原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

猪瀬さん、何で徳洲会から5000万円も借受けたの?

2013年12月07日 | 時事論評
 先程ネット情報を検索してみると、東京都知事の年収とは約2600万円、そして退職金が4年ごとに4300万円手渡されるとの事である。

 しかも猪瀬直樹東京都知事とは石原前都政の下、2007年より副知事も務めている。 その以前から国政の諮問委員会委員に任命される等々の経歴により、それ相応の収入を長年に渡り得て来ている人物であろう。 
 加えて、元々作家として活動していた頃の著作料印税収入の程も現在に於いては相当の額に達しているのではなかろうか?

 庶民には到底手が届きそうもない額の収入を得ながら、(私の目で見ても)猪瀬氏は信憑性の低い手書きの“借用書”とやらをメディアを通じて呈示しつつ、「徳洲会からの5000万円はあくまでも個人的に借入した」と、はかなくも繰り返している始末だ。


 この猪瀬氏の苦し紛れのメディア対応に、都民をはじめ都議会が噛み付かない訳がない。

 現在猪瀬氏は都議会最大会派である自民等との関係が悪化しているらしい。 2020年五輪開催以外には目立った政策を打ち出せていないのがその理由のようだ。
 「民意だけが頼りの知事。それが揺らぐと都政全体の停滞も避けられない。」 あるいは当該借入金が選挙運動報告書に記載が無い事に関して、「やましい事があったのかもしれない。知事が対応を誤ると取り返しがつかない事になる。」、「表に出せない金だったということだろうか。」等々…  との都議会議員発言に加え、現副知事の一人も困惑しながら以下の発言をしているようだ。 「猪瀬知事の政治活動の範囲であり、都議会への対応、都民への説明などは知事と政治団体で対応してもらうしかない」…
 (以上、朝日新聞11月22日夕刊記事より一部を引用。)


 ここで一旦原左都子の私論を述べよう。

 猪瀬氏が徳洲会より借入れた5000万円との大金の使途とは、上記朝日新聞記事内にコメントしている副知事はじめ都議会議員氏達が述べている通りであろう。 それは猪瀬氏の“政治活動範囲内”で借入れた事に間違いなく、徳洲会側から都幹部の立場の猪瀬氏に今後政治的利便を図ってもらうために手渡された資金に他ならないと私も結論付ける。
 おそらく政治経験が希薄な猪瀬氏には徳洲会からの強引な政治裏献金を断り切れなかった実態、というのが現実ではあるまいか?

 実は、原左都子には1970年後半時代頃より医学関係の民間企業に籍を置いた経験があるため、医療法人徳洲会に関してその当時よりある程度の認識がある。

 徳洲会とは医療法人徳洲会を中心とし、現在66の病院をはじめとして総数280以上の医療施設を経営する日本最大の医療グループである。 その創設者は医師で衆議院議員も務めた徳田虎雄氏であり、その後は西日本を中心に全国に次々に病院や各種医療施設を設立し、日本最大規模の医療事業グループとなっている。 その後は規模の経済を活かし、株式会社徳洲会などを通じた一括大量購入などによる合理化でコスト減を行い離島などの僻地医療、夜間、救急医療などに力を入れる一方、医学教育分野にも進出し看護士教育にも力を投入している。
 傍ら、徳洲会は当時より政治とのつながりを重視する方策を採る。
 その結果として、先だっての11月12日に、東京地検特捜部と警視庁刑事部捜査第二課の捜査により、徳田虎雄代表の子で株式会社徳洲会社長を務める医師及び関連会社GPホールディングス社長を務める眼科医のほか、株式会社徳洲会経営企画室室長、東京西徳洲会病院事務局長、静岡徳洲会病院事務局長、南部徳洲会病院事務局長、株式会社徳洲会経営企画室長の計6名が公職選挙法違反の容疑で逮捕された。 そして虎雄氏次男の徳田毅衆議院議員も、これを受け自由民主党に離党届を出す結果と相成った。
 (以上、ウィキペディア情報より一部を引用。)

 上記のごとく、政治との繋がりが1970年代後半頃より既に40年来に渡り濃い「医療法人徳洲会」の実態を東京都知事たる者が知らない訳がないであろう。

 一時、猪瀬氏よりメディアニュースを通じて「この5000万円は徳田氏側から手渡された」と表明した事実を私は記憶している。
 ところがその後すぐさま釈明を一転させ、「このお金は私が個人的に徳田氏より借入れたものに間違いない」との表明と共に、“訳の分からん”「借用書」なるものを呈示するに至っている。


 昨日12月6日のニュース報道によれば、都議会本会議で自民・公明両党が猪瀬知事側の一方的な答弁を求めない異例の対応を採る姿勢を示した。
 片や共産党・民主党等野党は、猪瀬氏個人の借入金とする見解をただしたようだ。
 都総務局長答弁によれば、都は許認可や補助金を出す業者からの借金を「職員服務紀律」で禁じているそうだ。
 さらには、猪瀬氏は副知事時代に徳洲会より現金を受け取った頃より、都の周産期医療体制整備プロジェクトチーム座長などを務めているとの事実もあるとのことだ。
 (以上、朝日新聞記事より要約引用。)


 最後に、原左都子の私論で締めくくろう。

 この問題、どう考察しても東京都知事猪瀬氏の公職の立場での潔白が証明されるはずもないようだ。

 それにしてもどうしたのだろう?
 何故に徳洲会よりの“政治資金5000万円”は私的資金の援助だったなどとの、バレバレの見え透いた嘘を猪瀬氏はつかざるを得なかったのだろうか。

 ここで個人的志向を語ると、私の場合断固として“2020年東京五輪開催反対派”であるため、この際東京都知事が入れ替わり、2020東京五輪を可能な限り縮小規模開催することに是非共期待したい思いだ!

 ただ4期もの長きに渡って君臨した石原都政から、自分こそが先頭立って都政を引き継がざるを得なかった猪瀬新知事の現在政界に置かれている至って“弱者たる立場”を思いやった場合、多少辛くもなる。
 政界との癒着を梃子にこの世に生き延びている医療法人徳洲会から、5000万円渡すから便宜を図れ!とつつかれればそれに従わざるを得ない立場の猪瀬氏が、何だか哀れで虚しい思いすら抱かされる一都民の私でもある……