もう1月も、月末となり、09年度も1ヶ月経過しました。昨日、
第3四半期決算がピークとなり、500社程度が、09/3月
決算の見通しをリリースしました。
下方修正が目立ち、減配なら良い方で、赤字決算により無配に
なる企業も散見されます。
自動車/電機の東証1部の大手企業が、このような状態ですから
中小企業や、内部留保等の手持ち資金が潤沢でない、新興市場の
断末魔が聞こえてきそうです。
そう言えば、今週の週間ダイヤモンド09/01/31号で、特集を
組んでました。読まれた方も多いことと思います。
概要は、「 昨年1月から現在にかけて27社が上場廃止となり
今後も数百社単位の淘汰は、避けられない。最新データを通じて
あらゆる角度から新興市場に巣食う問題企業をあぶり出し、信頼
回復に向けてどうすべきか。」 と言った切り口での特集です。
こうなると、企業も生き残りに懸命ですが、3月期末決算に向け、
中小を問わず、倒産する企業があっても、おかしくありません。
倒産するリスクを持っている企業への投資を避ける、指標として
「監査法人の交代」に着目するのも、有効かもしれません。
企業の信用リスクを判断する材料として、密かに注目するのが
「会計監査人の交代」。
上場企業の財務諸表の「保証人」と呼ばれる会計監査人。その交代が
何故、注目されるのか。
監査業界関係者の話として 「06年の金融商品取引法(金商法)で、
上場会社に対して四半期報告書の提出が義務付けられました。
これは、会計監査人の簡易監査(レビュー)の提出も必要ですが、決算
発表に向けて早く監査人のお墨付きを得ようとする企業(経営陣)と、
破綻すれば、株主に責任を追及されかねないと慎重姿勢の監査人が
対立。
結果、交代(契約解除)するケースが生じており、これが投資家に
『企業経営に難アリ』 と映っているのです。」
継続企業の疑義が付いた状態で「適正意見」を表明し、後日その企業が
つぶれたら、損害賠償訴訟リスクになります。リスクを背負い切れない
と判断した大手監査法人が、監査を降りるとすれば、その企業は・・。
企業は生き残りのため、準大手監査法人→中小→個人監査人と下流に
降りていきます。中小監査法人や個人公認会計士の中には、高額監査
報酬の見返りで、問題企業の監査を、リスクを取って引き受けるかも
しれません。
と言うことで、昨年初めから今年1月までに、会計監査人異動と予定を
発表した主な上場企業は下表のようになっています。
(出典:1/27日刊ゲンダイ)
四半期報告制度が本格化した昨年夏以降、ジャスダックやマザーズ等の
新興市場で目立つのが特徴です。
<会計監査人異動を発表した主な企業>
異動(予定)月日/企業名/業種
市場/新任監査人/異動の理由/退任監査人
1. 09年2月20日/ミクロン精密/機械
ジャスダック/新日本有限責任監査法人/任期満了/あずさ監査法人
2. 2月19日/キューソー流通システム/倉庫・運輸
東証1部/新日本有限責任監査法人/任期満了/あずさ監査法人
3. 1月29日/スリープログループ/サービス
マザーズ/三優監査法人/任期満了/新日本有限責任監査法人
4. 1月28日/ロングライフホールディング/サービス
ヘラクレス/霞が関監査法人/任期満了/大阪監査法人
5. 1月26日/セブンシーズホールディングス/情報・通信
東証2部/才和監査法人/合意解除/隆盛監査法人
6. 1月21日/日本賃貸住宅投資法人/不動産投資
東証REIT/太陽ASG有限責任監査法人/任期満了/あずさ監査法人
7. 1月16日/丸和/小売り
福証/才和監査法人/合意解除/隆盛監査法人
8. 1月16日/プロパスト/不動産
ジャスダック/明誠監査法人/合意解除/新日本有限責任監査法人
9. 1月8日/イーター電機工業/電気機器
ジャスダック/才和監査法人/合意解除/隆盛監査法人
10.08年12月22日/篠崎屋/食料品
マザーズ/監査法人アヴァンティア/任期満了/太陽ASG有限責任監査法人
11 12月17日/ヤマノホールディングス/卸・小売り
ジャスダック/パシフィック監査法人/合意解除/隆盛監査法人
12. 12月12日/アスコット/不動産
ジャスダック/アスカ監査法人/合意解除/新日本有限責任監査法人
13. 10月1日/かんなん丸/小売り
ジャスダック/アスカ監査法人/任期満了/新日本有限責任監査法人
14. 9月30日/モック/サービス
マザーズ/監査法人ウィングパートナーズ/辞任/プライム監査法人
15. 9月26日/ランシステム/小売り
ジャスダック/アスカ監査法人/任期満了/新日本有限責任監査法人
16. 9月2日/ゼクス/不動産
東証1部/監査法人ウィングパートナーズ/辞任/あずさ監査法人
17. ※8月29日/シーズクリエイト/不動産
東証1部/個人事務所/合意解除/新日本有限責任監査法人
18. 7月24日/STEILAR C.K.M/小売り
ジャスダック/アスカ監査法人/合意解除/太陽ASG有限責任監査法人
19. 7月1日/イメージ情報開発/情報・通信
ヘラクレス/アスカ監査法人/任期満了/新日本有限責任監査法人
20. ※6月下旬/スルガコーポレーション/不動産
東証2部/リンクス監査法人/任期満了/新日本有限責任監査法人
21. 6月27日/アビリット/機械
東証・大証1部/アスカ監査法人/合意解除/あらた監査法人
22. 6月25日/中小企業信用機構/その他金融
ジャスダック/アスカ監査法人/定款変更・契約終了/三優監査法人
23. 2月27日/ジー・エフグループ/情報・通信/
マザーズ/アスカ監査法人/合意解除/あずさ監査法人
※東京証券取引所発表などから
※シーズクリエイトは9月に民事再生手続き、10月に上場廃止
※スルガコーポレーションは6月に民事再生手続き、7月に上場廃止
中には、事業継続に疑義を唱えた会計監査人の交代直後、民事再生法の
適用を申請した「スルガコーポレーション」や「シーズクリエイト」も含まれている。
「シーズは、当時担当だった新日本有限責任監査法人と、事業継続をめぐる
記述の折り合いがつかず、四半期報告書を提出期限から15日過ぎても出せ
なかった。このため急きょ、新日本との契約を解約。しかし、不安リスクが増大し、
民事再生手続きとなったのです。スルガの場合も、事業継続見通しを表明しな
かった新日本が、任期満了を理由にスルガと手を切ったとみられています」
(市場関係者)
会計監査人の交代は、任期満了や報酬の削減、担当者が別法人に移籍などの
理由があり、すべてが「顧客企業との意見対立」ではない。
ただ、「経営が危うい企業の中には『お墨付きをもらえないと、銀行が融資して
くれない』と泣きつく経営者もいて困る」(大手監査法人)というケースもあるのは
事実だ。
上場企業の会計監査人の交代は、時期が時期だけに、いつにも増して過敏に
注目されている。
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