原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

ありのままの貴方こそが企業が求める人材だ!

2015年08月01日 | 仕事・就職
 今回のエッセイは、朝日新聞本日(8月1日)付別刷 「be」“悩みのるつぼ”回答者であられる 社会学者 上野千鶴子氏の論評を、結論部分に於いてほぼ全面的にパクらせて頂く事を冒頭よりお詫び申し上げておく。


 2016年度大学(短大等)卒業生の就職採用面接が本日解禁となった。
 昨年までは大学3年時点の12月1日が就活解禁日だったが、今年は3カ月後ろ倒しの3月1日が就活解禁日となった。 その措置に並行して、採用面接解禁も“表向き”8月にずれ込んだとの事だ。

 ところが現実社会に於いては、経団連による新方針にかかわらず“解禁破り”が横行している現実に関して、私自身が現在大学4年生にして就活中の娘を通して重々把握している。

 この“解禁破り”を批判した文章を先ほどネット上で発見した。 早速以下に要約して紹介しよう。

  題目 : 採用面接解禁 「学業優先」実現できるルールを  2015年08月01日(土)

 来春卒の大学生を対象にした企業の採用面接が、今日解禁される。 経団連の方針転換でこれまでより4カ月遅くなったものの、すでに「解禁破り」が横行している。憂慮すべき事態だ。  本来なら企業側がルール順守を徹底するべきだが、現実問題として経団連に加盟していない中小や外資系企業まで縛るのは難しい状況。 
 日程の繰り下げはもともと、「就活が年々早期化し学業に支障が出ている」という大学側の苦情を受けた改革だった。 正式内定は10月1日に据え置かれたため、活動は「短期決戦」になるはずだった。
 しかし、中小や外資系は「大手と同時に選考を始めたのでは人材を確保できない」と独自に選考を始め、解禁前に実質的な内定を出している。 就職情報会社の調査では7月1日現在で就職希望者の2人に1人が内定を得ているという。
 景気持ち直しで企業の採用意欲が強く、学生優位の売り手市場となっているのは朗報だが、内定をもらっても7割の学生が就職活動を続けている。 これから大手企業の採用が本格化するためだ。 学生の就職活動は短期化どころか逆に長期化し、学業優先の目的から大きく逸脱している。 早急な見直しが必要だ。
 言うまでもなく、日本の企業の大部分は中小が占める。 経団連加盟の大手約1300社で決めたルールを、すべての企業に守らせるのは無理があったと言わざるを得ない。 違反しても罰則がなく、当初から効果を疑問視する声が上がっていた。
 日本の企業はかねて、横並びで新卒者を入社させる「一斉採用システム」を続けてきた。 就活解禁時期などの統一ルールを守らない抜け駆けはこれまでにもあったが、今年の状況は異常と言うほかない。
 非正規雇用者が4割に達した今、一人でも多くの若者が正社員として雇用される社会が理想だ。 当初の目的だった「学業優先」を掛け声だけで終わらせてはならない。
 (以上、ネット情報より一部を要約引用したもの。)


 ここから私事に入ろう。

 我が娘など経団連指導による“新制度”を「解禁破り」して、既に本年3月初頭より既に自主的に就活を開始している。
 というのも娘が通う大学が新制度に対応し、大学3年時までにすべての卒業単位を取得する事を半強制して、大学4年生時には就活と卒業研究に集中可能なカリキュラム構成にするべく努力している故だ。 もちろん、それに従わない(あるいは奨学金返済を自己負担とし日々バイトに励む義務のある)学生も数多い事実の様子でもある…。

 そんな環境下に於いて娘に関しては、(一応親の学費支払等金銭面での努力の成果もあり)今年の3月から就活に励める体制が整い、それを実行している現状だ。
 ところが就活歴5ヶ月にして、未だ「内定」とやらを一度足りとて頂戴出来ない有様だ。
 娘の場合、一部上場企業も含めある程度経営実績を積んでいる諸企業の一次筆記試験には合格して来る。ところが、次なる「面接試験」で幾度も振り落され続ける現実だ…
 それに懲りた娘が業種を変えつつ昨日面接に出かけた中小企業面接担当者より、次なる厳しい言葉で説諭されたと言う…   「貴方は何故このような中小企業を狙ったのですか? 恵まれた家庭環境下で教育を受け専門単科大学で資格を取得しつつ学業を培っている貴方を、我が社が採用する訳にはいきません。 もう少し自分の適性を再考して就活し直しなさい。」
 (経営者氏の言い分は分かるんだけど… 有り難いとも思うんだけど…。 だたこの娘のサリバン先生業務を21年間務め通している母親としては、結局企業側から面接段階で我が子をバッサバッサと斬り捨てられる現実が辛いばかりだ…) 


 ここで冒頭にて紹介した朝日新聞“悩みのるつぼ”本日(8月1日)の悩み相談内容を紹介しよう。
 私は現在就活真っ只中の21歳文系女子だ。 特に資格がある訳ではないし容姿端麗でもないが、ごく普通に学生生活を送って来た。 いざ就活が解禁されると、各起業担当者氏が「リーダーシップを発揮出来る人材」「グローバルな視点を持つ人材」と口を揃えて言う。 その人材に当てはまらない私は社会に必要とされていないのだろうか。 無理をしてでもその要望に合わすべく演技をせねばならないのか?
 (以上、原左都子が多少アレンジして相談内容を紹介したもの。)


 この相談に対する、社会学者 上野千鶴子氏のご回答の程が的を射て素晴らしい!

 以下にその結論部分のみを紹介しよう。
 つまるところ、貴方は「アナ雪」のように「♪ありのままで」就活に臨めばよい。
 ただ、問題は貴方が「ありのままの自分」に自信を持てない事にあるようだ。 面接担当者とは貴方がこれまで達成して来たことよりも、これからののびしろを見る。 その際必要なのは、貴方の能力よりも態度。自分に自信があるか、おどおどしているかはすぐ見抜かれる。 過剰な自信は逆効果。 自分がこれまで生きて来たことに信頼して、未知の事態に対して前向きに取り組める姿勢があれば、それが評価されるだろう。 これからの就活戦線、何勝何敗になるか分からないが、失敗しても「人格を否定された」訳ではない。 貴方が求めるものと相手が求めるものとの不一致にしか過ぎない。 「(相手から)求められる人材」をあれこれ心配するよりも、貴方が将来就く仕事に何を求めたいのか、それを点検する必要がある。
 (以上、“悩みのるつぼ” 回答者 上野千鶴子しの回答の一部を少しだけアレンジして引用。)


 元々天邪鬼の原左都子など、本日昼のNHKニュース映像にて取り上げられた某一部上場企業(商社だったが)の面談風景を目にして、意地悪視点で首を傾げた事がある。
 新卒者の面談を実施しているのが、何と年端もゆかない新卒者と同年代と思しき若者達なのだ!
 ちょっと勘弁して欲しい気もする。  子ども同士で面談し合って何が判明するのだ?? これじゃあ、自分と同類の若造を選抜するのが関の山ではないのか?  まあただ、大手商社等が文系大卒者を選抜する場合、そもそも何らの専門力もない者同士(更には恐らく縁故採用者同士)だろうから、この種の選抜方式を取るのが関の山なのかなあ??? 
 (何だかこの猛暑の時期に肌寒さすら感じ、悪寒がするね……)


 本日昼過ぎに“悩みのるつぼ”上野氏のご回答に同感した私は、早速そのコピーをとって娘に持たせた。
 さてどうだろう。 
 上野千鶴子先生のアドバイスを少しは理解した上で、明日からの就活に活かしてくれるだろうか?!