ウィトラのつぶやき

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日本経済の再発展のために - ビジョンが必要だが -

2010-12-07 14:29:40 | 経済

何度かに分けて分析した日本経済の凋落の原因を受けて今回から何度か再発展のシナリオを考えてみたいと思う。

最初に必要だと思うのは、日本はどういう国になりたいのか、というビジョンである。日本は明治以来、「富国強兵」の旗印を掲げ、第2次大戦後は高度成長で欧米に負けない豊かさを求めて発展してきたが、今は豊かさという観点では一応追いついていると思う。

経済的な豊かさの観点ではアメリカのほうが上だが貧富の差も大きい。「アメリカのような国になりたいか?」という質問を国民に投げかければ一定の賛成は得られても反対のほうが多いだろうと思う。スウェーデンは福祉がしっかりしていて老後の心配もない。その代わり税金が高い。「スウェーデンのような国になりたいか?」と質問してもやはり反対多数ではないかと思う。

「日本はどうなりたいのか?ビジョンを示せ」という意見は良く聞くが、そういう意見を言っている人は政府、あるいは総理大臣にビジョンを求めている気がする。しかし、国のビジョンは総理が変わったらひっくり返るようのものではなく、国の運営の基本として何十年も続くような国民全体が共有するビジョンである必要がある。そのためには広い範囲で議論を行う必要があると思う。総理に国のビジョンを求める人はまず、「自分だったらこう考える」という見識を示す必要があると思う。

私の知る限り、高度成長に変わるビジョンを示したのは安倍晋三元総理が唯一の人である。彼は「美しい国、日本」という標語を掲げ、具体策に向けて動き始めていた。しかし、短期で退陣し国民的合意には程遠いと思っている。私自身は日本にはスウェーデン型があっていると思っていて、「美しい国、日本」もそのコンセプトにあっていると思っているので安倍元総理のコンセプトを具体化する議論をしていけば良いのではないかと思っている。

以上はある意味で理想論だが、国のビジョンに対して国民的合意を得るには何年もかかるし、いつまでたっても合意を得られない可能性もある。ビジョンができるまで何もしないで待っているわけにはいかないので次回からはビジョンはさておいて、これまで分析してきた衰退の原因を取り除くことができるのか、という観点で考えてみようと思う。


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