市民の会の会報「平和がいちばん」11月号の2面の紙面です。タイトルは「松田久子です」
急に寒くなってきた。香里ヶ丘中央公園の美術館建設計画の見直しを求める市民が寒さを跳ね飛ばす「熱意」で、朝早くから公園に集まっている。今、枚方市は社会教育の図書館や生涯学習市民センターに指定管理者制度の導入をしようとしているが、美術館も指定管理者による運営が前提と聞いている。今回のテーマは、指定管理者制度について・・・
Q:指定管理者制度は、バブル経済崩壊後の1990年代後半に「民間でできるものは民間に委ねる」という政府の施策の中で始まりました。当時、どのように受けとめられましたか?
A:上の子が保育所、下の子が生まれたばかりの頃で子育てに必死で余裕がなかった時期でしたが、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(憲法25条)」がないがしろにされないか、漠然とした不安がありました。仕事は高齢者の介護現場だったので、景気の悪化の影響で、他職種から介護の職場に転職してくる職員が増え、民間職場の雇用が厳しい状況を感じていました。
Q:地方自治体と住民との関係から、指定管理者制度をどのように考えられますか?
A:地方自治体の「安心して暮らせる」政策の重要な一つが「公の施設」の運営です。自治体は一つの施設だけでなく、他の施設と連携し「公の施設」を展開させなければなりません。指定管理者制度は施設ごとに独立した運営になるので、施設間の連携が難しく、施設が孤立し自治体の施策の展開が低下してしまいます。市職員は市民と直に交流することで市民の要望を知り、政策の問題点も発見でき、より住みよい町にする政策を考えることができます。指定管理者制度導入は、慎重でなければなりません。
Q:図書館と生涯学習市民センター(公民館)の複合施設に指定管理者制度導入が進められようとしていますが、どのように思われますか?
A:意見聴取会に参加しましたが、参加されていた市民の意見は、私が聞いている限りどれも指定管理者制度に反対する意見ばかりでした。しかし、市の職員の説明は制度ありきで、意見聴取会というより、市民に一方的に押し付ける内容でした。指定管理者制度が導入されれば、市民の声が一層、市に届かなくなるのは明らかです。市の直営だからこそ、市民と市の職員がサービスの向上に向けて共に一緒に知恵を出し合いイベントや活動をつくっていくことができます。市民と市のあいだに指定管理事業者が入れば、責任の所在もあいまいになり、市の職員の仕事は机上の事務的なことだけを行うことになり市民の顔の見えない機関になってしまうのではないかと危惧します。複合施設への指定管理者制度導入は正しい施策ではないと思います。
Q:「民間に出来ることは民間に」という流れは介護の仕事にどのように影響しましたか?
A:介護保険制度が2000年に導入され、その後地域包括支援センターがつくられ、高齢者の相談窓口は、市役所から民間へと変えらました。介護サービスは民間の介護事業者と個々の利用者との契約になりました。高齢者の生活を丸がかえしなければならないケースも増えるなか、民間である地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネージャーの事業所)が最前線で高齢者を支えているのです。本来は市が行うべき仕事だと思いますが、市は今や高齢者の生活実態を知らないで、手続き的なことや管理・監督業務が主要な仕事になっていっています。来春に介護保険が大きく変えられますが、自治体の高齢者の生活づくりを支える政策作りの責任が重くなります。「民間にゆだねる」ことを見直す時期に来ているのではと思っています。
ありがとうございました <インタビュー:おおた幸世>
急に寒くなってきた。香里ヶ丘中央公園の美術館建設計画の見直しを求める市民が寒さを跳ね飛ばす「熱意」で、朝早くから公園に集まっている。今、枚方市は社会教育の図書館や生涯学習市民センターに指定管理者制度の導入をしようとしているが、美術館も指定管理者による運営が前提と聞いている。今回のテーマは、指定管理者制度について・・・
Q:指定管理者制度は、バブル経済崩壊後の1990年代後半に「民間でできるものは民間に委ねる」という政府の施策の中で始まりました。当時、どのように受けとめられましたか?
A:上の子が保育所、下の子が生まれたばかりの頃で子育てに必死で余裕がなかった時期でしたが、「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(憲法25条)」がないがしろにされないか、漠然とした不安がありました。仕事は高齢者の介護現場だったので、景気の悪化の影響で、他職種から介護の職場に転職してくる職員が増え、民間職場の雇用が厳しい状況を感じていました。
Q:地方自治体と住民との関係から、指定管理者制度をどのように考えられますか?
A:地方自治体の「安心して暮らせる」政策の重要な一つが「公の施設」の運営です。自治体は一つの施設だけでなく、他の施設と連携し「公の施設」を展開させなければなりません。指定管理者制度は施設ごとに独立した運営になるので、施設間の連携が難しく、施設が孤立し自治体の施策の展開が低下してしまいます。市職員は市民と直に交流することで市民の要望を知り、政策の問題点も発見でき、より住みよい町にする政策を考えることができます。指定管理者制度導入は、慎重でなければなりません。
Q:図書館と生涯学習市民センター(公民館)の複合施設に指定管理者制度導入が進められようとしていますが、どのように思われますか?
A:意見聴取会に参加しましたが、参加されていた市民の意見は、私が聞いている限りどれも指定管理者制度に反対する意見ばかりでした。しかし、市の職員の説明は制度ありきで、意見聴取会というより、市民に一方的に押し付ける内容でした。指定管理者制度が導入されれば、市民の声が一層、市に届かなくなるのは明らかです。市の直営だからこそ、市民と市の職員がサービスの向上に向けて共に一緒に知恵を出し合いイベントや活動をつくっていくことができます。市民と市のあいだに指定管理事業者が入れば、責任の所在もあいまいになり、市の職員の仕事は机上の事務的なことだけを行うことになり市民の顔の見えない機関になってしまうのではないかと危惧します。複合施設への指定管理者制度導入は正しい施策ではないと思います。
Q:「民間に出来ることは民間に」という流れは介護の仕事にどのように影響しましたか?
A:介護保険制度が2000年に導入され、その後地域包括支援センターがつくられ、高齢者の相談窓口は、市役所から民間へと変えらました。介護サービスは民間の介護事業者と個々の利用者との契約になりました。高齢者の生活を丸がかえしなければならないケースも増えるなか、民間である地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネージャーの事業所)が最前線で高齢者を支えているのです。本来は市が行うべき仕事だと思いますが、市は今や高齢者の生活実態を知らないで、手続き的なことや管理・監督業務が主要な仕事になっていっています。来春に介護保険が大きく変えられますが、自治体の高齢者の生活づくりを支える政策作りの責任が重くなります。「民間にゆだねる」ことを見直す時期に来ているのではと思っています。
ありがとうございました <インタビュー:おおた幸世>