水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

助かるユーモア短編集 (13)疲れる

2019年07月01日 00時00分00秒 | #小説

 動物は動けば当然、エネルギーを消耗(しょうもう)して疲れることになる。仕方がない現象だが、疲れることがなければいいなあ…などと呑気(のんき)に考えられるうちは、まだそんなに疲れていないことになる。^^ 疲れるまでに身体が立ち直れば助かるが、これは体調面の個人差や体調管理の違いで個人差が生まれる。疲れることを感じないホニャララな方法があれば、これはもう助かる騒ぎの話ではなく、非常に有り難いと言わざるを得ない。
 とある有名作家が必死に原稿を書いている。締め切りに追われているということもあってか、新聞社の編集員が応接室で待っている。そんなことで、作家はなんとなく小忙(こぜわ)しい気分に追いやられている。よくよく考えれば、ここひと月ほどこの状態が続いており、作家の身体は完璧(かんぺき)に過労気味だった。それでも、編集者に追われる気分の作家は、『まるで、地獄の鬼に背中を鞭(むち)で打たれているようだな…』とブツクサ思いながら、入力する指を止めて疲れた腕を摩(さす)った。そして、これも疲れた肩を次に揉(も)んだ。そこへ、作家の妻が淹(い)れた茶を手盆に乗せて現れた。
「あなた、先ほどから豚岸(ぶたぎし)さんがお待ちよっ!」
「ああ…。あと30分ほどお待ち下さい、と言ってくれ…」
 作家は、豚でなく今夜は牛肉のスキ焼なら助かるが…と勝手なことを考えながら、疲れる肩をふたたび片手で揉み解(ほぐ)した。
 疲れるという究極の問題は、スタミナ補充で解決することは疑う余地がない。^^

                                 


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