水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

コメディー連載小説 里山家横の公園にいた捨て猫 ④<13>

2015年04月26日 00時00分00秒 | #小説

 里山は、道坂の披露宴に小鳩(おばと)婦人も呼んでもらうよう、道坂へ携帯で連絡した。
[えっ?! いやぁ、それは彼女にも訊(き)いてみないと、なんとも…]
「君達には一面識もないからな。呼ぶ義理もないが、俺の知り合いということでさ…」
[ああ! この前の映画の…]
「お前、よく知ってるな」
[確か、映画宣伝でテレビにも出てられましたよ]
「そうそう、そうだった」
 里山はテレビ取材で小鳩婦人と出演したことを思い出した。
[分かりました。いいですよ、僕が彼女に上手(うま)く言っときますから]
「そうか? そりゃ、助かる…。それじゃ、頼んだぞ。なあ?」
 里山は携帯を切り、腕の小次郎を見下ろした。
 里山の目論見(もくろみ)は、こうだ。小鳩婦人は、恐らくみぃ~ちゃんを伴って披露宴に現れるだろう…と。そうなれば、小次郎とみぃ~ちゃんの出会える機会がまたひとつ増えることになる。小次郎に頼まれた以上、里山としては飼い主として最善を尽くそうと考えていた。
『ええ、助かります…』
 里山と見上げた小次郎の目が合った。
「はあ?」
「いや、こちらの話です…」
 滝田に里山と小次郎の思いが分かるはずもなかった。


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