。

高層マンションが集中している釜山市海雲台でも、夜中に住民らが非常階段から建物の外に逃げ出すなどの騒ぎが起きた。

また、ツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にも、ベランダの鉢植えが落下して割れた写真や、時計が揺れている動画などが多数掲載され、不安の声が広がった。

この報道を見た韓国のネットユーザーからも、不安の声が寄せられている。

「韓国はもう地震安全地帯ではなくなった。政府はすぐに対策を講じなければならない」
「学校や会社などで、定期的に避難訓練を実施するべき」

「こんな状況なのに、政府は原発を増やそうとしている。本当に恐ろしい」
「韓国で強い地震が発生したら、建物の崩壊も問題だが、放射能の流出がより大きな問題となるだろう」

「今後が不安だ。もっと大きな地震がきたら、韓国はどうなってしまうのか?」
「日本のように、耐震設計が完璧な建物を建てよう」

「日本では地震が発生した瞬間や直前にテレビや携帯で警告音が鳴る。蔚山市では地震発生から30分後に警告音が鳴った。状況が落ち着いた後に鳴らしても何の意味もない」

「日本で小さな地震を体験した時は、『アトラクションに乗っているみたいでおもしろい』と感じたのに、今回は恐怖で眠れなかった。韓国も日本のように、住民が信頼できる建物を建ててほしい」【7月6日 Record China】
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ネットの反応には、日本の耐震設計・地震対策を評価する声が見られるようです。
この点は、地震のたびに甚大な被害を出し、「おから工事」と呼ばれる手抜き工事が問題とされる中国でも同様です。

****あまりに対照的!地震でも倒壊しない日本の建物、平時に「仰向け」に倒れる中国のマンション***
日本は地震が多発する国であるため、日本の家屋は地震に強い構造となっている。日本の耐震、免震に関する技術は世界随一と言えるが、これも地震が多い国という背景があってこそと言える。

中国上海市では2009年、地震も何も発生していないにもかかわらず、建設中の13階建てのマンションが突然「仰向け」に倒れるという事故が発生した。

また、中国では地震のたびに建物が倒壊し、多くの人が下敷きになって死亡するケースが多いためか、中国人からすれば、日本の建物が大きな地震でも倒壊しないのは不思議に感じることのようだ。

中国メディアの微頭条はこのほど、「日本の住宅はなぜ地震で倒壊しないのか」と疑問を投げかけつつ、日本の一般住宅の建設の様子を紹介し、日本の家屋が地震に強い理由について伝える記事を掲載した。

記事は、「地震が多発する日本は世界最強の耐震技術を持つ」と指摘したうえで、度重なる地震は被災地に大きな経済的損失をもたらしているとしながらも、耐震性を備えた家屋は地震があっても屹立していると紹介。さらに、倒壊はおろか、大きな地震でもびくともしない日本の家屋は「まるで不死鳥のようだ」と指摘、これは世界最強の耐震技術によるものであると論じた。

続けて、現在の日本では新たに建設される建物は建築基準法によって定められた基準に則って、高い耐震性を備えると指摘したほか、日本の家屋が地震に強いのは「木材」を使用していることだと指摘。耐震、免震技術を取り入れた構造であるうえに、木材が地震の揺れをある程度吸収できることで、日本の家屋は不死鳥のように頑丈なのだと伝えている。

中国では今なおレンガ造りの建物は多いが、レンガは揺れに弱く、地震で崩壊する危険性は非常に高い。事実、中国で地震のたびに倒壊する建物は大半がレンガ造りであり、倒壊したレンガの下敷きになって死亡するケースが多い。

また、上海でマンションが仰向けに倒壊したのは「おから工事」と呼ばれる手抜き工事が原因だ。建物は災害時のみならず、いつでも人命を守れる存在であるべきだが、中国の事例からは一歩間違えれば人の命を奪う存在に変わることが分かる。【7月6日 Searchina】
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緊急災害情報メールで日付ミスに公式謝罪なし
話を昨日の韓国の地震に戻すと、地震発生に伴う緊急災害情報メールのミスが批判を浴びています。

****韓国の緊急地震速報で痛恨の日付ミス、6分後訂正=ネットで批判殺到****
2016年7月5日、韓国・ニューシスなどによると、韓国の国民安全処が、蔚山沖合での地震に関し発信した緊急災害情報メールで日付表記を誤るという痛恨のミスを犯してしまった。

安全処は同日午後8時33分ごろ、南東部・蔚山沖合52キロの海域で発生したマグニチュード5.0の地震を受け、蔚山地域の住民に対し緊急災害メールを発信した。

住民に余震への備えやテレビなどでの情報収集を呼び掛ける内容だったのだが、このメール、地震発生を「4日夜8時33分」と日付を誤って表記してしまった。韓国ではまれな規模の地震に驚いていた市民らはこのミスでさらなる混乱に陥った。

安全処は最初のメールから6分後に日付を訂正したメールを発信したが、これについて公式な謝罪や釈明は今のところ行っていない。

これについて、韓国のネットユーザーがさまざまなコメントを寄せた。

「しかもそのメールが地震から17分後に届いた」
「政府の危機管理能力は完全に0点」
「日付ミスだけの問題じゃない。災害対応の町内アナウンスも10分以上遅かったし、テレビの対応も遅い」
「いっそ自分自身を信じた方が安全だと思う。緊急災害速報なんてほとんどでたらめだ」

「日本ならこういうメールは地震から30秒以内で届く。それが5分後じゃ、もうとっくに建物の下敷きになっててもおかしくない」
「災害放送を見なさいというメールが来たけど、災害放送ってどこでやってるの?まったく何の役にも立たないメールだ」
「怖い…」

「口だけで安全と言う韓国の現実だ」
「さすが、今回も期待を超えてきた!」
「災害を知らせるメールがむしろ災難」
「韓国は災害の経験も少ないし、予防しようという意思もない。災害時にめちゃめちゃになることは目に見えている」【7月6日 Record China】
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まあ、ネットの反応というのは匿名の言いたい放題という点では日本も韓国も同じです。

日本の緊急速報に関しては大きな揺れが到達する数秒から数十秒前に警報を発することを意図したものですが、個人的には実際に揺れ出さないと体が反応しないということで、あまり活用できていません。

また、私の古いガラケーにはそもそも警報が届きませんが、先日の熊本地震の際には、スマホなどで警報をうけとった知人などでは、「地震そのものより、夜中のけたたましい警報に驚き不安になった」との声もあがっています。

地震発生前の段階で正確に予報するような警報になれば、有効活用されるのでしょうが。

韓国の緊急災害情報メールのミスですが、まあ、ミスは仕方ないところもあります。
問題はむしろ、「公式な謝罪や釈明は今のところ行っていない」という点ではないでしょうか。

アシアナ航空 事故機について乗客をウソでごまかそうと・・・・
韓国の危機・災害管理体制というと、2014年4月16日に起きたセウル号転覆事故において、真っ先に逃げ出した船長や、救助体制の不備・不手際が思い浮かびますが、最近では、アシアナ航空でも。

****韓国アシアナ、出火の飛行機を「別のもの」と偽り運航=ネットが批判****
2016年6月28日、韓国・中央日報によると、韓国・アシアナ航空が、離陸直前に航空機のエンジンから出火したにもかかわらず、乗客らに「別の飛行機を用意する」と案内した後、同じ飛行機に乗せていた事実が明らかとなった。

24日、米ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港を離陸する予定だったアシアナ航空のエンジンから原因不明の出火があった。航空会社は不安がる乗客に対し、「別の飛行機で韓国へ向かう」と説明したが、翌日、滑走路で離陸を待っていた航空機を不審に思った乗客が追及すると、航空会社は「出火のため前日飛ばなかった飛行機だ」と明らかにしたという。

乗客らが強く抗議し、警察まで出動する騒ぎとなったが、乗客らは結局、出火が発生した飛行機に乗って韓国・仁川空港に到着した。

これについて、航空会社は「軽微な火災の場合は、修理後に同じ飛行機を飛ばしても問題ない」と説明した。しかし、専門家からは「エンジンの出火は乗客の安全に直結する部分。十分な点検、修理をした後に運航の可否を判断しなければならない」と指摘する声が出ている。

この報道に、韓国のネットユーザーからは以下のようなコメントが寄せられた。

「安全が最高の価値なのに!」
「数百人の命よりも金が大事ということ」

「そんな恐ろしいことが?アシアナがだんだんナッツ航空(大韓航空)化している」
「外国なら多額の罰金に営業停止処分まで食らうだろう」

「やっぱり韓国は詐欺天国」
「墜落事故が起きるのも時間の問題だ。今度からは外国の航空会社を利用しよう」

「格安航空会社は不安だから、高くてもわざわざアシアナを利用していたのに。無駄に金を使っていたようだ」
「新しい航空会社をつくるべき。競争がないから気が緩んでしまう」【6月28日 Record China】
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「軽微な火災の場合は、修理後に同じ飛行機を飛ばしても問題ない」というのであれば、そのように乗客にも説明すべきで、「別の飛行機で韓国へ向かう」とウソを言うのは論外です。

セウォル号にしても、アシアナ航空にしても、また、今回地震の安全処のミス対応にしても、日本的な感覚からすると韓国にあっては「社会的責任」への理解が充分ではないのではないかとの疑念を感じます。

もっとも、日本でも東電による「メルトダウン」隠蔽のような話もあって、危機管理の在り方・社会的責任が問われているのは同じとも言えます。アシアナ航空同様に無用の混乱を避けるため・・・ということでしょうか。
あまり韓国のことをとやかく言える立場にもないようです。

なお、今回は韓国社会の問題を取り上げましたが、このブログはいわゆる「嫌韓ブログ」ではないことを念押ししておきます。

韓国に関する情報を見ていると、基本的に日本とよく似ているところも多々あり、そのなかで独特の反応もあり、興味がつきないものがありますが、そのあたりはまた別機会に。
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