原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

フィギュアスケーターの引退宣言、必要ないと思う

2015年08月08日 | 時事論評
 これ、意地悪視点で考察すると、「僕ら(私ら)が引退する事を寂しく思うファンの皆さんにあらかじめ伝えておきたいのですが…」との、一種“特権力”を伴った潜在意識の下に執り行われる身勝手な儀式のように感じる。

 ところが、ファンではない国民にとっては所詮どうでもよい話だ。
 にもかかわらず、特に五輪でメダルを取得した“一応”「大物」フィギュアスケーター氏達は、定例のようにこの儀式をやりたがる生き物、と私は理解している。


 一昨日(8月6日)、今を時めく存在の冬季五輪金メダリスト 男子フィギュアスケーター 羽生結弦選手が、な、な、何と20歳との若さにしてこれ(引退宣言)をやってしまった…

 朝日新聞8月7日夕刊一面記事より、その内容を要約して以下に紹介しよう。
 ソチ五輪金メダリストである羽生結弦選手(20)が、6日、18年平昌五輪を区切りとして競技の第一線から退き、プロへ転向することを表明した。 氏が拠点としているカナダ・トロントで練習を公開した後、「ソチで金メダルを取ってその次の五輪で取って終わって、そこからプロをやろうと、自分では小さい頃から決めていた」と語った。  23歳で迎える平昌五輪を集大成にすることについて、「自分がまだベストな状態の時にプロスケーターとしてありたい。 プロとしての仕事を全う出来る体力の状態でやりたいという気持ちがある」と話した。  
  

 私見に入ろう。
 
 上記の羽生選手の言及とは、現在プロスケーターであられる荒川静香氏が金メダルを取得した後に明言した引退宣言と酷似している。
 荒川氏の場合は、若くして代表を勝ち取った長野五輪にて下位の成績に甘んじた後、ご自身が是が非でも金メダルを取得するべく奮起し直しそれを力づくでゲットしたとの栄光ある歴史を持つ人物だ。
 荒川静香氏に関するウィキペディア情報の一部を、以下に少しだけ紹介しよう。
 荒川静香は、日本のプロフィギュアスケーター。 日本スケート連盟副会長(2014年9月 - )
 主な競技成績は、2006年トリノオリンピック女子シングル金メダル、2004年世界選手権優勝、1998年長野オリンピック代表(13位)、2003年ユニバーシアード冬季大会・冬季アジア競技大会優勝、2004年GPファイナル2位など。

 まさに、(失礼ながら)「一発屋」の勢いで荒川静香氏がトリノ五輪にて「金メダル」をもぎ取った直後に、氏がメディアにて高らかに宣言した一言を私は忘れもしない。
 「私は今回の金メダルをもってフィギュアスケート選手から引退する。今後はプロスケーターの人生を歩みたい。」 
 その後の荒川氏のフィギュアスケート界での活躍の程は凄まじいものがある。上記ウィキペディア情報のごとく、氏は既に日本スケート連盟副会長の座までゲットするに至っている。


 私見を続けよう。

 私は一昔前に活躍した 村主章枝氏なるフィギュアスケーターのファンだった。 リンク上で見る彼女は繊細かつしなやかで美しく、クラシックバレエの心得があるとの氏の舞台は、当時ジャンプを飛ばせる事に躍起になっていたフィギュアスケート競技界に於いて群を抜いて華麗だった。
 村主氏は残念ながら世界競技大会にて上位の成績を修められなかったように記憶しているが、特段大袈裟に「引退宣言」をするでもなく、その後30歳近くの年齢に達するまで競技人生を続けられたと記憶している。

 あるいは、高橋大輔氏。 彼は一旦「引退宣言」をしたのだろうか?? 我が記憶にはないのだが、高橋氏は20代後半にしてソチ五輪で入賞との輝かしい実績を残している。

 そして、浅田真央氏。 真央氏は今後の競技活動についてソチ五輪後、「フィフティ・フィフティ」との回答をメディアを通して国民に伝えた。
 その後しばらく彼女なりの休息を取った後、今春、再び国際大会に選手として出場する意思を表明した。
 これぞ、素晴らしい決断だったと私は高評価申し上げる。
 女子ロシア勢の群を抜く快進撃等々の背景下に於いて、今後のフィギュアスケート競技界にて浅田真央氏が上位に君臨するには特に技術面に於いてクリアせねばならない課題が盛沢山であろう。 それでも、真央氏が自身の決断として今一度国際大会出場を狙う心情に至った事実こそを私は応援したい。
 その背景として、現在の日本国内女子フィギュア競技界は深刻な人材不足に陥っているとの感覚がある。 技術面のみならず、演技構成力等芸術面にも切磋琢磨せねばならないフィギュアスケートの場合、選手の“見た目のよさ”が最重要課題であり、日本に於いては浅田真央氏こそが今尚その最上位に君臨していると、私は評価申し上げている故だ。


 スポーツ界のみならず、一般人の世界にも様々な「引退劇場」が存在することであろう。
 それを宣言した事で何らかの利益が本人にもたらされるのであろうか??

 私論として一番みっともなく捉えるのが、「引退します!」と高らかに掲げたはずの輩が、その世界に未練たらしくまた舞い戻って“鳴かず飛ばず”ならまだマシ、その多くは低迷状態ででうだうだ底辺を這いずずる姿である…。

 ここは浅田真央氏のごとく、今の段階で先の自分像が描き切れないのであれば、とりあえず「フィフティ・フィフティ」と回答しておいて、後は自分自身で自分なりの成功を勝ち取れば済む事だ。