ウィトラのつぶやき

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人間の能力のピークは何歳くらいか?

2017-09-11 11:27:12 | 生活

陸上の100m走で桐生選手が日本人で初めて10秒を切った。今日は人間の能力のピークが何歳くらいかについて考えてみたい。

運動では比較的はっきりしていて、敏捷性では10代後半から20代前半、筋力では20代、持久力では20代後半から30代前半がピークであると感じられる。これはデータに基づくものではなく私の感覚であるがそれほど外れていない感じがしている。ピークを過ぎると能力は緩やかに落ちていくがトレーニングを続けると低下は極めて緩やかである。それでも40歳を過ぎたトップアスリートは極めて稀で「レジェンド」と呼ばれる。

それでは頭を使う思考力のピークはどうだろうか? これが今日のメインテーマである。普通に思考力というと、記憶力と、状況に合わせて必要な記憶を引き出し、様々なシミュレーションを脳内で行って決定を行う判断力ということになるだろう。囲碁や将棋のプロのピークがどのくらいの年齢であるかが参考になると思う。この分野は個人差が大きいのだが、名人を続けるような人は大体20代後半に第1人者に躍り出て40代終わりくらいまで続ける。しかし、あの天才の羽生善治氏でも40代に入ってからは落ち目であるし、最近の囲碁界で、特に中国のプロ棋士をみると20代後半がピークのように見える。少し広く見ても20代後半から30代前半が能力的なピークのように思う。

囲碁や将棋でトップ棋士に若返りが見られるのは勉強方法が進歩したからだろうと私は解釈している。従来は情報が限定的で、頭の中に良い手法のデータベースが出来上がるまでに時間がかかっていたので、若い人は思考力が勝っていても、経験不足で負けることが多かった。しかし、知識獲得の技術が進歩してきたので、思考力の差が勝負に直結してトップ棋士が若返りしてきたのだと私は解釈している。

これに対して、一般社会では60代、50代、のトップが多い。組織のトップは単なる判断力ではなく、組織を動かす実行力が重要で、そのためにはトップの人格が優れた人であることが組織のメンバーに共有されていることが重要なので、思考力では劣っていても年齢が上の人がトップに立っているのだと思う。しかし、日本社会の60代、50代がトップであることは明らかに能力的にはピークを越えた人が判断していることになり、世界的競争では勝ち抜けないだろうと思う。世界で戦っていくには広く見ても40代後半までが判断を下すトップの年齢になるべきだと思う。

更に、日本の組織の問題はトップを取り巻く重役たちも殆どが50代以上であるという点である。トップに意見具申をする人たちの中に30代、40代が数多く入っていて、50代の人と意見交換する中で意思決定がなされていくならばまだ大分ましだろうと思う。実態としては30代、40代の社員の声が社長にはなかなか届かないような企業が多く、その組織づくりが日本企業の競争力を弱めているような気がする。


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