水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

スピン・オフ小説 あんたはすごい! (第二百十一回)

2011年01月23日 00時00分00秒 | #小説
 あんたはすごい!    水本爽涼
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                           
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                              
    
第ニ百十一
『いつか、これからのあなたの映像をお見せしたと思います。今のあなたなら、それも夢じゃなく現実に起こりうるとお信じになると思いますが、いかがですか?』
 私は応接セットの長椅子へドッテリと座り込んだ。
「はあ、それはまあ…。国連本部で演説していた映像なんか有り得ない! と思っておりましたが、そうでもないようです…」
『そうでしょう。このまま進めば、あなたはそうなる筈(はず)です。もちろん、私が念力をまた送れば、の話ですが…』
 またニラレバ炒(いた)めの会話か…と一瞬、思えた。
「ということは、もし念力を送らなければ、そうはならない、ってことでしょうか?」
『はい、そういうことになります…』
「生意気なことを申すようですが、そのようなことを、あなたがお決めになる権利はないと思います。私はあなたの木偶(でく)じゃないのですから…」
 私は意を決して、きっぱりと気持を伝えた。
『なるほど…。その云い分にも一理ありますね。親玉様へ伺(うかが)いをたて、考えたいと存じます』
「親玉様って…そんなの、おられるんですか?」
『おられるのです。人間界のあなた方には到底、考えられない、云わば人間の科学では説明がつかない世界が現実にあるのですよ』
 玉はいつもより厳(おごそ)かに語った。私は、おられるんだ…と、思った。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« スピン・オフ小説 あんたは... | トップ | スピン・オフ小説 あんたは... »
最新の画像もっと見る

#小説」カテゴリの最新記事