水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疑問ユーモア短編集 (24)対立

2020年01月28日 00時00分00秒 | #小説

 なぜ人と人が対立するのか? という疑問を、残った正月餅を食べながら少し眠くなったが考えてみたい。^^ 対立するには対立する理由となる事実が存在しなければならない。この事実は縺(もつ)れた糸・・に例(たと)えることが出来るだろう。糸が縺れれば、当然、元通りにしようと細やかな指先の作業となる。根気のある人なら地道(じみち)に一本に解(ほぐ)せることだろう。しかし、もう、いいっ! とイライラして、プッツリと糸を切ってしまう人もあるに違いない。この場合の対立軸は糸の縺れと人・・という構図になるが、元通りにする根気ある人は対立を未然に防げる人である。逆に、止(や)める人は喧嘩(けんか)へと発展させる人だ。前者は職人さんや外科医の先生なんかに向いているに違いない。後者は…分からない。^^
 夜の、とあるテレビ局のスタジオである。番組名は[今日の討論会]で、この時間帯としては人気番組として視聴率もよく、長年中継されている長寿番組だ。多くの論客が楕円テーブル状の机に陣取り、思いの丈(たけ)を好き放題に語っている。そうなれば当然、そう思わない論客と対立することになる。
「あんたはそう言うがねっ!」
「あんたとはなんだっ! あんたとはっ!! これでも元(もと)国会議員だっ!」
「ははは…元は元、現(げん)は現っ! 現じゃないんでしょ!!」
「失敬なっ! あんた、議員になったことがあんのかっ!!」
「ないよっ! ないけど、元は元、現は現!」
 進行役のアナウンサーが見かねて止めに入った。
「まあまあ、お二方(ふたかた)。議題に戻(もど)りましょ!」
「ああ、すいません」「すいません…」
「議題…なんでしたっけ?」
 対立すれば興奮のあまり、それまでの経緯(けいい)を、つい忘れてしまう。それがなぜか? は疑問だが、人は冷静にコトに処せば、対立を避(さ)けられることだけは確かなようだ。^^

                                完


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