ウィトラのつぶやき

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緊迫するウクライナ情勢

2014-04-17 09:05:06 | 社会

ウクライナの問題が緊迫してきている。内戦になりそうな状況である。欧米はロシアがやらせているとしてロシア非難を強めているが、ロシアはウクライナ暫定政府が人民を攻撃することは許されない、と言っている。これはシリアの内戦に比べるとはるかに大きな問題である。背後に欧米対ロシアの戦いがあることが明白だからである。しかし日本のマスコミにとっては小保方さんの研究の仕方のほうが10倍くらい重要と見えているようである。

日本にいると、ロシアが仕掛けているように見えるが、果たしてそうなのか、私は慎重に見ている。事の起こりは今のウクライナ暫定政権のデモ隊を当時のヤヌコビッチ大統領が攻撃し多数の死者が出たことである。あの時は政府側が悪く、今回は政府側が良いということがどの程度はっきりしているのだろうか、と思う。今のウクライナの反政府勢力にロシアが武器供与をしたりして援助していることは間違いないだろう。だが、元の暫定政権が行動を起こした時には西側からの援助は入っていなかったのだろうか。ヤヌコビッチ政権よりも今の暫定政権のほうがかなり良さそうに見えるし、私もそう思っている。しかし、それは情報が偏っているからではないのか、という疑問が心の中に残っている。日本のマスコミが本気で取材しているとは思えず、欧米からの情報を流しているだけだと思うからである。

プーチン大統領はウクライナの東側をロシアに併合する意思はない、と言っている。多分本音だと思う。緊張を高めて、世界の注目をウクライナ東部に集め、クリミア併合を既定事実化することが狙いだと思っている。しかし、ロシア全体がそう思っているかどうかはわからない。ロシアでは「ウクライナ暫定政権というクーデターで政権を取った連中がロシア系住民を攻撃し始めた」と報道されていいてロシア国民はそれを信じているだろう。

こういう時に、軍の統制が切れて一部が暴走し始めて大きな戦争につながる、というのが過去に戦争が始まった大部分の場合だろう。双方の国民が自分たちが正しく相手が悪いと信じ込んでいるからである。各国トップはそのリスクを強く認識していて、アメリカとロシアの大統領間のホットラインなどもできている(事故が起こった時に一部の暴走なのかどうかを確認する)と想像しているが、それでもリスクが高いことは間違いないだろう。

プーチン大統領には問題を拡大させる意思がないと思うのでしばらくすれば収まると思うが、今回の対応は中国の東シナ海、南シナ海の戦略に大きな選択肢を与えるだろう。日本の防衛庁をはじめとする国防関係者は、オバマ大統領のこの問題に対する要請にどう対応するかという検討だけでなく、自分たちがオバマの立場だったらどう対応するかのシミュレーションくらいのことはするべきだろうと思う。



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