孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

「ボコ・ハラム」対応で、アメリカがカメルーンに部隊派遣

2015-10-16 21:47:26 | アフリカ

【9月18日 AFP】

再び活発化する「ボコ・ハラム」】
ナイジェリアを中心に、周辺のカメルーン・チャド・ニジェールなどでも活動するイスラム過激派「ボコ・ハラム」ですが、「ボコ・ハラム」がイスラム法の導入を掲げて2009年に活動を活発化させて以来、少なくとも1万5000人が死亡しています。

今年5月29日にボコ・ハラム掃討を約束するムハンマド・ブハリ大統領がナイジェリア大統領に就任して以降だけでも、自爆攻撃や襲撃、爆弾などで約1100人が命を落としています。【9月18日 AFPより】

ナイジェリア・チャド軍の掃討作戦にもかかわらず、「ボコ・ハラム」は最近再び自爆テロを活発化させています。

****ボコ・ハラム ナイジェリアなどで再び活発化****
アフリカのナイジェリア北東部とその周辺国では、勢力が弱体化したとみられていたイスラム過激派組織、ボコ・ハラムが、テロ攻撃を再び活発化させ、市民の犠牲が相次ぐとともに、多数の子どもたちが家を追われるなど、人道危機が拡大しています。

ナイジェリア北東部のボルノ州で20日、地元の市場やイスラム教の礼拝施設、モスクなどで爆発が相次ぎました。これまでに少なくとも54人が死亡し、多数のけが人が出ていて、いずれの爆発もボルノ州などを拠点とするイスラム過激派組織、ボコ・ハラムによる爆弾テロの疑いが強まっています。

過激派組織IS=イスラミックステートに忠誠を誓うボコ・ハラムは、襲撃や誘拐事件を繰り返し、支配地域を拡大してきましたが、ことしに入って、ナイジェリア軍や隣国のチャド軍などによる掃討作戦で、支配していた地域を失い、勢力も大幅に弱体化したという見方が出ていました。

しかし、最近になって、人々が多数集まる市場などを狙って、自爆テロなどテロ攻撃を再び活発化させており、市民の犠牲が相次いでいます。

また、国連によりますと、家を追われる子どもたちが急増し、ナイジェリア北東部と周辺国で合わせて140万人に達したということです。

さらに、ナイジェリアと周辺国との国境付近にあるチャド湖周辺の地域では食糧不足が深刻化するなど、人道危機が拡大しています。【9月22日 NHK】
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特に、周囲から警戒されにくい少女を使った自爆テロを繰り返しており、こうした自爆テロには拉致した少女などが使われていると推測されます。

****<ナイジェリア>子供5人が自爆テロ ボコ・ハラム関与か****
英BBC放送によると、西アフリカ・ナイジェリア北東部の中心都市マイドゥグリで1日、5人の子供が実行犯とみられる自爆テロが相次いで起こり、実行犯を含む計15人が死亡した。イスラム過激派組織ボコ・ハラムの犯行が疑われている。

爆発はモスク(イスラム礼拝所)と、ボコ・ハラムに対抗する自警団のリーダーの家屋で発生した。BBCは治安当局者らの話として、自爆したのが9〜15歳の少女4人と少年1人だったと報じた。

ボコ・ハラムは昨年から、少女らを実行犯に仕立てた自爆テロを繰り返している。北部の中心都市カノでは昨年7月下旬、自爆テロが4回起こり、いずれも10代の少女が実行犯と伝えられた。

今年2月には北東部ポティスクムで7歳前後の少女によるとみられる自爆テロも発生し、実行犯の低年齢化が指摘されている。ボコ・ハラムが、テロ警戒の注意を引きにくい少女らを使っているとの見方もある。

また、ロイター通信によると、首都アブジャ近郊でも2日、2カ所で爆発が発生し、死傷者が出た模様だが、詳細は不明。

国連児童基金(ユニセフ)は今年5月、昨年以降に起きた北東部での自爆テロのうち、少なくとも4分の3で女性や子供が実行犯だったとの見解を発表した。【10月3日 毎日】
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活動範囲も冒頭にも記したように、周辺国に及んでいます。

****カメルーンとチャドで自爆攻撃相次ぐ、ボコ・ハラムか****
アフリカ中部のカメルーンとチャドで10~11日にかけて、隣国のナイジェリアを拠点とするイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」によるものとみられる自爆攻撃が相次ぎ、合わせて50人が死亡した。

カメルーンでは11日、北部Kangaleri村のカフェで女2人が自爆し、治安当局や地元情報筋によると9人が死亡、29人が負傷した。このうち数人は重傷だという。

隣国チャドでも10日、チャド湖沿岸のバガソラで3件の連続爆発があり、計41人が死亡、48人が負傷したと同国政府が明らかにした。

爆発の1件は市内の魚市場を狙ったもので、他の2件は郊外の難民キャンプで起きた。人道支援団体や治安当局によると、複数の人物が人混みの中で自爆したという。

バガソラの難民キャンプには、ナイジェリアやチャドからボコ・ハラムの襲撃を逃れてきた人たちが収容されている。【10月12日 AFP】
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以前から「ボコ・ハラム」は「イスラム国(IS)」への忠誠を公にしていますが、「IS西アフリカ」を名乗るグループによる犯行も起きており、その共闘も警戒されています。

****<ナイジェリア>自爆テロ犯行声明 異例のIS関係グループ****
西アフリカ・ナイジェリアの首都アブジャ近郊で2日に起きた自爆テロで、過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う武装グループが5日、ツイッターで犯行声明を出した。ロイター通信が報じた。

ナイジェリアではイスラム過激派組織ボコ・ハラムがテロを繰り返しているが、シリア、イラクで活動するISによるテロは異例。事実だとすれば、ISとボコ・ハラムが共闘している可能性がある。

ロイターなどによると、自爆テロはアブジャ近郊の警察署付近と市場で発生し、少なくとも15人が死亡した。声明では、「IS西アフリカ」を名乗り、3人が自爆テロを実行したとしている。

1日には北東部マイドゥグリで5人の子供が実行犯と見られる自爆テロが相次いで発生。実行犯を含む15人が死亡しており、ボコ・ハラムの犯行が疑われている。

ボコ・ハラムは今年3月、ISに忠誠を誓う内容の声明をインターネット上に公表。だがこれまでISとの連携は確認されておらず、両者の関係は明らかになっていない。

ISは最近、アフリカでの活動を活発化させており、旧カダフィ政権の崩壊で混乱が続くリビアなどで勢力を拡大。昨年、アルジェリアの武装勢力がISへの参加を宣言したほか、ソマリアを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系「アルシャバブ」もISへの参加を検討しているとされる。【10月4日 毎日】
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最終的には300人規模 無人機などを使用した情報収集、警戒や偵察任務
このように未だ抑制できない「ボコ・ハラム」のテロ行為に対し、アメリカ・オバマ大統領は無人機活用を中心とする支援部隊をカメルーンに派遣したことを明らかにしました。

****カメルーンに米軍派遣、最大300人規模 過激派掃討を支援****
オバマ米政権は14日、アフリカのカメルーンや近隣諸国による過激派勢力の封じ込め作戦を支援するため米軍兵士約90人をカメルーンへ派遣したことを明らかにした。米連邦議会に書簡で通知した。

米国の戦争権限法に基づく措置で、同大統領は派遣兵士は最終的に300人に増やす考えを表明。カメルーン政府の要請に応じ、米軍機による情報収集、警戒や偵察任務を遂行すると述べた。

米軍兵士には自衛目的などで武器を携行させるとし、派遣期間はその必要性が消えるまでとした。

米国防総省の報道官は米軍兵士はカメルーン軍と協力して行動を調整すると述べた。米軍の警戒任務については大半が無人機の活用になる考えを示した。

アフリカ西部のカメルーンや近隣諸国はナイジェリア北部に拠点を築くイスラム過激派ボコ・ハラム掃討戦を進めている。ボコ・ハラムはカメルーンなど隣国にも攻撃を仕掛け、同国北部では先月、市場や病院が襲われ約30人が殺害され、145人が負傷する被害が出ていた。

米国は昨年、ナイジェリアにもボコ・ハラム対策で軍事支援を行った。【10月15日 CNN】
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アメリカは、ナイジェリア北東部ボルノ州の学校から200人以上の女子生徒が拉致された事件を受けて、2014年5月に 諜報 活動や人質救出交渉の専門家らが参加する特殊チームをナイジェリアに派遣することを明らかにしていますが、上記記事最後の“米国は昨年、ナイジェリアにもボコ・ハラム対策で軍事支援を行った”というのはそのことでしょうか。

従来アメリカはナイジェリア政府の腐敗体質を問題視し、ナイジェリアへの支援を事実上凍結していましたが、オバマ米大統領は今年7月、ホワイトハウスでナイジェリアのブハリ大統領と会談、ブハリ新政権との関係改善を進める姿勢を示し、「ボコ・ハラム」の掃討へ向けた協力を約束しています。

逆に言えば、アメリカはこれまでそれ以上の関与を避けてきました。
ナイジェリア・「ボコ・ハラム」に限らず、ソマリアやリビアなどアフリカの紛争等へのアメリカの軍事的関与は全体に少ないものとなっています。

イラク・アフガニスタンで泥沼の戦闘を行い、シリアなど中東政策が行き詰まるなかで、とてもアフリカまで手が回らないというのが実情でしょうし、アフリカに関してはソマリア介入の失敗という「トラウマ」もあります。

そうしたなかでの今回のカメルーンへの派遣ですが、あくまでも無人機などを使用した情報収集、警戒や偵察任務という限定のもののようです。

限定的活動にしても、ナイジェリア北部で襲撃があってもその情報がなかなか政府・軍中枢に伝わらないといった環境においては、無人機によるリアルタイムの情報は貴重なものになるかも。

【「警察官」役を期待されるアメリカ
アメリカ・オバマ大統領がアフガニスタンからの撤退計画変更を余儀なくされたことは周知のところです。

イラクから撤退したらISが台頭し、アフガニスタンからの撤退もタリバンの攻勢で変更を余儀なくされる。
シリアでは行き詰まり、ロシアが存在感を強めようとする。
アジアでは中国が南シナ海への進出を進めている。
アメリカ国内では、こうした事態に対する大統領の「弱腰」批判が絶えない・・・

イランとの合意がなって、ウクライナが沈静化しているのがせめてもの救いでしょうか。

今回「ボコ・ハラム」のように、「世界の警察官ではない」と言いつつも、結局のところアメリカが出ていかないとおさまらない・・・「警察官」役を期待されているというケースも多々あります。

どういう思いで今回のカメルーン派遣をオバマ大統領が決めたのは知りませんが、アメリカ大統領の責務は実に大変です。(利権絡みで進んで関与したのかもしれませんが)

それを考えると、アメリカ大統領選挙で共和党側は‟型破りな”トランプ氏が依然トップを走り、民主党クリントン候補に対してはメール問題の話ばかり・・・という現状はお寒い限りです。

【「ボコ・ハラムの台頭は、宗教ではなく経済と貧困が原因だ」】
話を「ボコ・ハラム」に戻すと、差し当たりの軍事対応はともかくとしても、貧困・格差・腐敗の是正が過激派対策の根幹であることは言うまでもないことです。

****ボコ・ハラムの台頭「貧困が原因」 カメルーン危機、国連人道調整官訴え****
カメルーンのナジャット・ロフディ国連常駐人道調整官兼国連開発計画(UNDP)常駐代表が14日、朝日新聞などの取材に応じた。ナイジェリアのイスラム過激派「ボコ・ハラム」がカメルーン北部を中心に襲撃を繰り返していることについて、「カメルーンの人口の半分が人道的危機にある」と述べ、日本を含む国際社会の支援を訴えた。

カメルーン北部は貧困状態にあり、干ばつなどの被害も起きやすい。ボコ・ハラムは金銭や物品で住民を勧誘し、これまでに約4千人が加入したとされる。ロフディ氏は「ボコ・ハラムの台頭は、宗教ではなく経済と貧困が原因だ」と指摘した。

カメルーンは、中央アフリカやコンゴ民主共和国など政情が不安定な国々から多数の難民を受け入れている。ボコ・ハラムの度重なる襲撃により、国内避難民も増えている。

ロフディ氏は、日本政府の200万ドル(約2・3億円)の資金援助に謝意を述べた。そのうえで「中央アフリカ地域の限られたセーフヘブン(安全な場所)が失われれば、アフリカ全体が危機に陥る」として、追加援助を呼びかけた。【10月15日 朝日】
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ナイジェリアのブハリ大統領は7月、18カ月以内に「ボコ・ハラム」を掃討すると語っていますが、「ボコ・ハラム」のような過激派を発生させない社会・政治・経済改革についてはどのように計画しているのでしょうか?
コメント (2)
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