原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

JAXA過労自殺、いつも犠牲になるのは外部出向者

2019年04月07日 | 時事論評
 表題に掲げた「JAXA過労自殺事件」に関するニュース報道に私が触れたのは、先週のことだった。


 早速、当該事件に関するネット情報を以下に引用掲載しよう。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で人工衛星の管制業務に就いていたエンジニアリング会社の男性社員が2016年に自殺したのは、長時間労働などが原因だったとして、土浦労働基準監督署が労災認定した。
 遺族と代理人弁護士が3日、記者会見して明らかにした。
 男性はつくば市の佐藤幸信さん(当時31歳)。 地球上の温室効果ガスを観測する人工衛星「いぶき」の管制業務をJAXAから請け負っていた「宇宙技術開発」(東京都中野区)に勤務し、15年11月から筑波宇宙センターで日本上空を通過する衛星に指令を送る業務などを担当。 16年10月に自宅で自殺した。
 代理人の川人博弁護士によると、佐藤さんは管制業務に就いてから、16時間半に及ぶ夜間勤務を月に7回程度こなし、月の残業が70時間を超えることもあった。 仕事を巡って、上司に厳しく叱責されることもあったという。 土浦労基署はこうした長時間労働や職場のあつれきが自殺の原因だと判断し、2日付で労災と認めた。
 宇宙技術開発の天本淳司副社長は「遺族におわびしたい。今回の件を厳しく受け止め、再発防止策を講じていきたい」と話した。 
 JAXAは「発注者として改善すべき点があるかどうかを含め、状況把握に努めたい」としている。
 (以上、ネット情報より引用したもの。)

 
 時を同じくするかのように。

 この「JAXA過労自殺事件」ニュース報道があった次の日のことだが。

  JAXAの“はやぶさ2”に関する新たな快挙報道が大々的にニュース画面にて放映された。
 そのニュース映像内で、相も変わらずJAXA正職員達が大勢集まる場面が大写しにされ、正職員の“おっさん”たち(失礼な表現をお詫びするが)が感涙するわ、抱き合うわの大騒ぎだ。

 それはよしとして…
 ニュース報道内で、数々の正職員氏達の快挙に関するインタビューに応える嬉しそうな映像が放映された中…。

 「JAXA職員過労自殺事件労災認定」に関し、誰一人の口からも何らのコメントも出ないのだ…

 そんなJAXA内の「閉鎖体制」に、私は愕然とさせられたのが正直なところだ。

 いや、分かるよ。
 貴方達エリート正職員達と末端で働く“外部からの出向者”とは、働く場もその環境も大いに異なり“別世界”である事だろう。
 実際エリート職員達は、日頃の最先端技術革新に必死の環境下にあり、下でその活動を支えてくれている“外部出向職員”になどとまみえる機会すら一切閉ざされているのだろう。


 ここで、「JAXA過労自殺事件労災認定」に関する私事と私見に入らせていただこう。

 4月3日に当該事件に関するテレビニュース報道に触れた際。
 私はJAXA過労自殺犠牲者となった31歳男性の母親氏のインタビュー返答力に感動したのだ。

 息子氏の自殺から既に3年の年月が経過している事もあろう。 それにしても、息子を自殺で失った母親氏として、その事件を実に冷静・正確に受け止めた上で対処して来ておられる姿に脱帽させられたのだ。

 実は我が娘も、自社勤務ではなく他企業へ「出向」の立場だ。
 娘の場合、何のコネにも依存せずして自力で現在の所属企業へ「正社員」の立場での就業を勝ち取っている。 (この事実に関しては本エッセイ集3年前程のバックナンバーにて、幾度も娘の“自力頑張り力”に関し親馬鹿ながらも公開しているため、ご参照下されば幸いです。)

 我が娘もこの4月に出向先勤務4年目を迎えた。
 毎年3月頃より親の立場としては、(来年度は別企業への出向か? 出来れば娘が慣れ親しんでいる現在の企業への出向が続行するといいのだが…)、等々と実に気をもまされる…

 そんな娘の今年4月からの出向先は従来企業続行と相成った。 (この配属措置に親としてどれだけ安堵させてもらえたことか。)

 とにかく娘にとって恵まれた出向先の企業環境だ。 “国内某大手協同組合のシステム部”への出向という事実が幸いしているとサリバンの私は判断している。 
 バックナンバーにても述べたが、この職場の良さとは。 上層部が職員関係に於いてコミュニケーションを持たせることに努力しているとの、今の時代に至っては“旧体質”を採用している事実にあろう。(例えば職員飲み会を定例的に開催したり、バレンタインデーやホワイトデーの活動を職員に奨励する等々。)
 これらの配慮のお陰で、寡黙な我が娘もそれに参加することにより活性化してもらいつつ、孤立化が回避されているとサリバンの私は読んでいる。


 そんなサリバン母の私は、もしもまかり間違って我が最愛の娘が職場にて過労死(あるいは過労自殺)に陥らされた場合……
 ニュース報道映像にて必ずや取り乱すであろうと自己分析している。

 いえいえもちろんの事、そもそもその事を絶対に避けるべく娘の心身両面の状況を日々探っているのだが…

 JAXA過労自殺者の御母上氏のメディア対応が素晴らしかったとは言えども…
 可愛い我が子を亡くした後では、取り返しがつかないのが事実だ! ここはやはり親こそが目を光らせて可愛い我が子の命を守り抜くべきだろう。

 その上でJAXA上層部にお願いしたいのだが。 (貴方達の快挙報道を後回しにしてでも!)
 今回、末端出向職員に於いて「過労自殺者」を出した事件に関し法廷がその事実を認め労災認定した件に鑑み、是非とも“正式に”「謝罪」をしていただきたいものだ!