雑感の記録。

秋の夜長はダラテンで

長い家の殺人 (新装版)

2011年06月25日 | book & comic


イッキ読み。
処女作って勢いが素敵。そう思わせる佳作じゃないでしょうか。
トリックの奇抜さ(ただし恐るべき正直さでもある)もさることながら、活き活きと自己主張するキャラが良いですね。
特に戸越のヒールっぷり。居るよねああいうヤツ。
ひねくれ者で嫌味ったらしく当たり散らして、居るだけで空気が悪くなったりする。
本人も不本意ながらそれを楽しんでいるフシがあるような無いような。
架空の話の登場人物としてならいいんだけど、近くには居て欲しくないのは確かだけどなッ
端々でバンドのメンバーが語る彼との思い出…
振り返っても見事なまでに嫌な奴でしかない素敵な被害者でした。


「葉桜の季節に~」とは違って、普通でマトモな推理ミステリ。
賛否が別れそうなトリックに関しては、何を言ってもネタバレにしかならない気がするのでチャック。
発想は良かったけど肉付けが足りなかったんじゃないでしょうか。
でもそれが処女作ってモンでしょう。たぶん。
音楽なんかも一緒でしょうが、デビュー作から安定して第一線で支持されてるバンドなんて数えるほどでしょうし、
今の有名所の1stだって「若さと勢いで~」って片付けられる事が多いですし。
だからこの「長い家の殺人」も相応のキャリアを積んだ人のデビュー作として読むのと、
島田荘司が推す新人のデビュー作として期待を持って読むのとだと感触が違ってきます。たぶん。
リアルタイムで読んだ人と自分のように「葉桜の季節に~」から興味を持った人の温度差はそういう事なんだろうね。


戸越のイヤなヤツっぷりは述べましたが、探偵役を任された信濃譲二も中々に嫌なヤツで。
近しい友人にこういう人が居るから痛感するのかもしれんけど、アレだね。反面教師だよね。
同属嫌悪ってヤツじゃないことを祈りつつ明日からも生きていこう…

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