水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

思いようユーモア短編集 (65)バッテリー

2021年01月05日 00時00分00秒 | #小説
 すでに日本語になっている言葉の一つにバッテリーという和製英語がある。充電池のことだが、野球で耳にするバッテリーを組む・・などという別の遣(つか)われ方もする。バッテリーの+[プラス]極と-[マイナス]極に例(たと)えた言い回しだ。ものは思いようで、この例えで言うなら、『あの夫婦、バッテリーが上がりかけてるな…』などとなる。^^ 夫婦仲が悪く、離婚するんじゃ…という意味合いの比喩(ひゆ)だ。陰(かげ)でこんな風に例えられりゃ、堪(たま)ったもんじゃない。^^
 田上(たがみ)は久しぶりに旅に出ようと、朝早く車のキーを捻(ひね)った。ところが、ウン! ともスン! とも言わない。エンジンが始動しないのである。ガソリンは十分にあったから、考えられるとすればバッテリーの不調だった。
「チェッ! 上がったか…」
 口惜(くちお)しさに一瞬、田上は口を歪(ゆが)めた。しかし、その次の一瞬、どういう訳か、ニヤリ! と北叟笑(ほくそえ)んだのである。フツゥ~なら、さあ、どうするっ! と戸惑うところだが、田上にはチャ~~ンとした備えがあったのだ。^^ 車には万一を考え、バッテリー用のチャージャー[充電器]が搭載(とうさい)されていたのである。
 その後、しばらく時間は費(つい)やされたが、エンジンを始動させた田上は、無事、目的地へと旅立ったのだった。
 バッテリーは、いつかは使えなくなる備品である。ものは思いようで、事前の備えを十分にしておけば、困るようなことにはならない訳だ。皆さん、事前の備えを抜かりなくっ!!^^

                      

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