新型コロナウイルスについて、どうも多くの人は飛沫感染を過大評価し、接触感染を過小評価しているのではないか。
私のブログ記事の中でも、本記事だけが閲覧(検索)されない事実からもそれがわかる。
実際、ネットでも不気味なくらい「接触感染」という単語を見ない(専門家を除く)。
これは、風邪やインフルエンザなど呼吸器系の感染イメージ(映像)に基づいているようだ(コレラやO157だと違う感染イメージになろう)。
もちろん、あちこちで咳やクシャミの音が響いているなら、過大評価とはいえないが、満員の電車内でもこれらの音は聞かない。
それに対し、親しい者間の濃厚接触でない、経路が不明の感染は、行き交う他人同士の時間差のある接触感染の可能性が高い。
とりわけそう思うのは、2ヶ所で感染が拡がったスポーツ・ジム。
感染者がジムの中で咳やクシャミを連発しながらトレーニングしたと考えるより、
マシンの握る場所はほぼ固定しており、しかも利用者が次々入れ替わるので、感染者の手にウイルスがついていたら、それ以降の利用者は次々と手にウイルスをつけてしまう可能性が高い(このご時世なので、ジム側はマシンの消毒を頻繁にやることだろう)。
そして皆汗をかきながらトレーニングするので、タオルやヘアバンドは身につけていても、ウイルスのついた手で無意識に顔を触れる確率は、通常場面よりも高くなろう。
この件に関してネットでは、飛び散る汗で感染したと疑う向きもあるが、それこそ映像イメージで「飛沫感染」にもっていく発想。
だから、咳き込む人や口角泡を飛ばして会話する人のいない電車内では、飛沫感染より、つり革やポールなどの接触感染の方に注意した方がよいだろう。
こういうツルツルした素材だとウイルスは表面で数時間も生きるというから。
ただし、接触感染を恐れて、つり革やポールに触れないでいることは、別の危険を招くおそれがある。
電車が急ブレーキをかけた(あるいは脱線した)時、慣性の力を受けて自分が飛ばされて大けがをするだけでなく、勢いよくぶつかって他人をも傷つける。
車のシートベルトと同じく、”乗物での安全”をまずは確保する(エスカレータでも、急停止に備えて、手すりにつかまる)。
接触感染を防ぐには、これらを素手でつかまなければいいだけ。
素手でつかんで、あとで入念に手を洗えばいいという考えもあるが、まずは自分の皮膚にウイルスをつけない方がいいと思う。
私は手袋を使うが、ハンカチやティッシュを重ねてもよい(もちろん手袋やハンカチは毎日洗浄する)。
主観的な安心は、一面的なイメージ(飛沫感染の防止)だけで達成されてしまうが、客観的な安全は、冷静な判断でこそ実現される。