職場の大学の入学式に初めて出席した。
普通の教員は用がなく席もないので出席する理由がなかったから。
私は今年度から役付きになったので、舞台上の来賓席に座ることになる。
しかも最前列の真ん中の椅子が宛てられた。
この事態に備えて、実家から礼服を持ってきていた。
礼服自体、亡父の数年前の法事に着て以来で、更に白いネクタイを締めるのははるか昔、たぶん教え子の結婚式以来か。
今後は、入学式と卒業式の年2回礼服を着て、壇上の最前列に座ることになる。
あいにく風邪がまだ完治せず、一定時間ごとに粘度の高い鼻水を勢いよく出す必要があることが心配になる。
壇上で勢いよく鼻をかむわけにはいかないが、とりあえずティッシュをポケットに忍び入れる。
会場は、卒業式と同じく名古屋国際会議場のセンチュリーホール。
緞帳が上ると、目の前に拡がる客席すべてに新入生が座っている。
女子大では定員が全国最大だけある。
新入生のほとんどが黒のスーツだ(3年後の就活にも使えそう)。
もっとも場面としては、こちらが見られている側なので、壇上であまりキョロキョロできない。
単なる来賓の一人なので、やることといっても、学長や新入生代表あるいは在学生代表などが祝辞・答辞の前後にこちらの列に向ってしてくるお辞儀に応えて頭を下げるのを繰り返すだけ。
式の最初と最後は会場の全員が立ってお辞儀をする。
要するにお辞儀要員だ。
式典は30分ほどで終了したので、鼻水の対応に困ることもなかった。
数時間後、大学本部で辞令をもらった。
役職は大学院の研究科長。
大学での役職は、任期つきの持ち回りなので、昇級ではない。
任期が終れば平の教員に戻る。
明日は、学内で私が大学院生の入学祝いの挨拶をする。
いつもの平服で。