雑感の記録。

秋の夜長はダラテンで

マルコヴィッチの穴

2007年11月07日 | movie



シュール。
本来の言葉の意味を取り違えて定着した和製フランス語ってことは、
知ってる人は知ってる豆知識。
コメディとして借りたのに、観終えた後はコメディじゃないな、と感じました。
んでもこういうコメディもアリなんですよね。
人の笑いって深い。


どこにでもあるビルに、
どこのビルにも無いフロアがあって、
そこにはジョン・マルコヴィッチの頭へ繋がる穴がある。
これだけの事をまず考えられたコト自体が凄い。
常人では及びませんよ。


そういった発想がズバ抜けてるせいで、
序盤はそこにしか目が向かなかったんですが、
中盤以降は「まるで頭の中に人が居るような」マルコヴィッチ本人の演技に夢中。
この人が出てる映画って一本も観たことが無いし、
経歴も観る直前にwikipediaで調べただけ。
それでもこの人には惹き付けられた。


主要人物の3人は、お互いの関係が上手く回ってないんだけど、
マルコヴィッチに「入る」ことでコミュニケーションが図れるようになったり、
逆に「彼だから」「彼じゃないと」という不具合も生まれてくる。
一人の人間としてはそっぽを向かれても、
マルコヴィッチになれば関係が変わる。
人形師なんか一応主役なのに酷い役回りばかりだった。
最後に気付けたから良かったけどさ。



だいぶ黒めのジョークとして仕上がってて、
笑うところって人によって変動すると思うんだけど、
皆が笑ったであろうところはマルコヴィッチ本人が穴に入ったトコでしょうね。
「マルコヴィッチ?」「マルコヴィッチ!」
あのシーンは凄い。エージェントスミスどこじゃない濃さ。


他にも大真面目に「7と1/2階の成り立ち」「人形師になったJM」だとか、
ちょっとした映像にやたら力が入ってる。
チンパンジーが縄を解くシーンとかも。
本編より俄然本気で作ってそうで面白かったのですよ。


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