ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

野田総理の原発再開宣言で感じたこと

2012-06-12 08:38:11 | 社会

野田総理が原発再開宣言をテレビで国民に対して行った。これで実際に原発は再開されることになると思う。批判的な意見が多いが私は原発再開賛成論者である。

テレビで聞いた感じでは「私が大丈夫だというから大丈夫なんだ」というようなトーンでやや説得力に欠ける。もう少し事実を踏まえたうまい言い方は無いのか、と思うが、基本的には原発は再開したほうが日本のためには良いと思っている。私の原発に対する意見は以前にも書いているが今から50年くらいたって原発停止、22世紀に入って全て廃炉、くらいの極めてゆっくりした原発削減が本来あるべき姿だと思っている。その意味ではまだこれから10年くらいは原発を作ることがあっても構わないくらいだと思っている。

原発に事故があったと言っても、まさに予想もしない大津波が来たからで、津波対策はおそらく既に取れているだろう。問題は一旦事故が起こったときの対策が十分ではない点だが、万が一事故が起こったらどう避難するか、政府はどういう情報を流すべきかは十分に練っておく必要があると思う。福島原発事故の反省を受けてある程度はできていると思うが、きちんと整備しておくべきだろう。しかし原発を稼働させないというのは、20mの津波が来たので標高20m以下のところには建物を建てないというのと同様に過剰反応だと思っている。

私が野田総理の会見で不満に思ったのは、菅前総理の脱原発宣言との関係を一切言わなかった点である。私個人の意見としては菅氏の方針は人気取りの間違った方針だと思っており、野田総理の方針のほうを支持しているが、民主党政権の方針としては明らかに異なったものだと思っている。一切触れずに違うことを言ったために民主党政権の方針には継続性が無いことが一層明らかになった。これまでは選挙前のマニフェストと実際にやることが違うという指摘がなされていた。この原発問題は1年以内の方針転換であり、民主党は党としての方針を持っていない印象が一層強くなった。仮に野田氏が次回の民主党党首選で負けて別の人が総理になったらまた全く違う方針を打ち出すだろうという不安定さを感じる。

もう一つ、テレビに出てくる評論家の類の人は一様に野田総理を批判している。私は自分の身を守るためにそう言っておいたほうが安全だという意識が働いているのだと思うが、本当に大部分の人が再開反対で、私のような意見は少数派なのだろうか、気になっている点である。


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5 コメント

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原子力行政とポピュリズム (世田谷の一隅)
2012-06-12 12:28:20
今の日本の状況で、「原子力は大切だ」と断言した野田首相は立派だと思います。各種のデータを広げてみれば、「国民が生活の質を維持しながら、安心した暮らしを得るには、原子力発電は、止むを得ない選択肢になると思います。

マスコミやコメンテータは、やれ、福島の反省をしていないとか、対策も十分ではないと言うけれども、福井県の審議会が答申したように、「現在の科学技術レベルで想定できる範囲の危機リスクに対応できている」と言う表現は判りやすい規準だと思います。

どんな場合にも、リスクや不安要因は残ります。それでも、それらを踏まえて、ある選択肢を国家レベルで判断して進める点で、今回の野田さんの選択肢は、明確だったと思います。

問題はポピュリズムです。これをアピールしている限り、マスコミは商売のネタには事欠きません。まして、少なくとも1年先には選挙があります。民心を煽れば、票になりますから、ああだこうだというでしょう。本来、原子力発電復活に最も力を入れるべき自民党から、ちっとも大きな声が上がらなかったのは、野田首相の失点を期待しての戦法かもしれないけど、情けないですね。

最近、竹中平蔵氏が、日本は国民がしっかりしているが政治がダメだ。フランスは国民はだめだが政治はしっかりしている。ギリシャは両方ダメだと書いていたけど、日本国民は、だんだん、ダメなほうに行きつつある様に感ずる。その間に、少数でもいいから、政治が少しでも良い方向に行ってくれればと思うのは虫が良すぎるのだろうか?
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脱原発が本流でしょう (花のヤン)
2012-06-13 02:36:39
 菅元首相の脱原発発言は後で個人的見解と釈明しましたから、わざわざ野田首相が公式発言で触れることはないでしょうね。
 菅首相(当時)が釈明したのは当然のことで、国家のエネルギー政策を根本から変えるような決定を議会を通さずにできるわけがないですからね。
 まして、民主党内ですら意思決定プロセスを経ていないわけですから、世論はともかく菅氏が批判されるのは仕方ないでしょう。
 いくら菅氏が強引な人物でもこれでは引きさがらざるを得ませんし、その結果として公式には脱原発発言など無いことと同じになるわけです。

 さて、今回の原発再稼働問題について私の考えは皆さんと少し違います。
1 原発再稼働そのものについては、「当面は」という条件つきで賛成です。
  理由は、原発停止により供給が需要ギリギリという状態はトラブルに対し脆弱であり経済面でマイナスであることから、今回のケースは皆さんがおっしゃるように再稼働の一択しかあり得ないからです。
  逆に言えば、代替の発電施設ができるまでの条件をつけて原発再稼働をするべきだと考えています。
2 日本は脱原発を目指すべきだと考えています。
  たとえ確率が非常に低いものであるとしても原発事故の被害規模が莫大なものであることを考えれば、コストが割高になっても他の方法で発電する方がいいと考えるからです。
  核兵器を作りたいのならともかく、経済性のみを問題にするならば原発の経済的メリットは福島クラスの事故1回で軽く吹き飛ぶでしょう。
  事故発生要因は地震や津波だけではなく、巨大隕石激突やテロまであり、それらも含めて絶対の安全が保証できるかと言えば、当然のことですが「できるわけがない」のです。
  早くとも数年かかるでしょうが、なるべく早く代替発電施設を建設し速やかに脱原発を完了するべきでしょう。
3 皆さんは野田首相を褒めていますが、今回の行動は評価できません。
  これは憶測ですが、故意に明確な説明を避けたのだと思います。
  明確な説明をすれば逆手にとられて脱原発論のネタにされかねず、それよりも強引にでも原発再稼働を行い、その後は批判されても沈黙を守る方がリスクが少ないと考えたのではないでしょうか。
  そして、脱原発論議を避けたい理由は有力な企業献金元である電力会社にいい顔をしたいからでしょう。
  たとえ原発継続論者であっても誠実な人物ならば脱原発論議を避けるべきではないと思いますし、国民の関心が高いことを考えれば積極的に論議を行うべきだと思います。
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原発の安全性とBCP (世田谷の一隅)
2012-06-13 11:49:18
隕石の落下まで考えれば、水力発電も、地熱発電も、全ての装置産業は「×」になるでしょう。

現代の科学技術で予見できるリスクとその場合の対策、それに伴う費用、そしてそのリスクが起きる確率を列挙し、何らかの判断が必要になります。

これは企業で行われているBCP(大災害時の事業継続)の策定と実施手順と全く同じです。つまり、色々なリスク、特に地震を対象に考えると、どの程度の地震が、今後何年間以内に対象の場所に発生する確率がどの程度あるのかをまず想定しましょう。震度6なのか、7なのか、それとも8なのか、その地震が起きた際に、どの程度の被害を想定し、どの程度の時間に、どの程度まで復旧させるのか、その程度の被害に収め、復旧を計画通りに実現するには、一過性の投資と、年間の維持費用はどの程度か、これを策定して、実行するのがBCPです。

その絵が描けていない段階で、電力の受給逼迫が起きそうな段階で、政治判断を迫られたわけです。従って、首相の選択肢は、①原発再稼動を当面容認する。それに伴うリスクは首相が責任を持つ(事故が起きたら、辞任と税金の追加投入)。②原発を再稼動せず、節電などで我慢する。それにより産業が不振、国民生活の不安増加は場合は、政権が責任を持つ(→政権交代?)。②再稼動は見送るも、停電などが起きたら、大急ぎで原発を再稼動させる。これにともなう混乱は、政権が責任を取る(政権交代)。

この様な環境で、野田首相は①を選択したと思います。恐らく、誰が首相の座についても(菅直人氏でも)、電力逼迫の事態を目の前にして、ここまで専門家の人たちが考えて、「安全」との後押しをした状況に、「国民、産業界はもう少し我慢をして、節電をして耐えしのげ、それでも足りない場合は計画停電だ」とは言えないでしょう。

それこそ根拠のない不安を煽るだけの社民党や共産党のレベルに落ちることなり、無責任です。

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津波の高さを色々と論議するのは自由ですが、その津波がどの程度の確率で発生するのか? それはどの様な根拠からか? 地震学者も地学者も含めて、色々な論議が必要です。然しながら、未来予想学の点で、又、データの曖昧さから明確な結論(万人を納得させる)はでません。だから何らかの判断は必要です。「もう少し結論が明確になるまで」と言って先送りするのは可能ですが、それは「先送りし、現状を維持する=原発を停止続ける事であり、それに伴うリスクを容認する」ことです。つまり、国民に我慢と節電と計画停電を強いることです。

私が、今回の野田首相の判断を評価するのは、或る時点で、何らかの判断をしなければならない、それを「判断し、国民に説明した」と言う点です。花のヤンさんが言うように、「あれが対策できていない、これがまだ不明だ」といって結論を先送りすることは、それだけ、国民に節電と、計画停電の可能性を強いる事になります。そのバランスを「政治判断した」事を評価しているのです。それが不満であれば、その声を次の選挙に反映させることが、「国民の声」です。(マスコミだけの論調を聞いていると、マスコミに左右されるポピュリズムと衆愚政治に見えますが)。

脱原発の動きも大切ですが、2-3年で何とかなるレベルではありません。だからその期間に、原発をあるリスクを覚悟で動かす必要があります。当然色々な費用がかかるでしょう。電力料金値上げにもつながるでしょう。あれもいやだこれもいやだでは、社民党+共産党になります。

BCPの話に戻ると、各企業が決めているのは、震度7程度が起きた際に、何日以内に、事業の何%までを復旧させるか(具体的にはその事業場、本社ビルが被災した場合、メールなら24時間以内、主要機能は1週間以内、売上は1ヶ月以内に、現在の80~90%の規模)に復旧させる事を目標とし、その為の設備投資金額と、人員体制、維持費用を承認し、実行することです。(国レベルでも、一部の組織ではちゃんとこんな計画で動いています)。

もし震度8が発生したら? それを「想定外」と」言うのです。
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野田総理の説明の仕方 (ウィトラ)
2012-06-13 13:45:12
菅総理の脱原発宣言は「無いと同じ」ことになっているとは知りませんでした。

話しは違いますが花のヤンさんの言う「野田総理は故意に明確な説明を避けた」という印象は私も持ちました。余計なことを言うとそこをつつかれる、と思っているという感じは確かにします。

長期的に野田総理が原発をどう考えているのかは私にはわかりませんが結構長い時間をかけて立つ原発をすればよいという私と同じような感じではないかと思っています。

原発再稼働については「稼働させる」「稼働させない」の2者択一です。仮に何もしなければ、反対が多いので再稼働させないことになったと思います。つまり「稼働させない」という判断をしたのと同じことになったと思います。

「稼働させる」ほうが世間の抵抗が強いことは容易に想像できたと思います。それでもあえて自身の口から「稼働させる」と国民に告げた。鳩山総理や菅総理ならこういうことはできなかったと思います。

話しは違いますが、今日の国会中継を聞いていて、野田総理はやはり人事は不得意ですね。いずれ書こうかと思います。
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やはり野田首相は評価できません (花のヤン)
2012-06-13 22:37:38
 意外にというか、毎度というべきか皆さんは野田首相を買っていますね。
 野田首相が原発再稼働を決断したことを評価されているようですが、鳩山氏や菅氏なら原発再稼働問題をもっと早く着手し、とっくの昔に方向を示していたと思いますよ。つまり、野田首相は期限ギリギリまで問題に着手しなかった時点でこの二人に劣り、結局は強引に進める羽目になったわけですから評価するわけにはいかないでしょう。
 もっとも、鳩山氏や菅氏でもすんなり行かないだろうとは思いますが、少なくとも鳩山氏なら脱原発の行程案を示すところまではやったのではないと想像しています。

 また、世田谷の一隅さんは野田首相が「判断し、国民に説明した」とおっしゃいましたが、はたして「問題がない」ことにして強引に済ましてしまうことが説明したことになるのか私には疑問です。
 これは「結論の先送り」にはならないでしょうが、「問題を残したまま先送りする」ことになるのではないでしょうか。
 私は、最低でも「当面は原発再稼働せざるを得ない」ことを明確に説明した上で原発を再稼働し、今後の方針案を示すか或いは検討課題として素直に今後の方針の結論を先送りした方が良かったのではないかと思うのです。
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