雑感の記録。

秋の夜長はダラテンで

小島 麻由美 : パブロの恋人

2005年12月15日 | music
1stの「セシルのブルース」から極上の音楽センスで駆け抜ける小島麻由美の6th。
大体の流れは1st~3rdがいわゆる「セシル三部作」。
類稀なるセンス(ただ、このセンスが合うか合わないかで評価が大きく変わる)で、
音作りに不安は残っていたものの、着実に売り上げ、ファンの支持を伸ばす。
そして、4th「My Name Is Blue」からは重厚なビッグバンド風のサウンド多用に。
自分はこの辺りで入りましたので、逆に初期作品の印象が薄いのですが…


初期のアルバムは聴いた限り、若さがとても出てる、というか。
良い意味でやりたい放題であり、それがとても子供チックな気がしたんですよ。
スキャット上手でも知られていますが、スキャットの曲は大人の魅力がガンガン出てる。
それのせいもあるのか、自分の中では余計に浮いたんですよ。セシル三部作は。


4th、5th共に重厚なビッグバンドサウンドが多く見られるようになり、
逆に「昭和歌謡」等という陳腐な言葉で括られるようにもなりましたが、
自分はそういった音作りが好きなので全く問題無し。
つかいい加減に昭和歌謡って呼び方はヤメレ。
エゴもCKBも小島麻由美も、奥村愛子と同じにされちゃかなわん。
模倣だけの奥村に対し、前者3つは消化し、その上でオリジナリティを出してる。
聴き手が一回聴いただけでなんでも括られちゃたまらん。


「夜」をテーマにした5th、「愛のポルターガイスト」に対し、
この「パブロの恋人」は、昼をテーマに作成されたらしいです。
なるほど。どことなくダークに、妖艶に作られた5thに比べると、
ポップであり、可憐であり。コンセプトどおりの仕上がり。
小春日和の大通り、
湿り気と日差しから逃れた日陰、
木枯らしの吹きぬける路地、
澄み切った空気と、襟を立てても尚寒い冬の雑踏、
何時、どんな場所であろうとも、「パブロの恋人」は極上のサウンドで迎えてくれます。
どんな状況であれ、聴いている間はハッピーで居られるんですね。
それ自体は割と小島さんのアルバム全体に言えるコトなんですが、
このアルバムは本当にポップに仕上がってます。
一種のリラックス・ミュージックとして御一聴あれ。


あとジャケのセンスが6枚の中で一番好きでした。
2004年度の個人的ベストジャケットですな。超オススメ。

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