ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

ばらまきへ動き始めた政府与党

2015-11-30 10:29:22 | 社会

最近のニュースを見ていると、政府が来年の選挙に向けてばらまきモードに入ったと感じる。消費税の軽減税率に関しては公明党が選挙目当てでゴリ押しをしている感じがしている。自民党の前の税調会長だった野田毅氏は消費税の軽減税率にも反対していたが安倍総理は軽減税率に反対する野田氏を税調会長から外してしまった。、私は野田氏に賛成だったので、総理独裁の匂いを感じて不満に思っていた。それでも、総理が『ない袖は振れぬ』と言って予算増額を拒否したと報じられた時には毅然とした態度に好感を持ったものだが、最近になって官邸から折衷案が出ていると聞くと腰砕けの印象である。

また、最近では法人税減税の話もでている。野田毅氏は『投資家は市場の将来を税率よりも重視する』と言って法人税減税にも反対でそれよりも財政赤字の改善を重視すべきという立場である。私は野田氏のこの意見にも賛成であるが、実態は法人税減税実施の方向で走りそうである。

更にTPPの結果でビジネス的に苦しくなりそうな農業関係者にも所得補償の話が出ている。何らかの形での所得補償が必要だとは思うが、その目的は競争力のない産業を延命させてみなし公務員を増やすことではなく、国際競争力強化を促すための資金とするか、国際的に勝てる見込みのない事業に関しては転職を促すための資金とすべきだと思う。私は競争力を高めるには法人化を推進することが一番良く、法人が参入しようとしない分野は集約を考えるべきだと思っているが、今の政府の動きは農家が事業を継続できるようにする延命資金を投入するように見えていて、これもばらまきだと思う。

更に、政府は補正予算を組もうとしている。これも選挙を意識したばらまき的性格の強いものになるだろう。

政治家は選挙に勝つことが最大の目的なので、国民の歓心を買うためにばらまきになることは、ある意味で当然の流れなのだが、膨大な借金が積みあがっている日本でばらまきを続けていけば破たんするのは目に見えている。今の自民党は支持率が高く、野党も弱いので、財政引き締めをやるには絶好のチャンスである。この時期に引き締めをできないならば、もう財政破綻への道を走るしかないだろうと思う。



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7 コメント

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追従では闘えないのでは? (Instant Economist)
2015-12-11 19:16:15
労働集約型の高度成長の時代は、コストが安いので模倣をすれば右上がりになります。ところが、成熟するとコストが高くなり、模倣ではペイしなくなります。生き残る為には、国際社会の中で、日本ならではの独創性を出す必要があるでしょう。

例えば、IT産業の創出に関して、アメリカとの比較で日本の欠点がよく指摘されますが、時間をかけてこの欠点を修正しても、このくくりでアメリカを追い越せる可能性はそれほど高くはないでしょう。追従を全否定するつもりはありませんが、日本ならではの個性を出して国際社会から評価される領域を作り出していくことが重要でしょう。それは戦略的に闘うことであり、安住ではありません。

一方、模倣から脱却せずに、アメリカの属国的位置づけで戦い続ける戦略もあるでしょう。アメリカ並みの格差を導入する事により、生きながらえるという模倣戦略です。但し、この場合は、アメリカに遅れることん十年であり、またアメリカほど富むことはあり得ないでしょう。さらにアメリカが中国の後塵を拝するようになれば、より、厳しいものになるでしょう。

後は選択の問題ですが、私自身としては、日本独自の価値を創出する努力を惜しむべきではないと思っており、それは同盟関係に寄与する事はあっても、阻害するものではないでしょう。

余談になりますが、アメリカが何故、IT産業で絶対的な優位を得ているか、考えてみると面白いと思います。恐らくは冷戦時代の技術競争まで遡ることになると思いますが、その後の低成長時代、日本の追従による製造業の不振、地理的経済活動拡大の行き詰まりなど、実は多くの深刻な問題を解決する中で、競合優位を得てきたように見受けられます。そういう意味では、日本が抱えている例えば少子高齢化といった問題の解決に競合優位の鍵が隠されているかもしれません。ひとつだけ明らかなのは、模倣を脱却しない限り、競合優位はあり得ないことです。
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それでもNo.1を目指してほしい。 (世田谷の一隅)
2015-12-09 18:21:47
Instant Economistさんが12月6日付で必ずしもNo.1を目指すのではなく競争と協調の共存を主張されていますが、いうつかの点で、疑問があります。

1.常にNo.1を目指さないと結局、真似られて、いつの間にか、その市場から退却する事になりかねません。競争優位に立つためには常に切磋琢磨して、上(No.1)を目指す必要があります。「これで十分」と安住する事の方がリスクが大きいと思います。

2.パフォーマンスの低い人は社会的に不要な存在ではありません。それなりの価値はあると思います。又、競争優位にある人達や企業が、社会的弱者の分まで含めて或る程度の社会コストを或る程度負担するのは当然です。但し、優位にあるポジションの人達や企業の、モティベーションを減殺させるような仕組みを押し付けるのではなく、あくまで、より競争力を高めてもらい、一方では、その成果の一部を社会に還元する仕組みを強化すべきと思います。沢山稼いだ人は累進課税に加え、沢山使うという実態をうまく活用する事だと思います。

3.基本は農業でも他の産業でも、「規模が大きくなることで競争力が強化されるのであれば、その方向で進むように規制の緩和だと考えます。その際に敗者、若しくは効率化のために、他の産業への転出を強いられた人達をどのようにセーフティネットで支え、次の新しい事業に早く就けるように誘導するかでしょう。

4.農業で言えば、規模の拡大で、競争力が強化されるのなら、企業の進出も歓迎すべきであり、もっともっと強化する領域があると思います。それを阻害しているのが土地に対するしがらみであれば、そのような人達が、衰退していくのは止むを得ないと思います。競争力の強化を怠り、旧来の風習と既得権益にこだわっている限り、より安定して、豊かな生活は望めないでしょう。

5.「遺伝子という宝くじに恵まれた人、社会的成功という幸運に恵まれた人」との説明ですが、努力により、現在の幸福や繁栄を築いた人は、それなりに評価されてもいいと思います。たまたま、恵まれない環境にある人でも、努力次第で、報われる「機会の平等」がある程度約束されることが大切と思います。

6.弱者に対する社会的救済を国が準備するのは大切と思いますが、生活保護受給世帯の割合がだんだん増えているのが気になります。そのような人たちに、一生懸命に上を目指して頑張ってもらう仕組みこそが大切と思います。

7.「お金儲けは悪」との認識の方が怖いです。まっとうなやり方でお金を儲けること、そしてそれを社会に還元する事が究極の「企業家として事業の成功」です。もっと儲ける仕組み、そしてもっと将来のために使うことを奨励するような仕組みを考えましょう。
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競争力について… (UCS-301)
2015-12-08 00:59:21
工業の国際競争力が落ちている根本原因の1つは、1991年のバブル崩壊後に企業がこぞって研究部門を縮小したことにあるように思っています。残った研究部門も近々の開発に直結する研究アイテムに絞られる傾向にあったという印象です。つまり、お金の回りが良くなれば真っ当な企業はある程度、先行研究や基礎研究に投資するようになるのではないかと考えます。

農業については、個人的に実情を良く知っているために難しいものを感じます。ウィトラ様の仰るように生産効率は他の産業と比べて極端に悪いです。悪い理由は規模的に集約されていないことと、繁忙期以外はあまり忙しくないことが挙げられます。規模集約されない理由としては土地を売ることに抵抗のある小規模農家が多いことが一番かと思います。専業農家も以前(30年くらい前)に比べるとだいぶ減っている印象です。私の知る専業農家(複数)は以前「米、小麦、イチゴ」でしたが、現在では「米、小麦、イチゴ」に加え在宅(呼び出し)でALSOK(綜合警備保障)の仕事をすることが一般化している状況で、もはや専業農家ではありません。(日本の縦割り式官庁では解決しない?)

※ただ、GDPにおける農林水産業の割合は1.5%ですので、効率化しても誤差範囲のような気がいたします…。
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「パフォーマンスの悪い人を支えると生活は悪くなる」は大きな誤り (Instant Economist)
2015-12-06 21:55:53
これはヒットラーなど優秀な人が陥りやす罠ですが、「パフォーマンスの悪い人を支えると生活は悪くなる」は大きな誤りです。

一時、「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」と自画自賛した時期もありましたが、世は移ろい、日本は少子高齢化という構造的な問題を抱え、経済も伸び悩んでいます。現在、中国、アメリカを追い越して、国際競争力ナンバー・ワンに躍り出るというのは、いわば「かなわぬ夢よ、もう一度」です。かなわぬ夢を抱いたまま、不幸に滅亡するのがオチですね。

一方、イギリスにせよ、ドイツにせよ、フランスにせよ、競争力がナンバーワンでなくても、生き残っている国はたくさんあります。これらの国に言えるのは、その国らしさを持って国際競争するとともに、国際協調していることでしょう。

パフォーマンスの悪い人というのは、どういう人なのでしょう?世の中、パフォーマンスの高い人だけいれば良いのでしょうか?選民思想で少子高齢化を加速させ、少数精鋭(?)で国際競争力を高めたところでしょせんジリ貧、むしろ人権を無視したえげつないやり方が国際社会の反発を招くでしょう。

技術革新の国際競争力が落ちているすれば、それは必ずしも政府のせいではなく、技術革新に従事する者に戦略性が欠けていたことです。一時、労働集約型の高度成長に恩恵を受けたものの、その後のアメリカによる経済制裁や知的財産管理、韓国、中国など新興国の台頭に無策だったことは、厳に反省すべきでしょう。

ある意味、これは成長の過程でやむを得なかったことと思いますが、今の日本に必要なことは、ナンバーワンの夢をもう一度ではなく、国際社会の中で日本ならではのポジションを築いていくことです。日本の農作物の中には海外で高い評価を得ているものもあります。日本のアニメも高い評価を得ています。技術に限らず、こうしたものにも眼を向けながら、日本が日本らしく、国際競争、国際協調できる社会を目指していく必要があるでしょう。

人も同様、パフォーマンスが悪いといって切り捨てるのは正しくありません。そもそも、パフォーマンスが悪いのはその人のせいではないことも多く、また、こうした人の協調に数々の成功が支えられていることが少なくないのです。これが富を再分配をする理由です。富の再分配をしながら、人々が競争と協調できるよう、時代に応じた社会の仕組みに変化させていくことが必要です。

遺伝子という宝くじに恵まれた人、社会的成功という幸運に恵まれた人ほど、幸運・成功は自分のものであるという錯覚に陥りやすいようです。頻発するテロの背景には、こうした錯覚への怒りがあるのかもしれませんね。
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財政出動で問題は解決するか? (ウィトラ)
2015-12-06 13:56:44
UCS-301さんの指摘はあたっている面もかなりあると思いますが、日本にとっては好ましくない方向だと思います。
私は日本経済が長年弱含みなのは、国際競争力が落ちてきているからだと考えています。つまり最先端の技術革新についていけていない。そしてそれは政府が需要を作っても国際競争力強化にはつながらないと思っているからです。農業が典型ですが、日本は農業にどんどん金をつぎ込みましたが、農業関係者はそれに甘えて国際競争力はどんどん下がってきました。今、農業だけで勝負したら、日本人の生活は相当に貧しいものになるでしょう。これまでは工業が進んでいたので農業の問題は国全体に広がっていなかったが、今は工業も競争力が下がってきていると思います。
財政出動はこれの繰り返しになると思っています。
円安に誘導すれば価格が下がるので国際競争力は上がるのですが、国際的な摩擦が高まるうえに日本人の生活レベルは下がっていくでしょう。
パフォーマンスの悪い人を政府が財政で支える限り、日本人の生活はどんどん悪くなっていくと思います。
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どちらかといえば緊縮財政には反対です (UCS-301)
2015-12-02 00:19:54
私はウィトラ様とは反対に、緊縮財政による財政再建はできないと考えています。まずは景気回復を優先すべきではないでしょうか。10兆円と言われているデフレギャップを埋めるには財政出動が少なすぎると考えます。増税、緊縮財政による景気後退の帰結として税収が減ったのでは本末転倒です。赤字企業が税金を払えるように黒字化するところがポイントかと思います。

それに日本において財政破綻はありえないのではないでしょうか。それは通貨発行権が国にあるためです。日本の財政を家計に例えて「国民1人あたりの”借金”が830万円」などという財務省及びマスメディアを大いに疑います(むしろ貸し付けているのは国民の側とも言えます)。

法人税減税については、国内投資を行った企業から減税するようにすべきだと考えます。そもそもGDPが伸びていないのはプラザ合意以降に大企業がアウトソーシングをオフショアに求めたためです。”GDP”を目安に経済を語るのであれば国内に目を向けて当然ではないでしょうか。

農業についてもある程度、安全保障問題として捉えるべきかと思います。それに農家の人に「明日から企業で働け」と言うのは無理があります。長期スパンでシフトできるよう補填するしかないのではないでしょうか。

最後に選挙についてですが、安倍首相は前回の衆院選と同様、”消費税増税延期”を次回の参院選(または衆参ダブル選挙)の争点にする思います。これは対野党というより対財務省(マスメディア含む)という点も前回同様です。
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所得再分配強化について (Instant Economist)
2015-12-01 06:33:10
目先しか考えない事は、あまりやって欲しくないのですが、所得再分配強化は必要かもしれませんね。

日本経済の見方に大きな影響を与えるクルーグマンが、金融危機が一段落した2000年代前半以降の日本経済は、デフレにもかかわらず人口要因を調整すると米欧よりもむしろ良好なパフォーマンスを実現していると認めているようです。また、
•企業利益は史上最高水準
•失業率は金融危機前の水準まで低下
•量的・質的金融緩和による実体経済の顕著な改善はみられない
ことなどは、企業の金融危機対策モードが新標準になってしまったことを示唆しているようであります。1997~98年の金融危機に際して、企業は防衛のために
•投資よりも借入返済や内部留保を厚くすることを優先(資金不足から資金余剰に)
•人件費を抑制(家計消費の原資の抑制)
の金融危機対策モードを取りました。これが金融危機解決後も継続していることが、経済拡大のブレーキ、デフレ要因)になっているようでもあります。かつては日本の個人消費の低迷は社会保障制度の持続可能性に対する将来不安などを背景とした過剰貯蓄が原因と言われることが多かったが、もはや消費の原資となる所得が足りないことが問題であることが明らかでしょう。法人企業統計調査の主要項目を1993年~97年度平均と2014年度で比較すると、経常利益は2.6倍、配当金は4.2倍に大きく増加しているのに対し、人件費と設備投資は減少しています。企業に滞留する余剰資金を家計に還流させ、所得の増加を伴った個人消費の回復につなげることが必要なようです。企業の余剰資金を家計に返して需要不足を解消し、粛々と少子化対策を打っていくのが良さそうです。
さらに、法人税率は既に大きく引き下げられましたが、人件費と設備投資の増加につながったようには見えません。これ以上の引き下げがなぜ賃上げや設備投資増加を誘発するとされるのか、よく、考える必要がありそうです。

日本経済の停滞の根本に人口減少があるとの認識が広まってきているようですが、ケインズ等の経済学者は、かかる状況下の処方箋は。
①低金利政策
②所得再分配強化
にあるとしています。クルーグマンは中央銀行が高目のインフレ目標を掲げることで、実質金利を引き下げることを提唱したわけですが、今のところ、功を奏していないようです。
②の所得再分配については、
A 企業を支援し、規制緩和を行って、市場化を徹底し、国際化に活路を求める解決策
B 「格差」問題を重視し、再分配政策など政府が介入の度合いを強め、内需を高める政策
ケインズの分析に従えば、これまでのA路線からB路線への大転換が望ましいことになりますが、政府の繰り出す成長戦略が真の成長戦略にならない理由は、この最終的な家計消費が伸びないことにありそうです。政府が景気対策を打ち、その結果、企業は経営に余裕が出ると、投資のより多くが海外にという傾向になりがちですが、有効需要が海外に漏れ、有効需要が減少することを意味します。今世紀に入って対外直接投資は大きく増加していますが、競争と調和とを妥協させて内需とのバランスをとっていく必要がありそそうです。企業の海外投資を抑えてでも賃上げ・家計消費増加を促進する経済政策を採れるか否かが、日本社会の命運を分けることになるかもしれません。
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