ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

富士通と東芝の携帯電話事業統合

2010-06-11 08:21:13 | 経済
今日の日経新聞の1面トップは掲題の携帯電話事業に関するものだった。日本の携帯電話業界再編でNECカシオに続く第2段と言えるだろう。

今回の統合はNECーカシオ日立よりもインパクトがあり、やりようによっては成功すると思う。ただしそれぞれの会社の社風が大きく異なっており、マネージメントがうまくいくかどうかが大きな課題だろう。

私はこれまでの両社の動きを見ていて東芝からトップが出るほうがうまくいくように感じているが、事業規模や業績からみると富士通のほうが上なので、富士通が東芝の携帯電話事業を買収するような色彩が強くなると感じている。そうなるとおそらくうまくいかなくなるのではないかと思う。

東芝の携帯電話事業はパソコンに近く、自分で開発するというよりうまく部品を集めてきて機能を提供するという色彩が強い。日本メーカーでマイクロソフトのWindows Mobileに最も積極的だし、QualcommのハイスペックCPUであるSnapdragonを最初に採用したりしている。東芝はノートPCで世界的に強いのでその影響が出ている感じがしている。

一方富士通の携帯電話事業は、典型的な通信端末事業である。一時期シェアを大幅に落としていたが事業をドコモに絞り、「らくらくホン」や「防水ケータイ」など独自の狙いを当てて徐々に復活してきた。垂直統合性の強いビジネスモデルであり、日本の市場をうまくとらえている感じがする。

この両者が統合して世界の市場を狙う時、どんな可能性があるだろうか?

普通に考えれば、東芝型を発展させてスマートホンやiPadのようなタブレット端末の方向に動いていくのが常道だろう。競争が厳しくかなり困難な道だろうが東芝のノートPCのブランドが助けになると思う。こう考えるとパソコン事業も一緒に切り出したほうが良いのではないかという思いになる。富士通はコンピュータ全般に強く東芝はノートパソコンに強い。ノートパソコンと携帯電話の両方を切り出して一つの会社にして東芝が主導権を握るというのが現時点では最も合理的な感じがする。

日本メーカーはAndroidプラットフォームの採用で大きく出遅れており、今後のスパートホンを含めた高機能携帯電話の分野では容易ではないだろう。このような多機能端末はソフトウェアが勝負になるため、技術的にもリードするのは難しいと思う。

現状では3Gモデムつきの端末などは、ハードウェア価格と別に通信料金がかかるためユーザにはかなりの費用負担になる。これが多機能端末でないと生き延びられない大きな理由だと思っているが、今後数年すると料金体系が見直されて、一人のユーザが複数の異なった機能の端末を持つ場合、通信料金の増加はわずかで済むようになる可能性が高い。

そうなると家電の強みを生かした単機能端末の可能性が出てくると思う。
日本のオペレータがこのような料金体系を先導して受け入れるかどうかには疑問があるが、どこかのオペレータと一緒になってこのような料金体系を含めたビジネスモデルを検討し、単機能端末の普及を狙うのが、日本メーカー復活の道筋だと私は考えている。