2013年度も前半が終了し、6月最終の土曜日を迎えました。今晩は、製造の
プロセスに納期短縮をもたらす3Dプリンターを取り上げます。
コンピューターのデータを基に、印刷感覚で立体物を造形できる「3Dプリンター」に
注目が集まっています。リアルな再現力に加え、試作などが容易になり開発期間や
コストの削減につながると産業界の需要も高い。その実力と将来性は?(横山三加子)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130629-00000029-mai-bus_all
3D(スリーディー)プリンターは、プラスチックや樹脂、金属粉などの層を積み重ね
ながら造形する技術。3Dスキャナーで取り込んだりCAD(コンピューター利用設計
システム)で、作成したりしたデータがあれば、複雑な形状でも数時間から数日で
完成する事ができます。高性能品は着色も自在。産業用の1億円超えから十数万円
普及品まであり、米国メーカーが強い現状があります。
「3Dプリンターは、自動車産業などでは部品の試作に欠かせない機器」。
丸紅情報システムズ常務執行役員、木全氏は、1990年代初めから米ストラタシス社
製品を企業向けに輸入販売してきました。約10年前に1000万円を切る製品が登場
すると需要拡大。飲料メーカーが持ち易い容器を開発したり、おもちゃ会社が新製品の
デザインを確かめるのに用いたりと使途は多様化している。実物に近い試作品が簡単に
作れることで、設計上の不備や改善点がいち早く分かるメリットがあります。
「大企業に対抗するため、スピードが命のベンチャー企業にはなくてはならない技術」
と期待するのは、ネットを使った映像配信装置などのヒット商品がある家電ベンチャー、
セレボの岩佐社長。新製品の設計データを3Dプリンターを持つ制作会社に外注して
試作しています。
タカラトミーは2009年、ミニカー「トミカ」の新モデルのサンプル製作などに導入。
木や樹脂から手作業で削り出していた時代に比べ「時間もコストもざっと半分になった」
(広報)。さらには試作にとどまらず、航空機の本物の部品の製作にも使われ始めている。
一部の大学病院では患者の臓器を内部の血管や神経まで再現した模型を、手術方法
検討や患者への説明に用いたりしています。
政府が、6/7にまとめた13年度版「ものづくり白書」は、3Dプリンターの普及について
「ものづくりの方法が大きく変わる可能性がある」とする一方、熟練工の高度な加工技術が
不要になりかねないと指摘。例えば大量生産に欠かせない金型製作は日本が強い分野
だが、「3Dプリンターの性能が高まれば脅威になる」(中小企業関係者)。
ただ今のところ3Dプリンター自体で大量生産するところまではいっておらず、白書は
「わが国の製造業にとって脅威なのか、競争力を向上させるチャンスなのか、注目する
必要がある」としています。
3Dプリンターの需要は益々高まり、遅くない時期に物作りの方法として、大量生産に
活用されるときがきそうです。政府として見極めるなどと、悠長なことを言わず、即
競争力アップのため、米国にキャッチアップしなければ、ならないでしょう。
ものづくりのDNAを残すだけでなく、経済成長を継続させるためにも、必要な技術。
政府の「ものづくり」に対する政策とスピーディな対応が求められます。
それでは、また。