ウィトラのつぶやき

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伊勢志摩サミットに見た安倍首相の鈍感力

2016-05-28 10:27:14 | 社会

厳重な警戒網の中で伊勢志摩サミットが行われ、終了した。たいした成果は無く、首相関係者の懇親会という色彩が強かったと思うが、色々な問題で意見交換して認識を共有した意味はあったと思う。大成功ではないが一応成功といえると思う。

私が注目したのは安倍首相が示した鈍感力である。それは「今はリーマンショック前と似ている」という発言のことである。この発言は国内向けで「消費増税を延期する」という意思表示であることは疑いないが、これをサミットで言うのはなかなか勇気のいることだと私は思っている。普通の人は「外している」「経済が分かっていない」などと思われるのではないか、と発言をためらうような内容だと思う。経済が停滞しており、何らかの手を打つ必要がある、という点では認識が共有しているので、それを多少強く押し出して公式発言とし、プライベートに「国内向けだ」と説明したのだと思うが、それをやるにはそれだけ他の国のトップとの交流があり、相手がどう感じるかに対しての感触を持っていたからだろうと私は思っている。この安倍首相の鈍感力は評価できると思う。

サミット終了直後に、オバマ大統領が広島の原爆ドームを訪問した。日本は被災者を含めて特に「お詫び」を求めるようなことをせず、「一緒に核兵器をなくす方法を考えましょう」という態度だったのは好ましいと思う。しかし、オバマ大統領が広島を訪問したからといって北朝鮮が核開発を止めるわけはなく、この訪問が核廃絶に直接つながるものではないことは明らかである。テレビのレポーターたちは完全に外していたと思う。

重要なことは「70年前の核爆弾一発でもこれほどのことが起こるのか」ということを核爆弾発射の指令を出せる人が目に見て認識したことだと私は思っている。私自身、広島の原爆ドームを見た時には感じるものがあった。ケリー国務長官はそのその態度から何かを感じたことは間違いなく、だからオバマ大統領に広島訪問を勧めたのだと思う。オバマ大統領の態度から何を感じたのかは伺えなかった。クリントン氏が次期大統領になった時に「広島を見ておいたほうが良いよ」と勧めてくれるかどうかは不明だというのが私のテレビを見た印象である。「勧めてくれればよいが」と願っている。

要人の広島訪問は核兵器の行使に対しての抑止力となることは間違いないが、核廃絶には全く別の動き方が必要なことは疑いない。


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