米ピッツバーグで、9/24~25日に開かれた20ヶ国、G20首脳会議(金融
サミット)は、首脳声明を採択して閉幕しました。
金融危機の背景にある世界経済の不均衡を是正するため、相互に監視すると
共に、、金融危機の再発防止や各国協調して景気刺激策を継続を決めました。
今後は、G8よりG20が主流になるようで、新興国の存在感が大きくなります。
要旨を参考までに、アップしておきます。
-- G20首脳声明の骨子 --
[ピッツバーグ 25日 ロイター]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090926-00000654-reu-bus_all
1.強固で持続可能かつ均衡ある成長のための仕組み
●短期的には、経済刺激策の実施を継続。回復が十分確保された時点で実施
されるべき、例外的措置を戻すためのプロセスの作成が必要。財務大臣に、
国や政策手段の種類により、規模やタイミングなどが異なることを認識しつつ、
協力的で調和した出口戦略の作成を11月会合において継続する事を指示。
●国際通貨基金(IMF)は、世界経済は本年中に成長再開、2010年末迄に
ほぼ3%成長を予測。
われわれの目標は、雇用などのため改革を実施し、財政の責任と持続可能性
にコミットしつつ、持続可能で均衡ある高成長への回帰。
●世界経済のより均衡ある成長パターンへの移行のため、協働が必要。強固な
回復には、世界需要を促進するマクロ経済政策および国内民需の促進など構造
改革の進展が求められるとともに、世界経済の異なる部分それぞれにおける
調整が必要。各国の共通理解と対話の深化、新興国・途上国の生活水準引き
上げも、持続可能な成長ため極めて重要な要素。
●「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」を立ち上げ、実行のため
のプロセス作成にコミット。
IMF・世銀に対し、支援・助言を要請。財政・金融政策などを集合的に持続可能
で均衡ある成長と整合的とするために協働。開発の社会的・環境的側面をより
良く勘案するための計測方法について作業。
●財務大臣・中銀総裁は、政策やその成長と持続可能性への影響を相互評価する
協力的プロセスを始め、11月までにこの新しい枠組みを始動。
●われわれの合意(コンパクト)は、G20メンバーが
1)共通の政策目標に合意、
2)中期的政策枠組みを設定、各国の政策の集合的な影響を評価、金融安定へ
の潜在的リスクを特定、
3)相互評価に基づき、共通目標達成のための行動を考慮。
●このプロセスの成功に、率直公平でバランスのとれた分析が不可欠。IMFに
対し、財務大臣・中銀総裁への支援とG20と国際通貨金融委員会(IMFC)
双方への定期的な報告を要請。財務大臣・中銀総裁は11月にこのプロセスに
ついて議論、次回の首脳会合で相互評価の結果をレビュー。
2.国際的な金融規制制度の強化
●危機以前に見られた過度なリスク・テイクに戻ることは許されない。
●健全性監督の強化、リスク管理の改善、透明性の向上、市場の公正性の促進、
監督カレッジの設置、国際的な連携の強化の分野において大きな進展。店頭
デリバティブ、証券化市場、格付会社・ヘッジファンドに対する規制強化など
規制・監督範囲を強化・拡大。
●競争条件の公平を確保し、市場の分断、保護主義、規制潜脱行為を回避する形
での規制の実施にコミット。
不良資産の処理および追加的資本増強を継続。必要に応じ、ストレステストを
実施。
銀行に対し、資本の積み上げと貸出増強のため、利益のより多くの割合を留保
するよう要請。証券化商品スポンサーまたは組成者は原資産のリスクの一部を
保有すべき。
●財務大臣および中央銀行総裁に対し、以下の分野などへの取り組みに合意する
よう指示。
◎質の高い資本の構築と景気循環増幅効果(プロシクリカリティ)の抑制
○銀行資本の質と量を改善し、過度なレバレッジを抑制する国際的に合意された
ルールを2010年末までに策定する事にコミット。これらのルールの実施は、
2012年末迄を目標に、金融情勢が改善し、景気回復が確実になった時点で
段階的に行われることとなろう。
○質・量ともにより所要自己資本、補完的レバレッジ比率、リスクの高い商品や
オフバランス取引へ資本賦課の強化などを各国が実施することにより、銀行が
過度なリスクを負うインセンティブを減ずる金融システムを創出。
○すべてのG20の主要な金融センターは、バーゼルIIの枠組みを2011年迄
に採用することにコミット。
◎金融安定化支援のための報酬慣行の改革
○報酬政策・慣行の改革は金融安定の増進のため必須。
○次の点をめざす、金融安定理事会(FSB)の勧告を全面的に支持・複数年に
渡るボーナス保証を避ける・変動報酬の相当部分について、支払いを繰リ延べ、
業績に連動させ、適切な取リ戻しの対象とし、株式や株式類似の形態で付与・
経営幹部などへの報酬が業績およびリスクと整合することを確保・金融機関の
報酬政策・体系を開示義務を課すことにより、透明化・変動報酬が健全な資本
基盤の維持と整合的でない場合に、純収入全体に対する変動報酬の比率を制限・
報酬政策を監視する報酬委員会が独立して活動することを確保
○監督当局は、金融機関の報酬体系をレビューし、必要に応じ、金融機関に対し、
より高い所要自己資本を課すなどの是正措置を適用する責務を負い、破綻した
又は例外的公的介入を要する金融機関の報酬政策・体系を修正する権限を持つ
べき。
○金融機関に対し、実施状況を監視、必要に応じ追加措置を2010年3月迄に
提案することを要請。
●非協力国・地域に対する取り組みにめざましい成果。グローバルフォーラムの
拡大を歓迎。2010年3月より、タックスヘイブンに対する対抗措置を使用
する用意。金融活動作業部会(FATF)による進展を歓迎、リスクの高い国・
地域の2010年2月迄の公表を要請。FSBに非協力国・地域問題に関する
進捗状況を2009年11月に報告、2010年2月までにピア・レビューの
手続きを開始することを要請。
3.国際金融機関
●IMFの資金を3倍にするとの約束を履行。われわれは拡大された新たな新規
借り入れ取り決め(NAB)に5000億ドルを超えるコミット。
IMFは2830億ドル相当の特別引出権(SDR)を配分、うち1000億ドル以上が
新興国・途上国の準備資産を補完。金の売却などにより、IMFの中期的な譲許的
貸付能力を倍以上に拡大。
●IMFは世界的な金融安定化、成長の均衡を回復する上で重要な役割。IMFの
融資制度の改革を歓迎。
IMFは加盟国による金融市場の変動への対処を支援する能力強化を継続。
IMFの衡平・率直・中立なサーベイランスの能力強化のために協働。
●IMFガバナンスの現代化は重要。IMFは引き続きクォータを基礎とする機関で、
クォータ配分は世界経済における加盟国の相対的地位を反映すべき。
そのため、現在のクォータ計算式を用いて過大代表国から過小代表国へ少なく
とも5%のダイナミックな新興国・途上国へのシェア移転にコミット。
次期クォータ・レビューの一部として、増資の規模や理事会の規模と構成などの
重要な問題への対処が必要。スタッフの多様性は増大されるべき。国際機関の
長などは開かれた透明で能力本位のプロセスで選任されるべき。
2008年4月に合意されたクォータおよび代表権改革の早急な実現。
●MDBsは1000億ドルの貸出増額を着実に実施。MDBsが適切に資金を
有することを確保するとのコミットメントを再確認。
●開発と貧困削減が開発金融機関の中心的な使命。気候変動などグローバルな
課題への対応においても、世銀や他のMDBsは重要。世銀は、地域開発金融
機関や他の国際機関と協力し、食料安全保障、人的開発及び最貧層の安全保障
への対処、民間セクター主導の成長やインフラ支援、グリーン・エコノミーへ
の移行のための資金的支援などを強化。
●世界銀行の投票権改革について、各国経済的地位、世銀の開発使命を主として
反映する計算式の利用を通じ、徐々に衡平な投票権に移行することが重要。
計算式は、過小代表国の利益となる様、途上国、体制移行国の投票権に少なく
とも3%の意義ある増加をもたらすべき。過大代表国はこれに貢献するものの、
極めて小さな貧困国の投票権保護が重要。
2010年春の会合までの合意に再コミット。
4.エネルギーおよび気候変動
●石油市場の透明性の向上、先物市場規制に関する証券監督者国際機関(IOS
CO)の勧告の実施にコミット。
●エネルギー効率の向上が重要。化石燃料に対する補助金は非効率であり、段階
的に廃止・合理化にコミット。
●クリーンエネルギーとエネルギー効率の推進のため、関連投資、技術の普及。
●国連気候変動枠組条約での交渉を通じてコペンハーゲンでの合意をめざす。
●気候変動のファイナンスにつき、財務大臣の作業を歓迎し、ファイナンスの
オプションを次回会合で報告するよう指示。
5.最脆弱な人々への支援の強化(略)
6.雇用
●我々の努力は本年末までに700万から1100万の雇用を創出・維持する
見込み。持続的行動なしに、失業増加が見込まれ、特に最脆弱層へ影響が大。
雇用増・維持、所得拡大、失業者へ社会保障、訓練提供などを優先する回復策
を実施。
●より包括的な労働市場、積極的労働市場政策、教育・訓練などが重要。生涯に
わたり必要な技術を身につける研修が必要。先進国は途上国を支援。
●成長戦略及び投資における訓練の支援を誓約。国際労働機関(ILO)に対し
訓練戦略作成を要請。
●将来の経済成長のための雇用主導の枠組み形成の重要性に合意。ロンドン
雇用会議およびローマ社会サミットの重要性を再確認し、ILOによる「危機から
の回復:世界労働協定」を歓迎し、その主要要素を自国に適用。
●米は2010年の早い時期に、G20雇用大臣会合を主催する。担当大臣に、
変動する雇用情勢、ILOの報告書などをレビューするように指示。
7.貿易
●保護主義との戦いにおいてわれわれが結束することは極めて重要。2500億
ドルの貿易金融イニシアティブの迅速な実施を歓迎。投資・貿易に対する新たな
障壁を設けないことなどに関するこれまでのコミットメントを再確認。
世界貿易機関(WTO)などによる共同報告を歓迎。
●さらなる貿易自由化にコミットし、ドーハ開発ラウンドの2010年における
野心的かつ均衡のとれた妥結の追求を決意。2010年の早い段階で状況を
評価し、農業および非農産品市場アクセス、ならびにサービス、ルール、貿易
円滑化およびその他の分野につき進展を追求。われわれは関与を継続し、次回
会合において交渉の進展をレビューする。
8.今後
●G20はわれわれの国際経済協力に関する第一のフォーラム。2010年6月
にカナダで、2010年11月に韓国で、G20サミットの開催に合意。今後は
毎年開催し、2011年はフランスで開催。
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