半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

小川町の金子さん

2010年01月06日 | 素敵な人・友人との時間
 仕事が始まり、ブログを書く余裕が無く、週末に一気にあげています 

 うちの玄関には、大家さんが残していった「彼岸花(ひがんばな)」があり、冬でも青々しく葉っぱが茂っています。


 これを見るたびに思い出すのが、埼玉県の有機農家の小川さん。今、畑で作っている堆肥は、小川さんの本を参考にして作っているのですが、緑が少ない冬の間の緑肥として、彼岸花は重宝する、とその本に書いてあったからです。


 そして、夜に、録画していたNHKの「プロフェッショナル仕事の流儀」を見たら、なんと、その埼玉県の小川町の「金子さん」が映っていました

 実は、金子さんのところには、一昨年の11月に見学に行ったことがあるんです

 有機農業をちょっとかじったことがある人なら、金子さんは現役で有名な方。また、小川町は、町ぐるみで有機農業をやったり、地域通貨があったり、NPOがきちんと稼動していて、農的生活やローカルコミュニティーのスローライフを目指す人達からは、知られている町。池袋からすぐいけるので、結構、人が集まるところです。

 TVだと、どうしても、ディレクターの意図が入りこんでしまうので、今回は、私が見学をした際の視点で、金子さんの霜里農場(しもさとのうじょう)のレポートをしたいと思いま~す

 
 小川さんは、70年代から、有機農業をされてきた方。有機農業研究会、というところがありまして、そこの発起人の一楽照雄(いちらくてるお)さんにも影響を受けたそうです。有機農業で作った農産物を、「消費者との提携」というスローガンに、近くの消費者30世帯ぐらいに、野菜をお届けすることで、生計をたてていく、という考え。まあ、今で言えば、産地直送、の考えですね。

 私も、もし農業をやるなら、自分で届けられる範囲のお客さんに直接お持ちする、というのが、一番現実的だと思っています。

 また、有吉佐和子さんの「複合汚染」にも少し影響を受けているようで、「プロフェッショナル」では、有吉佐和子さんが、金子さんを支援するために農産物を買った、というエピソードも出てきていましたね。

 
 さてさて、金子さんの霜里農場の話に入りましょう

 金子さんの特徴は、堆肥からエネルギーまで、ほとんどのものを、農場内で循環させていること。


 例えば、車は「天ぷら油」で動くんです 経済的理由で、国のほんとんどが有機農業になった事で有名なキューバから、エンジンは取り寄せて、それを乗っけているそうです。


 見学者のみなさん、一番、関心をもったのが、これではないかな?排気ガスは、本当に「天ぷら」を揚げている匂いがしましたよ

 といっても、使い古した油は、カスなどが入っているので、この遠心分離機のようなもので、1日まわして、きちんと車に使えるように、分離してから使うそうです。これも、キューバから注文した、と言っていたと思います。


 凄いですよね~ ガソリン代かからないんですから SVO(ストレート・ベジタブル・オイル)といったように、実際、車を動かせる植物性の油も売っているところもあるそうですが、金子さんは、基本は天ぷら油の廃油で動かしているそうです。ガソリン代が無料だし、エコ、ですよね~

 また、これは、牛糞と人尿やその他、諸々を溜めて、発酵させたもの。


 これを3ヶ月ぐらい寝かせた上澄み液が、極上の肥料になるそう。金子さんの農場が長年続いている一番の肥料は、どうやら、これのようですね。

 ちなみに、この肥溜めのような貯蔵層から出てくる「メタンガス」で、火も付くんです

 以下の写真の真ん中にいるのが金子さん。その左手にもっているバーナーから、火が出ているのがわかりますか?これを使って、お湯ぐらいは沸かせちゃうそうです。


 まあ、実際は、家庭用にそんなには使っていないそうですが


 金子さん、牛も刈っています。目的は、堆肥を取るため、とのこと。牛1頭飼うのに、田んぼが1反ぐらいあれば、食糧はまかなえる、という計算とのこと。

 ちなみに、以前、少し書きましたが、動物性の有機堆肥を使っている野菜は、安全かという、以前書きましたが、輸入飼料や抗生物質たっぷりのエサを食べている牛や豚の糞は、生物濃縮が起きているので、その土は、あんまりよくない、という説もあります。ちなみに、牛乳を乳脂肪分3.6以上にするには、草だけでは駄目で、穀物を食べさせないと無理、と近所の岩澤先生が言っていました。
 →http://blog.goo.ne.jp/atsu1234/d/20090827

 一方、小川さんのところの牛は、別に、高脂肪分の牛乳を採る為に飼っているわけではなく、堆肥のためなので、雑草や稲ワラしか食べていません。なので、糞は全く臭くありません
 牛さんも、のんびり、と暮らしていました


 ちなみに、上の写真の端っこに写っている紐は、牛が出て行かないように微弱電流が流れている電線。この電気も、キューバから取り寄せた「ソーラー電池」発電によるものでした。


 畑の事は、TVや本でたっぷり書いてあったので、それ以外のことについて、レポートしましたが、その他、これまた卵や鶏糞を取る為の平飼いの鶏や、ビニールではなく廃材と廃ガラスで出来たハウス(ビニールをその都度買い換えなくて良い)、堆肥、べレット(木材を粒状にまとめた燃料)ストーブなど色々見させてもらいました


 ちなみに、合鴨がたっくさんいましたが、彼らは、「ソーセージ」にされちゃうそう


 お米を作るときに合鴨を使うそうですが、雛を放つそう。で、秋の収穫が終わる頃には大人になってしまうので、食べちゃうそうです そのまま飲食店の食材として使ってもらうこともあるそうですが、基本的には肉が固いし、鶏は羽をむしりやすいけど、鴨は水鳥なので、水を弾くので、羽がむしり取りにくく、専用のワックスを使ってむしるそう。でも、ほとんどは、ソーセージにしているそうで、業者にお任せしているそうです。

 でも、金子さんいわく「鶏は、捕まえる時は逃げ回るんですが、合鴨は、雛の時から飼っているので、近づくと寄ってくるんですよね。もう、こっちを信じているので、ちょっと可愛そう、という気持が起きちゃうんんですよね」とのこと。

 こういったところで暮らし、生活を営んでいるからこそ、出てくる言葉ですよね~。
 
 まあ、兎に角、無駄なところがほとんどないんですね~

 こういった生活が本当は、当たり前なんですよね

 
 普通は、NHKのように、畑や野菜のことが中心で紹介するんでしょうが、私が一番感じたのは、「農家」としてではなく、「循環生活」を送っている「生活スタイル」そのものが素敵だ、ということでした。

 自分の畑やそこに生きる生き物から出てきたものを使い、そこに返し、その食べ物を生産し続ける。そして、収入は、自分で届けられる範囲のお客様と「提携」し、顔が見える関係の中で生きる分のお金を頂く。

 だから、「業」として農業をやっているわけだけど、慣行農業をやられている農家さんと違って、畑も思ったより大きく無いし、多品種少量で、輪作をしながら、生きていけているわけです。

 この前、ブログに載せた「みみず物語」に出てくる小泉さんも、そんな感じの生活をしているんだよな~。
→http://blog.goo.ne.jp/atsu1234/e/b0927951ed1f35ffb50eb18592f745a1
 
 自分が生活をするなら、こんな感じのものが、理想だな~。生涯現役で、また、自分の住む土地に根ざした「地縁」を大切にしながら、生きていける生活。自分には、「ここ」といった望郷の思いをもつ故郷、という感じのところが無いから、根無し草のような気持を持っているんですよね。「この土地を愛している。この土地で暮らして行く」という想いが湧いて生きていきたいものです。

 最後に、こういった暮らしを町をあげてやっているのが岩手県の葛巻町。私の友人が行ったことがあり、教えてくれたので、その役場のHPを紹介しておきま~す
http://www.town.kuzumaki.iwate.jp/index.php?topic=kankyo_060

 そして、金子さんに関心をもった人は、是非、霜里農場に見学に行ってみてください。定期的に見学会をやっています。まあ、TVでとりあげられたばかりなので、しばらく、見学者は殺到するでしょうけどね
http://www.shimosato-farm.com/
 
 ちなみに、今月末、「プロフェッショナル」で取り上げれた青森のリンゴ農家の「木村さん」の講演会があります。そこのお話も、また、ご紹介しま~す
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