今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

土砂災害こそ怖い

2018年04月12日 | 防災・安全

防災について講演などをしていると、自然災害について関心が偏っていて、
つまりトラフ型地震ばかりに関心がいって、他の災害については興味を示さない傾向がよくわかる。

自治体のハザードマップは全国を網羅しているが、自治体のサイトでも震度情報ばかりが目立ち、
他の災害に目を向けたくてもその情報が見当たらないのも確かだ。

さて、地震と大雨の両方で起きる災害があることをご存知か。
つまりその分、発生確率が高い災害があることを。
それは土砂災害(土石流、地滑り、がけ崩れ)である。 

土砂災害に巻込まれたら、水(津波)や雪(雪崩)以上の密度・重量であるため、致死率が高い。 

しかも、土砂災害が起きそうな危険場所がすこぶる多い。
なにしろ、国土の75%が山地の日本なので、人が住める場所は残り25%未満の平野部だけでは足りないため、
たとえば山地と台地、台地と平野の境目あたりにも居を構えざるをえないのだ。
それらの境目こそ、急傾斜地であり土砂災害(地滑り、がけ崩れ)が起こる所。
とりわけ川沿いの谷地形が怖い(土石流も発生する)。

たとえば都市部であっても、台地と平野が入りくんでいる横浜市内はもちろんのこと、東京区部にも危険箇所がある。
ちなみに、ほとんど報道されていないが、東日本大震災でも福島県の内陸部で土砂災害による死者が出ている。 

なので、防災の授業を担当している私は、受講者に最初に居住地の災害危険度を評価させるため、
地震・津波・洪水のハザードマップのチェックはもちろんだが、
それに続いて土砂災害危険箇所が近所にあるかどうかを必ずチェックさせる(国交省のサイト↓に県別の地図がある)。
現実には、警戒区域内に居住している人たちが大勢いる。
今回の耶馬渓しかり、広島市の安佐北区しかり。

そして今回、震撼したのは、地震や大雨がなくても発生したことだ(定常的な風化による崩壊は山岳地帯ではよくある)。
地面内の変化を把握できないので、危機が迫っていることがなかなか分らない(予兆はあった)。
はっきり言えることは、そこが危険箇所であるかどうかだ。 

日本では、津波・洪水の危険(被害想定)区域だけでなく、土砂災害の危険区域にも人が大勢住んでいというのが現実。
災害の死者が減らない根本原因がここにある。 

読者の皆さんは、まずはご自宅の付近に土砂災害危険箇所があるかどうかをチェックしてみよう→国交省のまとめサイト