半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

『NHKスペシャル「人体」』で腸内細菌の話

2018年01月26日 | 自分の時間
先日の『NHKスペシャル「人体」』で腸内細菌の話が出ていました。

その中で、筋肉が硬貨したり異常なアレルギー反応など急増している重病の免疫暴走を防ぐ菌などとして、「クロストリジウム菌」と「ラクトバチルス(乳酸菌)」の2つの菌が紹介されていました。

この2つの菌の名前を聞いてびっくり

というのも、今、まさに私が仕事で携わっているコアな有機農業グループの最近のトピックとして、この2つの菌をいかに使うか、というのがお題目として挙がっていたからです。

このグループは「医食同源」を科学的にもやっていこう、というグループで、「健康で美味しい野菜作り」を最新の数値分析をもって評価しながら行っています。

例えば、抗酸化力や栄養素や食味などを数値分析できる時代で、「健康に育った抗酸化力が極めて高い野菜は、結果として食味が抜群に良い野菜」ということがわかってきています。

昔の篤農家が、その野菜や豚さんなどの「品質」を競っていたことがありましたが、それを数字分析でやっている感じです。

そして、健康な野菜を作るには、健康な土、例えば鉄の棒が1mぐらい刺さるほどの団粒構造で柔らかく水はけが良い土、そして病原菌やセンチュウなどの害虫を寄せ付けない土作りをするために、堆肥作りに力を入れています。

その堆肥作りに欠かせない2つの菌が、まさに今回のテレビに出てきた腸内の免疫暴走を防ぐ菌としてしょうかいされた「クロストリジウム菌」と「ラクトバチルスコアギュランス菌」の2つなのです

「こんな偶然ってあるののかな~」とびっくりしました。

そして、ふと思ったのですが、野菜も畑の微生物によって生かされ、人間も腸内の微生物によって生かされているわけですが、ふと、もしかしたら現代人は土を食べていないのかな、と思いました。


農産物というのは、ドイツのリービッヒさんが「窒素、リン、カリの3大物質からできている」と「分析学」で導いたため、化学肥料は、この3つの成分を表示しています。

しかし、有機農業のディープな世界では、それは間違っている、ということがわかっています。

1gの土には1億を超す微生物が住んでいます。

そして、腐葉土や虫の死骸を目に小さなミミズや虫などが食べ、その糞や死骸を食べる微生物がいて、それをさらに食べて分解するバクテリアや菌がいる。

その小さな生態系の中で、結果として生みだされる莫大なたんぱく質、アミノ酸、微量要素の鉄、マンガン、銅、などたくさんのものが根っことごちゃまぜになって、根っこの中に住み着いたり、根っこの周りにできる根圏菌が共生して、その栄養素が植物の光合成を助けたり栄養素になっていくわけです。

つまり、健康な植物は、炭水化物やたんぱく質などが分解された残差物を吸うから育つのですね。

人間の胃腸も同じで、戦後に入ってきた「栄養学」のせいで、食べ物を命としてみる東洋的な考え方よりも5大栄養素などと言われる「数字」で考えるようになりました。

そのため、学校給食では摂取必要カルシウムを与えるために、牛乳は欠かせない、となるのです。

しかし、植物は土の中の微生物によって生かされている、というのと同じように、人間も胃腸の中に住み着く微生物によって生かされている、ということが、腸内フローラという言葉でようやく浸透してきました。

生き物は、その母なる大地、野菜で言えば土だし、魚介類で言えば海、人間で言えば腸内の微生物群次第で、健康にも不健康にもなるわけです。


そして、人間というのは、胎内の赤ちゃんの時は無菌だけど、産道を通ってくるときに、母から莫大な菌を与えられるといいます。
そして、その菌が種菌となり、まず飲む母乳によって乳酸菌など爆発的に菌が体に広がって免疫ができるといいます。

そして、その腸内に出来た母なる微生物に与えるエサ=食べ物で、腸内バランスが良ければ病気に、悪ければ血液が汚れ腐敗菌が増え病気になっていく、というのがメカニズムなんですね。

ところが、最近は、奇病が発生している。

それは生き物の食べ物ではなく、添加物や火が通って酵素などの生命が生きていない「栄養素」としての人工物を多く食べているからだ、というのが言われてきました。

ところが、今回の免疫の暴走には「ラクトバチルス」や「クロストリジウム菌」が腸内にほとんどいないことから起こっている、というではないですか


田舎暮らしでは野菜の皮を剥くなんて普通はしないし、野菜の洗い方も雑だし、生姜なんて皮そのものが大事なわけで、ほんのちょっとですが土は多少くっついたまま食べています。

一方で、土は徹底的に洗い落としたり、皮はむくのが当たり前だったり、既製品のサラダとかを食べるのが日常の人は、多分、私たちに比べて土を摂取していない、つまり、本来、土と一緒に取り込んでいたラクトバチルスやクロストリジウム菌など、人類が生まれてからずっと食べ物と一緒に摂取していた菌を、ここ数十年の衛生指導やなんでもきれいにするという思想により、摂らなくなってきてしまった、ということなのかもしれません。

あるいは、有機農業は「微生物の生態系」を大事にしますが、慣行農業は「土を滅菌、つまり良い菌も悪い菌も皆殺ししてから作物を育てる」という発想ですから、土そのものが健全ではなく、偏った不自然な土で育てているのが多いので、野菜そのものに栄養素、もっといえば本来その野菜が共生している菌がいなくなり、不自然な野菜を食べているのかもしれませんね。

ちなみに、先述の栄養素などを測って抗酸化力や生命力ある野菜を作るグループの先生のお話では、例えばミカンの鉄分は、戦後ぐらいの昔に比べて半分以下になった、とか、小松菜や野菜のほとんどの栄養素が昔に比べて極端に減っている、つまり、同じ野菜でも全く別物になってしまった、と警告を鳴らしています。

食物と一緒に多少なりとも自然界の土やらバイ菌を食ってきた私たちが、ここ数十年で一気に衛生的になって、土を含めた環境下の微生物を食べなくなったこと。

あるいは、本来、野菜が健康に生きるために必要な微生物がいない土で育てられたがゆえに、健康ではなく農薬で生かされて育てられた野菜を食べるおうになってしまったことが、もしかしたら腸内細菌のバランスをおかしくしてしまっているのかもしれませんね。

まあ、これは大きな流れからの推測で根拠はありませんが、本来、栄養学や科学の発達で病気が無くなっていくはずが、原因不明な奇病がどんどん増えていっているのには、今の生活に何か根本的な間違いがあるのでしょうね。
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