週末の東京/神奈川は、積雪を観測しましたが、数cmであったため、
土曜日の晴天の中、多くの場所で雪化粧は姿を消してしまった様です。
さて、今朝方のNY市場、原油は反発したものの下落して終了。週明け
東京市場は、先高感はあるものの、下落のスタートになりそうです。
そんな中、原油安の影響についてアップします。
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原油価格は実に興味深いものです。世界経済や世界地図にもっとも大きな
影響を与えるものであり、政治的にも利用されてきたのではないかと思え
ます。原油価格をコントロールすれば世界が変わってしまいます。
http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20150128-00000004-argent-column
今と同じように、かつてサウジアラビアが原油の増産を決定し、5ヶ月間で
価格3分の1にまでなった事がありました。1985年終盤~1986年春に
かけての事です。当時米ソは冷戦対立を深め、アフガン侵攻などで緊張も
高まっていました。
そのタイミングで原油価格が一瞬で3分の1となったのです。需給の理屈
だけではありえない暴落です。そして5年後にソ連は崩壊しました。崩壊に
至るまでに様々な政治的変化がありましたが、原油価格が最大の原因と
思います。
現在のロシア、イスラム国、イランと欧米間の対立関係も似ています。
ソ連からロシアへと国は変わっても、他に際立った産業のない構造は同じ
であり、原油価格が下がれば政治が崩壊します。経済が良い内は(たとえ
それが「イスラム国」などの、どのような政治体制であっても)安泰ですが、
経済が崩れれば国も滅んでしまいます。世界には、ロシアのように原油と
経済が直結している国が幾つもあります(中東やベネズエラなど)。
そして、その影響は産油国だけでなく、消費国にも甚大なものとなります。
原油暴落の起きた1986年の日本は、これからバブルが始まるとは思われて
いない段階でした。1985年9月のプラザ合意によって極端な円高(1ドル約
250円が150円に)となり、消費税導入も議論されていた日本の景気は良く
ありませんでした。ドルも原油価格と並んで世界を大きく変える力のあるもの
です。
しかし、そこへ前述のような原油価格が、3分の1という暴落が一瞬で起きて
(11月~3月)日本経済は立ち直りました。プラザ合意(100円もの円高誘導)
という日本に不利な取り決めと、まるで交換条件のようにも感じる神風でした。
2013年度のデータですが、日本の輸入品目に占める石油ガス関連の割合は
以下のように3割にもなります。
1986年当時はまだアウトソーシングや海外生産という言葉すら存在せず、
メイド・イン・ジャパンが当たり前でした。その製造構造の中で100円も円高に
なった上に(つまり、円高で原油の調達コストが下がった上に)、原油価格が
3分の1に暴落した訳ですから、日本経済のコストは劇的に下がり、その結果
1986年に大幅に過去最高となる(それ以降を含めても)巨額の貿易黒字を
生み出しました。その頃、輸出額はむしろ減っていたのにそれ以上に輸入額が
劇的に下がったのです。
しかし当時の日本は原油安とドル安のダブルメリットをあまり意識せず、日本
企業の合理化努力によって円高不況を克服したと錯覚しました。空前の貿易
黒字で資金も国内にダブつくなか、実力以上に日本経済や企業を「過大評価」
した結果、バブル(=実力の過大評価)へと突入して行ったのです。震災以降、
日本が30年ぶりに貿易赤字となったのも原油・ガスの輸入量が増えたからで
あり、今も燃料価格の影響は大きい事に変わりありません。
よく米国がドル安・ドル高政策に転換したというような話を聞きますが、それと
同じくらい原油価格は世界地図や経済・株価にとって影響の大きな事と思い
ます。
1986年当時の「原油安政策」を見ると、今回の原油安はまだまだ長期化する
可能性も充分あると予想します。まだ、欧米に敵対する勢力が力を失っていな
いからです。そうすると日本経済への好影響は今年以降、計り知れないほど
大きくなると思います。当時と違って今は円安基調ですので、その分効果は薄
くなりますが、それでも原油6割安は輸入金額を大きく減らすはずです。
ガスや石油製品も併せると年間10数兆円の節約効果があり、円安で輸出金額は
伸び、貿易黒字に戻る可能性もあります。ガソリン価格の大幅安は今後訪れる
はずであり、家計に対する消費増税のマイナスを相殺する力があると思います。
原油安が続く限り、「日本株」は今思われている以上に今後「買い」であると
思います。
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「2月第1週 相場展望と予定」は明日 書き込みします。
それでは、また。
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