月末最終の土曜日は、今週を振り返り、WBCのV2達成や株式市場リバウンド
基調の影に隠れた、公示地価公表や不動産市況について書き込みします。
まず、3/23に国土交通省が発表した、09年1月1日の公示地価です。
名古屋は、全国の商業地の下落率上位ベスト10に 9地点が入り、土地価格に
もトヨタショック再来かと・・・。
3/23、2009年1月1日時点の公示地価を公表した住宅地、商業地共に、
全国平均は、3年ぶりに下落に転じました。
前年と比較できる2万7922地点のうち上昇は23地点のみで、1970年の調査
開始以来、最少となったようです。
世界的な景気後退の影響で、外資系ファンドが、日本の不動産から資金を引き
揚げる一方、将来への不安などから個人の住宅買い控えも広がって、地価は、
ほぼ下げ一色となりました。
全国平均の下落率は、住宅地が前年比3.2%、商業地が4.7%、工業地なども
合わせた全用途で3.5%でした。
住宅地で上昇したのは、北海道伊達市や新潟市など16地点だけで、上げ幅は
最大でも4.6%と小さかった。商業地の上昇地点は5か所だった。
前年は大幅上昇した地点もあった、東京、大阪、名古屋の3大都市圏商業地で、
今年は上昇地点がゼロ。特に、地元自動車産業の不振が響いた、名古屋圏の
下落率が大きく、全国下落率の上位10地点のうち9地点が名古屋圏でした。
3大都市圏以外の地方圏の下落率は、住宅地が2.8%( 前年1.8% )で
商業地が4.2%( 同1.4% )と、前年より下げ幅が拡大した。
いずれも17年連続の下落だった。 都道府県別では、住宅地、商業地とも
全都道府県で下落した。下落率が最も大きかったのは、住宅地が、東京都
(6.5%)、商業地が秋田県(8.2%)だった。
最も地価が高かったのは、東京都中央区銀座4丁目の山野楽器銀座本店で、
1平方メートル当たり3820万円。 前年から80万円安くなったものの3年連続で
トップを守りました。
国交省では、「景気悪化とともにマンション販売やオフィス需要とも不振となり、
土地購入の動きが一気に冷え込んだ。」と分析しています。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000785-yom-bus_all
<07年5月から直近安値まで80%下落していた不動産株>
特に、都心部では商業地、住宅地を問わず地価の下落が大きかっただけに
あらためて、不動産業界を取り巻く環境は、厳しいものを感じます。
しかし、市場では 「今回発表された数値に、サプライズ感は全く無い。不動産株の
株価は織り込んでいたとみられる。」と準大手証券情報担当者の声として紹介して
います。
東証の業種別平均株価で、不動産業は、ピークを付けた2007年5月高値から
直近安値まで約80%の下落を記録。長期トレンドで、07年に向けた上昇波動の
起点で、金融不安が、頂点に達した03年の水準まで 「行って来い」 となるなど、
底入れが近いとの印象を与えていた。ここにきて米国の金融不安後退を手掛かり
に戻り歩調となっています。
<地価下げ止まりを見通せず>
もっとも今回の地価下落が、不動産株の悪材料出尽くし感を誘うことはないという。
地価について、下げ止まりが見通せる状況ではないからだ。
大和総研の中川雅人氏は 「この先1年ぐらい、地価は下値模索となることが考え
られる。」と話す。中川氏は 「ここ1年ほど、土地取引は、殆ど止まった状態だった
ため、今回発表された数値、株価に例えると気配値。」 とした上で 「実際に取引
されるようになれば、価格はさらに下がる。金融面など現実の厳しさが実感される
のは、ここからになるのではないか」 と分析しています。
証券ジャパンの大谷正之氏は 「マンションの在庫調整が進む等、明るい材料も
あるが、地価に下げ止まりが確認されるまで、不動産株を買い上がるのは難しい。
現時点で関連銘柄は売られ過ぎの反動で、買い戻しが活発化してるものの、
それらが一巡した後の動きは不透明だ。」 とコメントしました。
<不気味な地価下落と貸し渋りの連動>
地価下落については、不動産業界のみならず、マクロ経済全般への悪影響も
懸念されている。野村証券金融経済研究所の木内登英氏は 「日本では住宅価格
下落が個人消費に与える影響、すなわち『逆資産効果』は概して小さいが、設備
投資に与える影響は無視できない。その背景にあるのは、地価下落が銀行貸出
の抑制を通じて企業の設備投資活動を抑制する経路だ。」 と指摘。
担保に差し出している不動産の価格が下落することで、銀行の貸し出し抑制に
つながり、それが経済全般に悪影響を及ぼす。木内氏によると 「一般物価の
下落に資産価格の下落、金融システムの不安定化が絡み合う 『複合デフレ』の
リスクが日本経済に再浮上しつつある。」 という。
ただ、実際に不動産が取引され、価格は下落しながらも、価格リスクが把握
できる状態になれば、地価の下落が引き起こす貸し渋りは、一巡するとの見方
もある。
大和総研の中川氏は 「金融面からの下落は、向こう1年で沈静化するのでは
ないか。ただ、金融機関の不動産融資が正常化するだけでは、地価は、下げ
止まらない。2010年ごろには底打ちが見込めるが、その時点で国内景気が
上向くことが、不動産市況回復の条件となる」 (大和総研の中川氏)と指摘。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090323-00000108-reu-bus_all
こんな中、夜明け前を感じさせたのは、米国の住宅指標でした。3/23に、2月
中古住宅販売件数は、472万件(予想445万件)で、1月の449万件から若干
改善を示しています。
中古住宅販売の中心価格は、16.54万ドル、平均価格20.97万ドルになって
おり、1月の各16.48万ドルと20.67万ドルと価格も底打ち感が出ています。
NAR(発表元)によると、販売件数の45%は、差し押さえ物件。また、販売価格は
平均価格、中心価格とも、8ヶ月ぶりの改善でした。
また、3/25の米MBA住宅ローン申請件数(3/21週迄)も、32.2%と前回
21.2%(前週比)から改善しています。
同様に、2月新築住宅販売件数は、33.7万件(予想30万件)で1月の32.2万件
から底打ち感も出てきました。
米市場の住宅関連の改善傾向が、一過性のものか、しっかり見極める必要が
ありますが、日本の不動産の先行指標として捉えることができれば、明るい材料
になります。
昨日の日経朝刊で、政府与党が、金融危機の影響で資金繰りが厳しくなっている
REITを支援するため、官民共同ファンドを設立する方向で検討に入ったと報じて
いました。(東京証券取引所に上場するREITは、借入金など借り換えで、09年中
に約1.2兆円が必要の見通しで、ファンド資金規模も1兆円程度とする案有力。)
日本政策投資銀行や、ゆうちょ銀行の資金を活用することも視野に入れ、与党が
月内にまとめる金融対策に、こうした案を反映させ、政府で具体化検討する予定。
とすれば、日本の不動産市場も、夜明け前が一番暗い状況なので、今夏辺りが
底になる可能性もありますが、どうでしょうか。
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