ロイターは、ワシントンで開催された7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、
世界経済の急激な悪化が、鈍化してきた旨を声明に盛り込みました。
先行き不透明感はあるものの、世界各国の財政政策により、経済回復基調に水を
注さないよう、グローバルな協調/連携が、継続的に必要です。
でも、マーケット関係者の関心ある米国ストレステスト(健全性審査)については、
ほとんど話題にならなかったと報じています。
24日、FRBは、ストレステストの審査法に関する白書を発表、米銀大手19行は、
景気後退悪化の可能性に対処するため、規制水準を上回る「かなりの」資本を保持
する必要があるとの見方を示してますが、進行中なのでしょう。
各国首脳のG7主な発言は、下記の通り。
・ガイトナー米財務長官
「幾分心強く思うのは当然だが、昨秋に世界経済の上に垂れ込めた暗闇からの
浮上が近いと結論付けるのは誤り。」 と、くぎを刺しています。
・与謝野馨財務/金融/経済財政担当相
「景気後退しているが、その速度が鈍化しているという消極的な言い方をしている。
疑問符付きの表現だ。最悪期から脱したかもしれないということを間接的に表現
したもの」と説明しました。
この景気刺激策の出口戦略について、ガイトナー米財務長官から「非常に重要なの
は、需要を刺激し信用のフローを回復させるための異例の措置をとる場合、それと
並行してそれを解消し、中期的に財政を維持可能な状態に戻すようなプログラムを
策定すること。
これは、われわれの戦略で非常に重要な部分を占めており、回復の持続性という点
でも非常に重要になる」と指摘したようです。
為替について、声明で「中国のより柔軟な為替レートへの移行に対する継続したコミ
ットメントを歓迎する」、「われわれは、強固かつ安定した国際金融システムがわれ
われの共通の利益であることを再確認する。為替レートの過度の変動や無秩序な
動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与える」などとし、2月のイタリアG7
での表現をほぼ踏襲してました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090425-00000967-reu-bus_all
IMF(国際通貨基金)が、09年の世界の成長率がマイナス1.3%と、戦後最悪の
落ち込みになるとの見通しを発表し、それを受けたものになっています。
4/上旬に、総額5兆ドルの財政出動を決めたG20(金融サミット)から、1ヶ月と
言うことで、その景気刺激策の効果が、IMF見通しを上方修正させるものとなるか、
3ヶ月先の経済指標の発表がどうなるか、予断は許さないので、さらに次の矢を打つ
準備も必要でしょうか。
下記に、ロイター電が伝えたG7声明概要をアップしておきます。
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G7の財務相・中央銀行総裁は、数十年来で最も深刻かつ広範な景気後退と金融混
乱の中、本日会合した。
世界の様相は、つい数年前までの力強い成長、新興市場国への資金フローの急速
な拡大、貿易の大幅な拡大の時期から、現在の景気後退、レバレッジの減少および
貿易の縮小に特徴付けられる時期へと一変した。われわれは、成長を支え、金融シ
ステムの信認と信用供給の流れを回復するため、断固として行動してきた。最近の
データには、われわれの経済の景気後退速度の鈍化やいくらかの安定化の兆候を示す
ものも出てきている。
経済見通しは引き続き弱いなか、経済活動は今後本年内に回復を開始するであろ
うが、下方リスクは継続している。ロンドンにおいて首脳たちが強調したように、われ
われは雇用と成長を回復し、今回のような規模の危機の再発を防ぐため協調して行
動することにコミットする。
こうした背景のもと、
・われわれはマクロ経済支援策を迅速に実行しており、成長を回復するために必要
な規模の継続した財政努力を行うことへのコミットを再確認した。われわれは、長期
的な財政の持続可能性を保ちつつ、成長トレンドへの回帰を加速するために必要な
あらゆる行動をとる。
われわれはIMFに対し、とられた行動をモニターし、われわれとG20に定期的に報告
するよう求める。
・われわれは貸出を回復し、流動性支援を提供し、金融機関に資本を注入し、預金
を保護し、不良資産を処理するため、必要に応じ引き続き行動する。われわれは、
システム上重要な機関の健全性を確保するために必要なあらゆる行動をとるとコミ
ットメントを再確認する。
・われわれはIMFのための資金をプレッジしており、IMFが世界の金融の安定回復
を支援するうえで必要とする資金を提供するため、G20などと協働している。われわ
れは、世界的な景気後退が新興市場国および途上国に与える影響を緩和するため
国際開発金融 機関の融資の大幅な増加と、そのバランスシートの最大限かつ
例外的な活用を支持する。
・われわれは特に、IMFへの当面のバイの融資の動員についてなされた進展を歓
迎。このバイの融資は、IMFの新規借入取り決め(NAB)にいずれ組み入れられ、
NABは最大5000億ドル増額され、その参加国が拡大される。われわれは、2500
億ドルのSDR一般配分の実行、および、IMFの新歳入モデルと整合的な形での、
合意された金売却による追加的資金の最貧国支援への活用に向け作業を進めている。
われわれは、貿易金融支援に少なくとも2500億ドルを供給するイニシアティブを
実行している。
・われわれは、強固なファンダメンタルズを有する国の危機への対処を支援するフレ
キシブルクレジット・ライン(FCL)のような、新たな融資制度のIMFによる導入を歓
迎し、メキシコ、ポーランドおよびコロンビアによるその利用を支持する。われわれは
現下の危機のなかにおいて、中期的に堅固な財政見通しを有する国への財政ニーズを
支援するため、IMFがその権限と整合的な形でその資金を場合に応じて利用する
ことを支持する。
われわれはまた、IMF、世界銀行および地域開発金融機関が密接に協働し、借入
国が直面している、銀行の資本増強や債務借換円滑化の必要性といった特別な状況
を注意深く分析し、プログラムにおいてこれらを考慮することを支持する。
・われわれは引き続き、投資あるいは物およびサービスの貿易に対する新たな障壁
を設けず、新たな輸出制限を課さず、WTOと整合的でない輸出刺激策をとらない。
WTOはこのコミットメントについて監視し、公表される形で報告を行う。今や多くの
国々が世界経済において主要な役割を果たしており、われわれはそれらの国々に
よる、回復を促進させる共同の国際的取り組みへの貢献を歓迎する。われわれは、
中国のより柔軟な為替レートへの移行に対する継続したコミットメントを歓迎する。
これは、実効ベースでの人民元の継続した増価をもたらすとともに、中国経済および
世界経済全体のより均衡の取れた成長の促進に寄与する。われわれは他の国際的
パートナーと協働して、国際金融機関の適切性、有効性および正統性を高めるため
これらの機関のガバナンスを改革する。われわれは、強固かつ安定した国際金融
システムがわれわれの共通の利益であることを再確認する。為替レートの過度の
変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与える。
われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。
われわれはまた、各国および国際的レベルでの規制の改革について議論した。
われわれは、ロンドンにおけるコミットメントを迅速に実施する。システミック・リスクに
対処するための各国の取り組みを強化すること、すべてのシステム上重要な機関、
市場および商品を包含するよう規制の範囲を拡大すること、健全な規制、金融機関
の十分な資本増強および強化されたリスク管理慣行を確保すること、透明性を向上
すること、国際的な協働を強化すること、評価および引き当てに関する会計基準を
改善すること、および市場の公正性を強化すること、の必要性を強調した。
これに関連して、われわれはOECD、金融安定理事会(FSB)および 金融活動作
業部会(FATF)に対し、租税、健全性監督、および資金洗浄・テロ資金対策のそれ
ぞれにおける国際基準を強化するための各国の取り組みに関する客観的なピア・レ
ビューの作業を強化するとともに、非協力的な国・地域を特定し、効果的な対抗措置
の道具立てを整備するよう促す。
われわれはこれらの事項に関する進展につき定期的な報告を期待する。
われわれはIMFとFSBの共同による試行的な早期警戒の取り組みを歓迎した。
われわれは また、FSBの参加国拡大を歓迎するとともに、FSBが国際金融の安定
性促進により大きな役割を果たしうるよう、その組織的な基盤を強化することにコミット。
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