メディアは米朝首脳会談の話題で持ちきりだが、私はこの週末のG7の結末のほうがむしろ影響は大きいと考えている。既に報じられたようにアメリカの関税を巡ってG7はアメリカ対その他6か国という対立構図になった。しかもトランプ大統領は自分で署名した共同宣言を「撤回する」という無礼な行動に出ている。以前、安倍総理が言っていたようにG7は価値観を共有する主要国の集まりでかなりの部分本音で話ができる場だったのだが、アメリカがこれをぶち壊した。今後、G7は意味がなくなり、残りのG6がどうするかを話し合うことになるだろう。
並行して中国で青島SCO(上海協力機構)が開催されている。これはもともと中国とロシアが国境問題で安定的な管理を行うために始めたもので旧ソ連のカザフスタン、キルギスタン、ウズベキスタン、タジキスタンが加わっている。これに最近インドとパキスタンが加わり、今年はイランもオブザーバーとして加わっている。議題は国境管理の問題から拡大してG7に対する対抗勢力のように北朝鮮問題(これは元々の議題に入っていた内容)、貿易問題なども議論するようになってきている。更にASEANなども取り込もうとしているようである。現在のG7に混乱を見て、「保護主義に反対する」という青島宣言を出している。
私はこのSCOへのインド、パキスタンの加盟を重要視している。インドは中国と継続的に国境紛争を行っているが、この4月に習近平ーモディ会談で国境問題を棚上げにするという合意をしており、アジアというかユーラシア大陸でまとまっていこうという方向性が見えている。インドは近い将来GDP世界3位になることが確実視されており、インドと中国がうまく協力すれば(今でも活発に貿易は行っているが)、大きなインパクトを生みことになるだろう。私は遠からずヨーロッパはSCOに接近していくとみている。
中国、インド、パキスタン、ロシアは互いに紛争を抱えており、これまでのG7のように「価値観を共有して世界を動かしていこう」というよりは、「自国の権益を確保しつつ世界の中で共同することで存在感を高める」という緊張感の高い交渉をやっていくと思うが、G20の中での発言権はG7よりもSCOの結論の影響が大きくなっていくだろう。
問題は日本の立ち位置である。日本はG6の中では最もアメリカ寄りである。おそらくSCOへの接触もヨーロッパが動いてからということになるだろう。それは仕方がないとして、私は安倍総理の言う「自由で開かれたインド・太平洋戦略」を気にしている。これは中国の南シナ海へに進出に対抗してアメリカ・日本・インドで中国包囲網を作ろうという考えで、安倍総理がアメリカに提案したものだと理解しているがアメリカにはそれほど腰が入っておらず、インドもアメリカの態度を見てそれほど本気ではない。インドは、現状は全方位外交だが、SCOの動きにみられるようにむしろ中国に接近しようとしている。日本は今年の骨太の方針にも「自由で開かれたインド・太平洋戦略」は出ているが、これを言いすぎるとアジアで孤立するのではないかと感じている。
中国、ロシアから見ても日本はトランプ政権に不満を持っていると見えており、当面は仲間に引き込もうと声をかけてくるだろうが、1年後はどうなっているか分からない。私は日本はアメリカではなくヨーロッパと歩調を合わせるべきだと考えているが、はたしてどうなるか、安倍外交に不安を感じている。
東アジアでは中国の拡大が抑えられないし、日本の存在感が相対的に縮小しているように見えます。そんな状況でも私は、安倍総理が、まだよくやっていると感じています。それは〇〇さんなら、もっとうまく外交を展開できたのではと思うような人が見当たらないからです。
もとより、外交は相手が会っての話です。こちらの言い分を主張するだけなら進展や解決はありません。隣国の韓国、中国は相変わらず、好き放題のことを言っていますが、それでも彼らの国内の支持基盤は強固に見えます。
一方、最近の北朝鮮の動きを見ていると、東アジアでは大きなうねりが生じているのに、日本だけが拉致問題がネックになって身動きが取れずに立ち止まって(立ち遅れて)います。
最近でこそ安倍総理は、拉致問題解決の為、金正恩との直接会談もと口にし始めたが、もっと前へ出るべきだと思います。米国がこれだけ妥協して、直接会談をしようとしているのだから(ちょうど米中国交回復に遅れて日中国交回復が実現した様に)、日本も中国や韓国に頼ることなく、独自に北朝鮮と直接交渉すべきと思います。
交渉の結果、拉致問題は、これ以上好転しない可能性があるとしても国交回復に伴う緊張緩和と経済交流は十分に国益を改善すると思います。
米国との関係は、あれほど蜜月だった欧米間でも切歯扼腕、拱手傍観の状況なのだから、トランプ大統領に振り回されるのは、今後少なくとも2年半、避けられないでしょう。割切るべきだと思います。
米国民のトランプ支持は、政権発足からあまり変わっていません。日本のマスコミは、この種の奇怪な判断や行動を面白おかしく、もしくはけしからんとの取り上げ方をしますが、もう少し冷静に観察するべきでしょう。
また、ロシアはチャイナと国境を接しており、シベリアへの中国人の進出なども受けているため、チャイナと利益を享受できる立場ではないはずです。
現実的には、在日米軍を駐留させたままアメリカから離れることは(良し悪しを抜きに)不可能な話です。経済の話は重要ですが、やはり安全保障あってのことだと思います。私は日米印豪(場合によっては露)の連携は日本の安全保障上重要だと考えます。
UCSさんならば「今後も在日米軍に頼るのか」について「私はこう考える」、が欲しいです。良し悪しを抜きにというのでは議論にならないと思います。
日米安保についてはトランプ大統領がアメリカファーストを宣言している今が、改定する好機だと思います。軍事的な空白地帯を作らないように、順次在日米軍を自衛隊に置き換えていく必要があります。そして自衛隊は少なくとも(法的に)国軍にすることが最低条件ですが、憲法改正が必要になるかと思います。また在日米軍を日本国軍に置き換えるためには莫大な予算が必要ですが、それには軍事(自衛隊)予算1%枠(法的に決まっているわけではないのですが)では到底間に合わず、プライマリバランス黒字化目標も撤廃して国債を発行する必要があります。仮想敵国をチャイナと想定した場合は、其れ相応の軍事予算をつけることになりますので、今の在日米軍を賄う程度には予算を付ける必要があるはずです。
上記を行うことで景気も確実に上向きになるはずですが、世論(というかマスコミ、野党、財務省)が全力で反対することは火を見るよりも明らかです。急には変わらないと思いますので、少しずつ世論を変えていくしかないでしょう。
前回のコメントで「欧州は遠すぎるのではないか」と書きましたが、G7での内容を見ると完全に対チャイナ向けの合意内容となっていましたので、欧州は脱チャイナ(マネー)の動きになっていると思います。ドゥテルテ大統領、マハティール首相をはじめとして、東南アジア各国の動きもチャイナを見据えた動きになりつつあるように思います。つまり安倍首相の外交は孤立ではなく、むしろ対チャイナ包囲網の牽引役を上手く果たしているように思います。
そして米朝首脳会談ですが、発表された内容はパッとしないものでしたが、おそらくある程度は北朝鮮をチャイナから切り離すような話があったのではないかと思います(対チャイナ包囲網の一環)。少なくとも北朝鮮はチャイナとアメリカを天秤にかけたバランス外交をしたい筈です。
※G7でのトランプ大統領の行動は、彼特有のパフォーマンスではないでしょうか。
世界は脱アメリカ、中国に寄って行っている、とみています。半年もすれば結果がもっと明らかになってくるでしょう。
中国包囲網は歴代アメリカ大統領が作ってきたものをトランプが壊しにかかっているとみています。
また、各国ではチャイナの資金を受け入れた結果、自国民が潤うわけではないことに気が付き始めていると思います(潤うのは一部の受け入れ口のみ)。チャイナ資金で始まった事業に関連して利益を得るのは、結局チャイナの企業である(チャイナ企業が受注を得る)という仕組みは不評を買っています。
世界はアメリカに付くかチャイナに付くかという問題ではなくなってきているように思います。これはまさに「アメリカファースト(=各国ファースト)」という言葉が物語っています。
世界各国がアメリカから離れるのは確実だと思っています。だから中国に寄って行くかと言え寄って行く国もあれば寄らない国もあるでしょう。アメリカと中国のどちらと関係を強めるかと言えば相対的にこれまでよりは中国と関係を強めることになる、というのは確実だと思います。
なお、前のコメントの「トランプが中国包囲網を壊しにかかっている」という言い方ですが、トランプ大統領が意図して壊そうとしているという意味ではなく、アメリカが皆から嫌われて、結果として包囲網が壊れるだろうということです。
南北朝鮮の融和(反日連合の増大)
韓国が中国圏への接近
韓国における米軍の縮小、そして撤退
中国の東アジア~東南アジアにおける影響力の一層の増大
これに対して、日本はどうするべきかの点です。
まず、防衛ですが、南北朝鮮、中国が国防予算を増加させている状況下で、私は、日本が独自の国防を十分に持てない状況であれば、米国との連携しかありません。
この状況下で、軍縮路線を取る選択肢は、平和ボケのA新聞位のものでしょう。急拡大は無理としても、或る程度の対抗戦術を取らざるを得ないと考えます。
もう一つは、北朝鮮との戦後処理を進める事だと思います。拉致問題が完全に解決しない段階でも、この点を進めるべきだと思います。
南北朝鮮が融合(統合?)の方向に向かって動く時に不都合を感じているのはどの国か? 南北朝鮮の統合に向かっても南北とも「核を放棄する意図はありません。韓国も核技術を着々と進めています。そんな南北の思惑で緊張が緩和し、核を保有する朝鮮民族が一大勢力になる方向を嫌がるのは、どの国でしょう?
アメリカを別として、その国と連携できないかと考えれば、私はそれはロシアではないかと思います。ロシアとは北方領土がネックになっていますが、国際政治はベキ論だけを論じていても、所詮は国内内向けでしかありません。相手との交渉で、どこまで覚悟(妥協)しながら、国益を守るかです。
南北朝鮮の融合と、この地域での核の保有存続・拡大は既定路線として、その対策を考えるべき状況と思います。
こんなことを前提にすると、今の日本を、それなりに引っ張っていけるのは安倍首相くらいしか思いつきません。私達が色々と主張しても、実際の行動に移す場合は「選挙の一票」です。だから、私は一つ一つの政策論争や選択肢も大切にする一方で、次の権利行使(選挙投票)で、どう行動するかは大切な要因だと思うわけです。
残念ながら、トランプ大統領に代表されるアメリカの変心と東アジアにおける大きなうねりは、日本に逆風となってあらわれ、日本のプレゼンスが弱まっている⑦のはこれまでの動きから避けられません。もし、過去の国政選挙で、安倍自民党を支持していなかったら、もっとみっともない状況になっていたと思います。
その上で、世界各国がアメリカを当てにせざるを得ない理由が軍事力です。これはトランプ大統領の経済政策に対する好き嫌いよりも優先されます。また、今まではチャイナ(マネー)を当てにしていた各国が、むしろチャイナから引いているという印象です。理由は先のコメントの通り、チャイナと組んでも自国に有利にならないことが分かってきたためです。開発途上国などには返済の当てのない金額を貸し付けて不動産の担保を接収する事例も多くあります。
世界がアメリカファーストを実施するアメリカから離れていく速度よりも、チャイナから離れる速度の方が速いと思っています。さらに言うと世界は各国ファーストによりお互いが緩やかに離れていくのではないでしょうか(例えばEU)。つまり経済的グローバリズムの衰えです。
日本では安全保障に目を瞑る傾向にありますが、世界的にみると経済よりも安全保障が優先されるのはスタンダードのように思います(もちろん経済状況は安全保障に影響しますが…)。